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総合>ビジネス動画>DMM亀山敬司が語るDeepSeek衝撃と中国スタートアップの底力——AI時代の経営判断

DMM亀山敬司が語るDeepSeek衝撃と中国スタートアップの底力——AI時代の経営判断

2025/3/6
M&A CAMPチャンネル
M&A CAMPチャンネル運営局

中国発AI「DeepSeek」が業界に与えた衝撃から、中国スタートアップの強さ、孫正義氏のAI巨額投資、そして経営者に求められる「大胆さ」まで。DMM創業者・亀山敬司氏とAI事業家・大野氏が、AIと商売のリアルを語り合った対談を再構成しました。

DeepSeekは何がすごかったのか


中国のAIスタートアップ「DeepSeek」が、世界のAI業界に大きな波紋を広げています。M&A CAMPでは、DMM創業者の亀山敬司氏と、AI事業を手掛ける大野氏に、その実態と経営への影響を聞きました。


DeepSeekの最大のインパクトは、OpenAIやGoogleのトップモデルに匹敵する性能を、これまでの何十倍・何百倍も安いコストとスピードで実現したと発表したこと。大野氏によれば、AIモデルの開発には数千億円かかると言われていたのが、DeepSeekの主張では約9億円で実現できたとされます。


さらにAPI(モデルを外部サービスから呼び出す形式)の提供価格も、競合の同レベルモデルと比べて95〜97%オフ。AI業界に明確な「価格破壊」が起きた瞬間でした。


コスト削減の背景には、これまで高級なGPUチップを大量に使って学習していたものを、安価なチップだけでも動くようアルゴリズムを改善した点があります。これを受けてNVIDIAの株価が急落したのも記憶に新しいところです。


それでもGPUは必要——AI進化はまだ「始まりの始まり」


「AIにハードウェアはもう要らないのでは」という見方も出ましたが、大野氏はこれを明確に否定します。


「GPTシリーズが人類の最高で、ここで進化が止まるわけでは全くない。NVIDIAのGPUやハイエンドGPUはどんどん必要になる。人類が超効率良くなったのはいいニュースだが、GPUが要らないとは全くならない」


亀山氏も「相手がどんだけ効率化しようが、画像も4Kになっていくし、自由度はどんどん高まる。ハードもソフトも進化して、どっちも安くなっていくという話」と応じます。


大野氏は、現在AIが人類の仕事のうちカバーできているのはほんの0.00数%にすぎず、いずれ98%をAIがこなす世界を見据えれば、いまのハードで十分という議論にはならない、と展望を示しました。


DeepSeekは使っていいのか——機密情報の扱いに注意


ユーザーから見れば、月額数千円〜数万円払っていたAIがほぼ無料で使えるようになるのは大きなメリットです。ただし、DeepSeekの利用方法には2種類あります。


一つはアプリ(DeepSeek社のサーバー上で動かすもの)の利用、もう一つはオープンソース公開されたモデルを自社のサーバーに置いて使う方法です。


アプリ側を使う場合、入力情報はDeepSeek側に送られます。大野氏は「規約がDeepSeek社に有利な内容になっており、危ないかもねという話題のなり方をしている」と注意を促します。雑談レベルなら試してよいが、会社の機密情報や知られたくない個人情報は送らないほうが賢明、というのが結論です。


また、歴史問題などセンシティブなトピックでは中国側の立場に沿った回答が出やすい点も指摘されました。LLMは「人にとっての正解」を決めてしまう側面があり、亀山氏は「あっちもこっちも聞いて、自分で意見を考える。どのAIの言うことも真に受けてはダメ」と話します。


中国スタートアップの「成り上がり体感」


TikTok、SHEIN、Temuなど、中国発のサービスが急成長する背景はどこにあるのか。


亀山氏は「中国は日本と同じで、いろんな制度が固まっていない。日本は戦後に企業家が一斉に生まれたから、いまの現役企業家には腕のある人が多い。中国はあらゆる業界で、ITも製造も物流も、活力ある企業家が現役で動いている」と分析します。


大野氏も補足します。アメリカのAI企業のトップ研究者・エンジニアは、中国出身者が人口比でも圧倒的に多い。「アメリカ vs 中国に見えるが、そもそもアメリカのサービスを中国系の人がたくさん作っている」状態だといいます。


亀山氏は「ハングリーさが強い。成り上がり体感が半端ない。日本ではほとんど見かけない」とも。さらに「9時から夜9時まで、週6日働く(996)」のような働き方文化、女性も野心的に働く土壌が、男女合わせた労働力の厚みを生んでいると語りました。


DeepSeek創業者は40歳前後——若き起業家の急台頭


DeepSeekの社長は元金融系(ヘッジファンド)の出身とされ、サム・アルトマン氏と同年代の40歳前後だといいます。


大野氏は「中国から新しいAIサービスが凄まじいスピードで出てくることに、もう違和感はない」と語ります。


日本はAIインフラ(モデル)レイヤーで戦えるのか


話題は、日本がAIモデルのレイヤーで勝負すべきか否かに移ります。


大野氏によれば、追従自体は現実的だといいます。DeepSeekがやり方を公開しているように、既存の手法を使えば「GPTの1個前のバージョンと同じくらいのものを出します」という動きは日本企業も実際にしています。


ただ、モデルの世界は「ウィナー・テイクス・オール」の構造。ユーザーは基本的に最も性能の高いモデルだけを使えばいいので、最高のものを生み出し続けないと勝ちづらい。


「結果的にはお金がかかる。追従だけでは足りない」と大野氏。OpenAIやGoogleは年間で数千億円規模を「溶かしている」状態で、それに匹敵するための投資は容易ではない、というのが現実的な見立てです。


孫正義氏の賭けと、亀山式「お財布の範囲で踏む」経営


この話題で名前が頻繁に出たのが、孫正義氏でした。


「最近、世界のAIニュースで孫正義の名前がめちゃくちゃ出てくる。GoogleやAmazonが投資する金額より、桁違いに大きい額を、少なくとも口では言っているのはソフトバンク」と大野氏。サム・アルトマン氏と組み、孫氏が「7.5兆円を持ってくる」と言われる座組みを作り上げたことに、二人とも舌を巻きます。


それだけ巨額を投じる根拠について、孫氏は「世界GDPの10%でも入れ替えられれば1年で回収できる」というスケール感で語っているといい、亀山氏も「ざっくり考えると、AIがGDPの10%を入れ替えるというのは普通にあり得る話」と頷きます。


一方、亀山氏自身の投資スタンスは対照的です。


「俺は無理しない。ある分(自前の財布)の中でこれぐらいなら入れるよな、というやり方が多い。孫さんは多分、あるだけのカードを使い切って資金を集めてパーンと張って、そのギャンブルに勝ち続けている」


「自分が勝負をかけるとしても、できる範囲でやってみましょう、という感覚。借金を背負ったり人の金を預かったりしていないから楽」


DMMが(一部の事件を除き)基本的に増収増益を続けてきた背景には、この「お財布事情と相談しながら」のスタンスがあると言えそうです。


それでも「日本のスタートアップは大胆さが足りない」


手堅さを是とする亀山氏ですが、日本のスタートアップ全体には別の評価を持っています。


「全体的なスタートアップの大胆度は、昔に比べてもやっぱりビビリが多い。失敗慣れしていないから。今のうちに多めに失敗していたほうが、あとあといいよって感じ」


司会のしゅん氏も「自分はチキンなんですよね」と苦笑い。亀山氏は「資金あるのに調達するとか言ってたじゃん」「みんな真面目で、しっかりしているスタートアップが多い。狂人がいない」と笑います。


ただし、孫氏のような「変な人」は途中で滅びることも多く、成功例だけ見て真似ろとは言わない、ともクギを刺します。亀山氏自身のスタンスは、「自分のある範囲の中ではどんどん踏むけど、それを超えない程度。来年稼げるなら今年使っちゃう、くらいの手堅さよりの大胆さ」だといいます。


既存事業も新規事業も「跳ねるかどうか」で選ぶ


AI領域への投資について、亀山氏のDMMはどう動くのか。


「基本的には新しい事業——大きく跳ねるやつ、100倍1000倍になるかもしれないやつに投資していく。ただ何が跳ねるかは分からないので、既存事業の改善も普通にやる。最初から絞り込まずに、とりあえず手を出すやり方」


DMMはVCではないため、10年といった出口の区切りがありません。「2〜30年くらいやっていれば、いつか1個は当たって、もうじいちゃんも安泰だよ、みたいになるかもしれない」と亀山氏は気軽に語ります。


大野氏は「神山さんのスタンスは『お前らがいいと思うことをやってくれ』なので、現場で考え切ってすぐやれる。スピーディーに大胆に攻められるのは大きい」と、共同事業者としての手応えを話しました。


まとめ


DeepSeekの登場は、AI開発の「コスト前提」を書き換えたという意味で大きな転換点となりました。とはいえGPUを中心としたハードウェア需要は減らず、AI進化はまだ始まったばかりです。


中国スタートアップの強さは、人口や制度未成熟だけでなく、現役世代の起業家層の厚さとハングリー精神にあります。日本企業がモデルレイヤーで真っ向勝負するのは資金的に厳しい一方、孫正義氏のような巨額投資の賭けも世界では現実に動いています。


亀山氏が示すのは、「自前の財布で踏める範囲を最大限に踏む」という現実的な大胆さ。失敗慣れしていない日本のスタートアップへの「もっと踏めよ」というメッセージは、AI時代の経営判断を考えるうえで示唆に富む内容でした。


※本記事はYouTube動画を元に編集部で再構成したものです。

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目次

  1. 1.DeepSeekは何がすごかったのか
  2. 2.それでもGPUは必要——AI進化はまだ「始まりの始まり」
  3. 3.DeepSeekは使っていいのか——機密情報の扱いに注意
  4. 4.中国スタートアップの「成り上がり体感」
  5. 5.DeepSeek創業者は40歳前後——若き起業家の急台頭
  6. 6.日本はAIインフラ(モデル)レイヤーで戦えるのか
  7. 7.孫正義氏の賭けと、亀山式「お財布の範囲で踏む」経営
  8. 8.それでも「日本のスタートアップは大胆さが足りない」
  9. 9.既存事業も新規事業も「跳ねるかどうか」で選ぶ
  10. 10.まとめ
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