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総合>ビジネス動画>儲かる会社は何が違うのか。税理士が語る「管理会計=細分化」の正しい始め方

儲かる会社は何が違うのか。税理士が語る「管理会計=細分化」の正しい始め方

2024/5/11
M&A CAMPチャンネル
M&A CAMPチャンネル運営局

経営判断のスピードと収益性を左右する管理会計。税理法人小田会計の森尾氏が、資金繰りとの違い、部門別PLの重要性、過去データから整える具体的な手順までを解説する。

「管理会計を整えたい」経営者が最初にぶつかる壁


M&A CAMPのしゅうが、経営者の財務改善をテーマに専門家へインタビューする企画。今回は江戸川区西葛西の税理法人小田会計に所属する森尾氏を迎え、日々の経営における管理会計の体制づくりについて聞いた。森尾氏は2020年4月に開設したYouTubeチャンネルで、財務・銀行との付き合い方・資金調達など幅広いテーマを発信し、登録者数は約5万人にのぼる。


しゅうが抱える課題は明確だった。社員10人弱、業務委託2名で振り込みや仕訳を回している状態で、月次の管理会計までは手が回っていない。投資フェーズの新規事業を抱え、1年程度は赤字を掘る計画もあるなか、「お金が舞い消えていきそうで怖い」という危機感から相談が始まった。


資金繰りと管理会計はまず切り分ける


森尾氏がまず指摘したのは、資金繰りと管理会計を混同しないことだ。決算書には貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)があり、資金繰りはB/S側の管理に近い。一方、管理会計は「どうやって売上を上げ、経費を使い、最終的に利益を出すか」を見るP/L側の話である。両者を一緒に管理しようとすると、目的も手段もぼやける。


管理会計の本質は「細分化」


森尾氏は管理会計を一言で「細分化」と定義する。年間の損益計算書だけを眺めても、現場で起きていることは見えない。プロジェクトごと、店舗ごと、車両ごとといった単位に分け、収益と費用、人件費を割り付けてはじめて、どこで儲かり、どこで損が出ているかが分かる。


「外部の人間が『どうやったら儲かるんですか』と聞かれても、答えられない。儲けている会社は、自分たちで細かく分けて把握しているからこそ収益性が高い」と森尾氏は語る。事業部別PL、店舗別PL、プロジェクト別PLが整っている会社ほど、いくら投資してよいかが見え、撤退判断も早い。


撤退判断が遅れる本当の理由


しゅうが「撤退の難しさ」に話題を振ると、森尾氏は明快に答えた。撤退が難しいのは、撤退基準が決められないからではなく、セグメントごとの数字が見えていないからだ。全体のP/Lだけを見ていては「全体的に売上が落ちているな」しか分からず、判断材料が揃わない。


「3年後に黒字化すると決めた新事業が、2年半経っても3年目の黒字が見えない」と判断したいのなら、その新事業単独の収益が見える状態にしておく必要がある。逆にそれさえあれば、意思決定は驚くほど早くなる。


何で分けるかは「経営判断」、会計事務所の仕事ではない


管理会計の作業自体は難しくない。売上を分け、経費を分け、人件費を分けるだけだ。最も難しいのは「どの単位で会社を把握するか」を経営者自身が決めることだという。既存事業と新事業で2分割するのか、店舗別に分けるのか、顧客別に分けるのか。ここを決めれば、あとは仕訳を担当する委託先に「この経費はこのセクション」と指示するだけで、管理会計は自然に出来上がる。


森尾氏は「これは会計事務所が決める話ではなく、経営判断」と強調した。


過去の数字も分け直すべき理由


意外に重要なのが、過去の数字も遡って分ける作業だ。


「過去とかけ離れた未来はそうそう来ない。急に崖から落ちるような業績にもならないし、急にロケットのように飛び上がる人もいない。未来は過去の蓄積の中で作られる」(森尾氏)


事業再生のコンサルタントが最初に行うのも、過去3〜5年分の総勘定元帳と販売管理データを部門・顧客・製品ごとに分け直す地味な作業だという。経理経験者は「過去を整理して分ける」のが得意なので、まずは過去を分け直し、その後に未来予測へとステップアップするのが現実的だ。


部門別PLができている会社は2割


森尾氏の体感では、部門別PLをきちんと運用できている会社は全体の2割程度。クラウド会計ソフトやスマートフォンで会計データが見られる時代になっても、店舗が2つある飲食店でさえ「どんぶり勘定」のままというケースは少なくない。


しゅうが利用しているマネーフォワードにも部門別機能はあり、ほとんどの会計ソフトに標準搭載されている。注意点として森尾氏は「貸借対照表は部門別に分けない方がいい。大変な割に意味が薄い。分けるのはP/Lだけで十分」と補足した。


数字が見えない恐怖を、会社が小さいうちに潰す


企業が成長する過程で「全体は見えるのに内訳が見えない」状態は、経営者に強い恐怖を生む。森尾氏は、年商10億〜20億円規模の会社や、トラックを100〜150台抱える運送業のクライアントは非常に細かく分析していると紹介。ある運送業のクライアントでは、トラック1台ごと・車両ナンバーごとに先月の利益が出ており、稼いでいない車をどう稼がせるかという意思決定が即座にできる。


「これ以上に儲ける方法はないのではないか」と森尾氏は言い切る。儲けている社長は、とにかく細かい。


まとめ


管理会計は、特別なスキルや高価なシステムがなければできないものではない。必要なのは、経営者が「どの単位で会社を見るのか」を決めること、そして過去の数字も含めて愚直に分け直すことだ。会社の規模が小さいうちにこの習慣を作っておくことが、将来の資金繰り悪化や撤退判断の遅れを防ぐ、最もシンプルで効果の大きい打ち手になる。


※本記事はYouTube動画を元に編集部で再構成したものです

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目次

  1. 1.「管理会計を整えたい」経営者が最初にぶつかる壁
  2. 2.資金繰りと管理会計はまず切り分ける
  3. 3.管理会計の本質は「細分化」
  4. 4.撤退判断が遅れる本当の理由
  5. 5.何で分けるかは「経営判断」、会計事務所の仕事ではない
  6. 6.過去の数字も分け直すべき理由
  7. 7.部門別PLができている会社は2割
  8. 8.数字が見えない恐怖を、会社が小さいうちに潰す
  9. 9.まとめ
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