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事業売却IT・ソフトウェア

東大起業家がM&Aで学んだ教訓:安易に上場を目指す前に検討すべき選択肢とは

2026/5/7株式会社ビデオステップ
東大起業家がM&Aで学んだ教訓:安易に上場を目指す前に検討すべき選択肢とは

目次

  1. 1.半年経って実感する「変わったこと」と「変わらないこと」
  2. 2.事業計画の精度がPMIを左右する
  3. 3.PMI成功の鍵は「売却前のディスカッション」にある
  4. 4.優先株での資金調達がM&Aを難しくする
  5. 5.「売却目線」ではなく「上場目線」で事業を立ち上げる
  6. 6.まとめ:M&A後に広がる新たな経営者キャリア

半年経って実感する「変わったこと」と「変わらないこと」


株式会社ビデオステップ代表取締役の向氏は、2023年5月に売却契約を締結し、同年7月にクロージングを迎えた。それから約半年が経過した現在、組織にどのような変化が起きているのか。


「意外とものすごく変わったかと言うと、実はあんまり変わっていない」と向氏は語る。従業員レベルで見ても変化を感じていない人が多く、オフィスも自社のものをそのまま構え、親会社から強く干渉されることもない。経営体制としては、これまでと同じ形を維持しているという。


ただし、明確に変わった点が2つある。1つは親会社からの人員出向だ。営業リソースの補給として現在1名が出向しており、今後さらに増やしていく方向で議論が進んでいる。もう1つは管理体制の強化である。社外取締役が3名新たに加わり、毎月の取締役会で予算と実績の進捗を厳密に管理する体制に移行した。


「上場企業水準になるということですね」と向氏は表現する。バックオフィス業務は確実に厳しくなり、書類の数も3〜4倍に増えた。意思決定のスピード感そのものは保たれているが、業務量の増加は避けられない現実だという。


事業計画の精度がPMIを左右する


M&A後の経営において、向氏が強調するのが「シミュレーションできる事業モデル」の重要性だ。


ビデオステップはSaaSビジネスを展開しており、マーケティング投資と売上の関係が美しく数値に現れる構造を持つ。事業計画の達成精度は3%前後しかブレていないという驚異的な水準だ。「マーケティングの投資が少し減ると、あ売上やっぱり少しこの月減ったね、というところで分かりやすく数値に落ちる」と向氏は説明する。


この予測可能性が、親会社との関係構築において極めて重要な役割を果たしている。事業計画通りに進められれば、親会社の管理が入っても差分の説明がしやすい。逆に売上がゼロベースの段階だと事業計画を達成できない可能性が高まり、達成しすぎた場合でも「この時点で売って良かったのか」という葛藤を生みかねない。


アクハイヤー(人材獲得目的の買収)的なM&Aがうまくいきづらい背景には、こうした予測可能性の欠如があると向氏は分析する。事業の方向性が小さなレベルで変わりがちなフェーズでガバナンスを強化されると、機動的な動きが取りにくくなるからだ。


PMI成功の鍵は「売却前のディスカッション」にある


PMI(買収後の統合プロセス)の難易度の高さはM&A業界でよく語られるテーマだが、向氏が重視するのは売却前の対話である。


「お互いにこういったような部分で一緒にやりたいね、ということがある状態」を売却前から作っておくことが大切だという。連携できそうなアイデアをお互いに描いておけば、売却後のディスカッションも自然に進む。逆に事前のすり合わせがないまま統合に入ると、何から手をつけるべきか分からなくなるリスクがある。


従業員とのコミュニケーションも慎重に進めた。「会社売却」という言葉はメディアで「身売り」と表現されることも多く、マイナスの印象を持つ人が少なくない。そこで向氏は、M&Aがどういうものなのか、組織にとってどのような良いことが起こりうるのか、自身が売却後すぐに辞めるわけではないことなどを丁寧に説明し、納得を得る作業に時間をかけた。


優先株での資金調達がM&Aを難しくする


今後M&Aを検討する起業家に向けて、向氏が最も強く伝えたいのが資金調達の方法に関する教訓だ。


「シリーズAする前に、M&Aの選択肢がないかをしっかりと検討した方がいい」と向氏は語る。先輩起業家からよく聞くのは「優先株で調達してなくてよかった」という声だ。優先株は株主により多く配当する設計になっているため、M&A時に経営者のリターンが減る構造になる。特に10億円以下のエグジットを想定するなら、シリーズA調達後のM&Aは現実的に難しくなる。


上場を目指すのであれば普通株も優先株も関係なくなるが、その前段階で「今ならこのバリエーションで売却できる可能性があるのではないか」と一度立ち止まって検討する価値は大きい。


「売却目線」ではなく「上場目線」で事業を立ち上げる


もう一つの重要な教訓が、事業立ち上げ時のマインドセットだ。


「売却目線で事業を立ち上げるよりも、上場を目指すんだという気持ちで事業を立ち上げていた方が、結果選択肢が増える」と向氏は断言する。売却目線で立ち上げると、すぐに売上が立つビジネスモデルを選びがちになり、短期目線に陥りやすい。


一方で長期目線で事業を育てていけば、その過程でM&Aの選択肢は必ずどこかのタイミングで出てくる。そのタイミングで検討するのでも全く遅くない。M&Aを目指す起業家であっても、まずはシリーズAまで到達できる事業成長を実現することが先決だ。バリエーションがつかなければ、そもそも選択肢自体が生まれない。


「結局いい事業であれば、どんな会社さんも必ず買ってくれるはず」というのが向氏の結論だ。原理原則に従って事業を成長させ続けることが、結果的に多様な選択肢を生む。


まとめ:M&A後に広がる新たな経営者キャリア


向氏は今後、親会社の経営にも関与しながら、売上数十億円規模を超える企業の経営に携わるオプションを模索している。M&A後の経験を通じて磨かれる経営スキルを大切にしたいという思いが、その背景にある。


M&Aは単なる出口ではなく、起業家としての次のステージへの入り口にもなり得る。事業計画の精度を高め、売却前から統合後の絵を描き、資金調達の方法を慎重に選ぶ。これらの積み重ねが、向氏のような納得感のあるM&A体験を生んでいる。


※本記事はYouTube動画を元に編集部で再構成したものです

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