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創業からうつ、事業売却まで全部語る|株式会社ダイヤリー代表が明かすM&A体験談と教訓

2026/5/7株式会社ダイヤリー
創業からうつ、事業売却まで全部語る|株式会社ダイヤリー代表が明かすM&A体験談と教訓

目次

  1. 1.仮面浪人での挫折がすべての出発点
  2. 2.19歳でYouTube開始、地方からの挑戦
  3. 3.サイバーエージェントのインターンで突きつけられた現実
  4. 4.四谷の傾いたシェアハウスから始まった起業
  5. 5.売上7割を占めた1社依存とクライアントワークの限界
  6. 6.サービスリリース10ヶ月での事業売却
  7. 7.PMF未完了での売却がもたらした苦悩
  8. 8.売却数ヶ月後に襲ったうつ状態
  9. 9.売却事業の社員が全員離職
  10. 10.M&A体験から得た本質的な学び
  11. 11.「自分らしく生きる」をKPIに

仮面浪人での挫折がすべての出発点


株式会社ダイヤリー代表のしゅ氏は、創業6期目を迎えた現在に至るまでの道のりを赤裸々に語った。地元・金沢大学に通いながら早稲田大学を目指して仮面浪人をしていた時期、孤独を紛らわしてくれたのがYouTubeだったという。マネーの虎で知られる経営者やはじめしゃちょー、木崎英二氏といったYouTuberの動画を毎日30分ほど見ることに救われ、「仮面浪人が終わったらYouTubeをやりたい」と考えるきっかけになった。


セブン-イレブンでアルバイトをしながら受験費用を貯め、4学部を受験したものの結果は全滅。「100の努力をしたつもりが0の結果に終わった」という人生で初めての大きな挫折を経験した。しかし、800円を稼ぐことの大変さや応援してくれる人のありがたさ、勉強できる時間の貴重さを実感したことが、次のチャレンジへの土台になったと振り返る。


19歳でYouTube開始、地方からの挑戦


金沢大学に通いながら、「地方でも大学という枠組みに囚われずできることはないか」と考えYouTubeを始めた。約7年前、まだ「YouTuber」という言葉が市民権を得ていなかった時代で、周囲からはかなり馬鹿にされたという。


最初はエンタメ系のコンテンツをほぼ毎日投稿していたが、半年経っても登録者数は500人ほど。転機となったのは大学1年時の仮面浪人の失敗体験談を投稿した動画で、初めて10万回再生に到達した。そこから1年弱は仮面浪人系YouTuberとして活動した。


サイバーエージェントのインターンで突きつけられた現実


大学3年生の夏、就職活動を始めた頃、地方から東京へ夜行バスで通う負担を解消したいという思いと、仮面浪人系コンテンツに限界を感じていたことから、就活系コンテンツに切り替えた。


サイバーエージェントの3日間のインターンに参加した際、大学1年生からインターンや起業をしている周囲の優秀さに圧倒され、「このまま就職しても活躍できない」と強く感じたという。手元には1万2,000円ほどしかなかったが、青年会議所や商工会議所など地方の経営者が集まる会合でプレゼンを行い、クラウドファンディングも活用して資金を集め、休学と同時に石川県から東京へ移った。


四谷の傾いたシェアハウスから始まった起業


最初の住まいは四谷にある「リーンハウス」という、物理的に傾いていたシェアハウス。半年後にワンルームの自宅兼オフィスへ移った。最初の売上は、DMMの亀山氏にオフィスを借りて開催した就活イベントだった。


その後、四ツ谷の「酒ビル」にある2部屋のオフィスに移り、2022年にインターンとして関わっていたメンバーが正社員となるなど、3名の正社員と数名のインターン生で運営する体制が整った。


売上7割を占めた1社依存とクライアントワークの限界


当時の売上の6〜7割は、年間4,000万円規模の大手企業のYouTubeチャンネル運用代行が占めていた。しかしこの取引が突然終了したことで、「1社依存は危ない」という痛感とともに、「言われた通りにアウトプットを出すクライアントワークは自分には得意ではない」という自己理解も深まった。


そこから自社サービスや自社メディアにエネルギーを注ぐ方向へ舵を切る。YouTube春台に付随するWebサービスや自社メディアの開発に注力した。


サービスリリース10ヶ月での事業売却


自社サービスをリリースして約10ヶ月後、複数社から雑談ベースで「買収したい」という打診が舞い込んだ。元々タイアップしていた企業や、まったく関係ないところで繋がった相手から、たまたま同時期に声がかかったという。


しゅ氏は当初、「M&A」という単語自体を知らなかった。銀行借入と自己資金でやっていたため、株式での資金調達は自社のビジネスモデルに合わないと考えていたが、「事業を切り離して売却し資金を得る」という形なら問題ないと判断。最も条件の良かった先に売却した。当時の同社にとっては想定外の大きな金額での資金調達となった。


PMF未完了での売却がもたらした苦悩


しかし問題は売却後だった。売却した事業は「こうすれば売上・利益が上がる」というモデルが完成しきっていない状態、いわゆるPMF(プロダクトマーケットフィット)が完了していない段階での売却だった。そのためPMI(売却後の統合運用)に大きく苦しむことになる。


ロックアップ期間中の構造は、過去に苦労した大手企業のチャンネル運用代行と同じ受託モデルで、売上比率も1社依存。「自分の性格や特性に合わないことをやらざるを得ない構造になっていたことに気づいていなかった」と反省を語る。


「PMFが完了した状態でM&Aをしないと後々苦しむ」というのは一般論として語られることだが、自身が体験して初めて深く理解したという。また、買い手・売り手双方を経験したなかで「カルチャーがフィットしないとPMIで非常に苦労する」ことも痛感したと振り返る。


売却数ヶ月後に襲ったうつ状態


売却して数ヶ月後、しゅ氏は自身が思うように体が動かなくなる経験をする。元々「図々しい性格」と言われ、それまで病んだ経験がほとんどなかった人物が、業務量というよりは「心のキャパシティを超えて」しっかりと病んでしまった。


この時期に支えてくれたのは現在の社員や仲間だったといい、「彼らがいなかったら本当にやばかった」と語る。


売り手と買い手は最終的な大枠の利害は一致していても、細部では利害関係が異なる。社会人としての経験がなかったしゅ氏は、大きい組織での意思決定の仕方の違いや、「最終意思決定者と話さない限り話が変わってしまう」というM&A特有の構造に苦しめられた。


売却事業の社員が全員離職


地味に最も辛かったのは、売却した事業に関わっていた社員が全員離職したことだったという。元々ウェットな組織で人がやめる経験がほとんどなかったしゅ氏にとって、自分の意思決定や行動が原因で仲間が去っていく事実は重くのしかかった。


「ビジョンや自分たちが作りたい世界観、解決したい課題に紐づくことでなければやってはいけない」という教訓を強く刻んだ瞬間でもあった。


M&A体験から得た本質的な学び


数億円のお金を受け取ることを甘く捉えていた無知さ、トラブルや問題はすべて自分の言動・行動が引き起こしているという責任の所在、そして「最終的に誰かが守ってくれるわけでも直接助けてくれるわけでもない」という前提のもとで、自分が本当に何をやりたいのかを真剣に考えるきっかけになったという。


2年間で売り手と買い手の双方を経験したしゅ氏は、両者の間に存在する「情報格差」「機会格差」を強烈に感じた。これは仮面浪人時代や就活の時にも感じていた感覚と地続きであり、「自分自身が抱えた情報・機会格差をなくしたい」「より良い意思決定を支援したい」という想いを改めて確信させた経験だったと語る。


「自分らしく生きる」をKPIに


YouTubeや起業を始めた当初は「結果を残したい」「有名になりたい」という動機が強かったが、それだけでは続かないし、リスクを取ってまで人を巻き込めないことも今回の経験で実感した。売上、登録者数、組織規模はもちろん大事だが、コアな部分を外してまでやりたいことはないと気づいたという。


「自分が思っていたほど強くない」一方で、「これなら頑張れる、ここは強い」という自身の輪郭も見えるようになった。今後は構造をきちんと理解し、後戻りできない意思決定は慎重に行うことを意識したいと述べる。


株式会社ダイヤリーとしては、就活・転職・M&A、その他あらゆる領域における情報・機会の格差をなくし、より良い意思決定を支援することをミッションに掲げる。本人は今後について「自分らしく生きること」と「誰よりも頑張る・努力する・成長すること」を両立させながら挑戦し続けたいとし、自身の成長過程を視聴者と共有していきたいと締めくくった。


※本記事はYouTube動画を元に編集部で再構成したものです

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