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総合>ビジネス動画>DMM亀山氏が語る事業撤退の判断基準とビジョン論|akippa金谷元気が聞く経営の本質

DMM亀山氏が語る事業撤退の判断基準とビジョン論|akippa金谷元気が聞く経営の本質

2026/2/6
M&A CAMPチャンネル
M&A CAMPチャンネル運営局

駐車場シェアサービス「akippa」を率いる金谷元気氏が、DMM創業者・亀山敬司氏に事業相談。新規事業の撤退ライン、ビジョンとの距離感、組織育成の現実を語り合った対談を再構成しました。

駐車場シェアサービス「akippa」を運営する株式会社akippa代表・金谷元気氏が、DMM.com創業者の亀山敬司氏に事業相談を持ちかけた本対談。会員数500万人を超えるサービスを率いる金谷氏が、組織拡大の壁、新規事業の撤退基準、人材育成の難しさといった経営の核心テーマを亀山氏にぶつけた。「もったいない」で会社が止まる現実、ビジョン至上主義への懐疑、人を見る目の限界——率直なやり取りから、規模拡大期の経営者が直面するリアルな論点が浮かび上がった。


akippaが切り拓いた駐車場シェアという市場


金谷氏が率いるakippaのミッションは「人々がリアルで会う時の困り事を解決する」こと。ビジョンには「世界一のモビリティプラットフォームを作る」を掲げ、現状は駐車場マーケットプレイスとして全国展開している。


使われていない個人宅や事業所、マンションの空き駐車場を15分単位でシェアしてもらい、ユーザーがアプリで予約して使う仕組み。会員数は500万人を超え、登録駐車場は全国5万5000件以上に達する。


最近ではコインパーキング事業者との連携も進む。稼働率が半分程度のコインパーキングについて、空いている2割の車室をakippa予約用に切り出すといった融合モデルも始まっている。


サービス開始から12年。元はソフトバンクの孫請けの営業代理店として飛び込みやテレアポで携帯電話を売っていたが、2013年頃にミッションを再定義し、現在の駐車場シェア事業へピボットした経緯を持つ。


60人組織で500万人を支える「営業力×アプリ」のハイブリッド


社員・役員は60数人、アルバイト・業務委託を含めて約120人。この規模で全国5万5000件超の駐車場ネットワークを運営できているのは、徹底した営業オペレーションが背景にある。


「オンラインで駐車場を集めようとしていた競合もいたが、akippaは元々が営業会社。インターホンを鳴らして飛び込んでくださいというスタイルでやってきた」と金谷氏は語る。営業先の世帯数は5万規模に及ぶ。


亀山氏は「テクノロジーの会社に見えても、実際はPayPayのようにとにかく現場で広げていくスタイルが効く局面はある」と応じ、テクノロジーとアナログ営業の組み合わせの重要性に頷いた。


駐車場が増えると会員が増え、会員が増えるとアプリ経由で駐車場オーナーが申し込んでくる流れも生まれている。現在、新規駐車場登録の約1割はアプリ経由だという。


経営者の成長フェーズ——「自分より優秀な人」が入ってきたとき


金谷氏が最初に投げかけたのは、創業者自身の成長と会社のフェーズ変化の関係についてだった。


携帯電話の営業をしていた頃は、友人や知人を使って気合と根性でなんとかなった。しかしピボット以降、上場企業の役員経験者など自分より思考力の高い人材が入ってくるようになり、自分自身もアップデートしないと付いていけない感覚があるという。


亀山氏は、自身が一番変わったのはIT業界に来たときだと振り返る。「家族系っぽくて熱苦しい文化が、ITの文化と合わなかった。営業出身の自分とエンジニアの間で会話が通じづらくなる場面はある」。


対応策として、亀山氏はビジネスとプロダクトの両方が分かるCPOを介在させていると語る。エンジニアの細部までは理解できなくても、責任者の意見を信じて任せる。「コピーしたら明日できるだろうと言ったら、半年かかりますと返ってくる。理解できなくてもそういうものなんだろうと引き受けるしかない」。


トレンドは「ユーザー目線で触る」だけでいい


広告手法がテレビからタクシー広告、SNS、さらにInstagramやTikTokへと移り変わるなかで、経営者がどこまで触れておくべきか。亀山氏の答えはシンプルだ。


「運用までできなくていい。ユーザーとして触ってみて『こういう風に使うと面白いんだな』と体感する程度でいい」。政治家がSNSを自分でやってみてはじめて重要性を理解するのと同じだという。


金谷氏はマーク・ザッカーバーグと同年齢。リアルで人と人が会うことを残したいという思いから、仮想空間化の流れに対して逆張りでakippaを伸ばしていると語る。


これに対し亀山氏は「自分のモデルに固執しないことも重要」と釘を刺す。Facebookは自分たちで作れないInstagramを買収した。「自分たちがならないものを受け入れる余地を持っておいたほうがいい。インスタなんてライバルだと思っていたら、こっちのほうが受けてるなと気づいた瞬間に動けたから買えた」。


新規事業の撤退基準——「もったいない」が一番危ない


金谷氏が二つ目に相談したのは、新規事業の撤退タイミングだ。DMMは新規事業のうち7〜8割が途中で終わり、2割の勝ちパターンを伸ばすスタイルを取っているという。


亀山氏が直近で悩んだ事例として挙げたのは、昨年立ち上げたライブチケットサービス。事業計画上、初年度は赤字、2年目から黒字化という設計だったが、月100枚ずつ伸びる予定が50万円ずつしか売れない、といった「下振れ」が起きたときに判断する。


「3年経っても赤字のままだなと思ったら撤退を考える。逆に4年目から黒字化が見えるなら継続もある」。判断軸は売上だけではなく、無料会員数や課金率といったKPI、先行指標も含む。「1万人集まれば5%が課金すると見込んでいたのに、1%しか課金しない。そもそも1万人どころか5000人しか集まらない、というケースもある」。


注目すべきは、サイバーエージェントのような明示的な撤退ルール(売上がここまで行かなかったら撤退、赤字が何年続いたら撤退)をDMMでは設けていないこと。「業態が幅広いから、サブスクなのか物販なのかで全く違う。一律のルールは作りようがない」。


そのうえで亀山氏は核心を突く。「『もったいない』で続けるのが一番ダメ。これだけ突っ込んだから、こんなに時間をかけたから、と続けてしまうのは、どうしようもない男に時間を使い続ける女性と同じ。事業に思い入れを入れすぎると、現場は『もう少し頑張りましょう』と言ってくる。でも無理なものは無理」。


撤退基準は「現場に宣言させる」


DMMでは、新規事業のプレゼン段階で必ず撤退基準を提案者自身に出させる。「何月までにこの数字に行かなかったら撤退します、と現場が自分から言う。だから絶対だよねと確認できる」。


金谷氏が「どうしてもやりたい事業があって新規立ち上げで撤退になった場合、M&Aで埋めるという発想はあるか」と問うと、亀山氏は即答した。


「『どうしてもやりたい』を作っちゃダメ。なんでどうしてもやりたいのって話。M&Aで価値があるならやってもいいけど、思い入れだけでやるのは違う」。


「ビジョン」への懐疑——その程度のものかもしれない


akippaは「世界一のモビリティプラットフォームを作る」というビジョンを掲げ、ミッションビジョンからの逆算で事業を組み立ててきた。これを伝えた金谷氏に対し、亀山氏は意外な反応を示す。


「プラットフォームっていうのは、子供の頃から考えていた構想じゃないでしょう。途中で『これいけるかも、ネクラ部本部やろう』みたいに見つかったもの。世の中で言われているビジョンって、その程度のもんかなって気がする」。


DMM自体も、もともと「食ってくため、雇用を守るため」から始まった。亀山氏自身は本もあまり読まず、「やってみたらわかる」というスタンスだという。


「自分が描いた理想のサービスが今ないのだとしたら、なかったなりの理由がある。先人たちが多くトライしてできなかったから、ということもある。自分のビジョンが押し付けがましいことかもしれない」。


ビジョン自体もアップデートする必要がある——金谷氏はこの指摘に深く頷いた。


人材育成の真実——「教育で伸びるわけではない」


金谷氏の三つ目の相談は人材育成。採用は順調だが、なかなか育たないという悩みだった。


亀山氏の答えは明快だった。「理想は信頼関係も理解もできた人間が同じようにマネジメントを覚え、10人使えていたのが100人、1000人を使えるようになること。でも、まずやらせてみるしかない。これ以上は無理という壁が見えたら、外部から100人マネジメントの経験者を入れる」。


ただし、この外部人材も当たり外れがある。「大企業で実績があると言っても、文化が合わないか、実は単なる燃え尽きだったか、どちらか。だから半年〜1年で見極める。マネジメントがダメだと下が全部ダメになる」。


年収2000万円のオファーを出して、それだけの価値があるかを実際の結果で確認するしかない。一方で、もともと300〜400万円で頑張っていた社員が3000万円、何億円相当の働きをするケースもある。「年収23〜400万円までだったやつが何億になるパターンが理想だが、なかなかそうはならない」。


もう一つの本質的な指摘がこれだ。「俺たちはそれほど人を見る目がない。やらせてみたら本人も気づいていない力を発揮することもあるし、本人がやれると思っていてもできないこともある」。


穏やかでクリエイター気質の副部長が、部長交代でしかたなくポジションを引き継いだら化けた、という事例も紹介された。「前の部長の時より良くなった、というケースもある」。


結論はシンプルだ。「人は教育で伸びるわけではない。機会を与えるしかない。同じ会議の場でも学ぶ奴と学ばない奴がいる。動画を撮って共有しても、勉強する奴は勝手にする。だから受け身の人を採用しちゃダメ」。


学歴より大事なもの——失敗する弾性


対談の最後、金谷氏は自身が金沢大学を中退していることに触れ、最近の起業家に高学歴が増えている状況に若干の心配を口にした。


亀山氏(高校卒業)の答えは、起業家の励みになるものだった。


「確率の話で言えば、IQが高いほうが成功確率はいくらか上がる。でもビジネスはそんなもんでもないし、機会は均等にある。何より、大卒かどうかに関わらず失敗するのが普通。間違えて失敗したら人生終わり、なんてことはない。20代なんてほとんど終わらない」。


AIで生産性が上がる時代、頭のいい人材を雇うこともできる。学歴以上に大事なのは「諦めない執念」と「リスクテイク」だと金谷氏は応じ、亀山氏も「うまくいってる人の意見を聞いて、自分の中に取り入れていく」ことの重要性を強調した。


akippaは今後、IPOとM&Aによる成長の両軸を社内で議論しながら、駐車場シェアを軸にライブチケットなど隣接領域への展開も進めていく方針だ。VCも複数入っているなかで、どちらの道がより成長を加速させるかを見極めていく段階にある。


まとめ


DMM亀山氏とakippa金谷氏の対談から見えてきたのは、ビジョンへの過度な思い入れも、事業への執着も、人材育成への幻想も、すべて経営判断を歪める要因になりうるということだった。


撤退基準は現場に宣言させる、ビジョンは後付けでもいい、人は教育では伸びず機会で化ける——いずれも創業期から拡大期に移る経営者が直面する現実を突いている。「もったいない」で会社が止まらないために、損切りという社長の役割をどう全うするか。本対談は、その問いに対する一つの解を提示している。


※本記事はYouTube動画を元に編集部で再構成したものです

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目次

  1. 1.akippaが切り拓いた駐車場シェアという市場
  2. 2.60人組織で500万人を支える「営業力×アプリ」のハイブリッド
  3. 3.経営者の成長フェーズ——「自分より優秀な人」が入ってきたとき
  4. 4.トレンドは「ユーザー目線で触る」だけでいい
  5. 5.新規事業の撤退基準——「もったいない」が一番危ない
  6. 6.撤退基準は「現場に宣言させる」
  7. 7.「ビジョン」への懐疑——その程度のものかもしれない
  8. 8.人材育成の真実——「教育で伸びるわけではない」
  9. 9.学歴より大事なもの——失敗する弾性
  10. 10.まとめ
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