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総合>ビジネス動画>「1億円も10億円も工数は同じ」ポート春川社長が語る、いい会社を買収するためのソーシングと交渉術

「1億円も10億円も工数は同じ」ポート春川社長が語る、いい会社を買収するためのソーシングと交渉術

2024/3/28
M&A CAMPチャンネル
M&A CAMPチャンネル運営局

成果報酬型の制約支援事業を展開するポート株式会社代表・春川氏が、買い手側の視点からM&Aソーシングの広げ方、交渉時のスピード感、金額決めの考え方までを語る。新規領域参入と既存事業強化で異なる規模戦略にも踏み込んだ実践的なM&A論。

上場企業ポート社長が語るM&Aの実践論


M&Aは「やる・やらない」を早く決めることが、結果的に成功確率を高める——。そう語るのは、2018年にマザーズ(現グロース市場)へ上場したポート株式会社の代表取締役社長・春川氏だ。同社は人材・エネルギー・ファイナンス領域で事業者とユーザーをマッチングし、成約時に報酬を得る成果報酬型ビジネスを、Webマーケティングと営業活動を組み合わせて展開している。


本記事では、買い手の立場からM&Aを数多く手がけてきた春川氏に、ソーシング・交渉・規模感の判断基準について語ってもらった内容を再構成してお届けする。


ソーシングの起点は「広く・長く」パイプラインを持つこと


M&Aの成否を分ける最初のポイントは、ソーシング活動だと春川氏は言い切る。


「ターゲットが少ないと選択肢が限られてしまう。いい意味で選択肢をできる限り広く持つことを意識しています」


M&Aは簡単に決まるものではない。今はターゲットの規模が小さい会社でも、1〜2年単位で見れば候補に入ってくる可能性は十分にある。だからこそ、パイプラインを長期で構築する視点が欠かせない。


「今は儲かっていて売る必要がない会社でも、株主の意向が変わって売却検討になるケースもあります。買い手側はその前提を認識しておかなければいけません」


急かす営業は逆効果だ。「うちの会社をなめているのか」と引かれてしまう。だからこそ、まずは取引や業務提携から関係を始めるのも有効だという。社員同士のコミュニケーションを通じて、「この会社になら売ってもいいかもしれない」という気持ちが芽生えるタイミングが訪れることもある。


また、M&Aを事業計画に強く織り込みすぎることへの警鐘も鳴らす。


「中期経営計画で3年・5年とM&Aを織り込むのはいいと思いますが、来期の業績にM&Aの金額分を組み込むのは危険です。やらなきゃいけなくなって、急いでしまう構造が生まれるからです」


ターゲット選定は「既存事業のシナジー」か「次の柱」かの2択


ポートのM&A方針は、シンプルな2択で整理されている。


1. 既存事業に直接的なシナジーがあるM&A

2. 次の柱になる規模のM&A


既存事業については、自社が深く理解しているため、競合企業がそのままターゲットになる。Web集客で見込み客を獲得し営業で成約させる制約支援ビジネスでは、リスティング広告で上位に出ている会社が候補になる。実際に検索で探したり、調査会社のセグメントデータや証券会社・金融機関からの紹介を通じて、リストを作成しているという。


このソーシング活動は、春川氏直下のM&A・PMI推進部署が担当している。


大型ディールへのアプローチは「証券会社」と「問い合わせフォーム」


就活会議の買収(リセンスから取得)のような大型ディールでも、起点はシンプルだ。


上場企業同士であれば、証券会社経由でアプローチするケースが多い。一方、未上場で金融機関からの紹介ルートが取れない場合は、電話か問い合わせメールという「ドベタな営業」になるという。


「問い合わせメールでM&Aさせてくださいと言うと、相手はびっくりします。会社のご担当者にも申し訳ない。だからこそ、どこからアプローチすれば無礼にならないかは常に考えます」


前提として、売却を検討していない企業の方が圧倒的に多い。だからこそ「いい形のルートからアプローチする」ことが重要だ。


売り手側からの直接アプローチも「あり」


逆に、売却を検討している経営者が買い手に直接アプローチするのはどうか。春川氏の答えは「ありだと思う」だ。


「ポートでもM&A回数が増えるにつれ、毎月のように直接の問い合わせが来ています。トップ同士で率直な議論ができ、温度感も最初から分かるメリットがあります」


もちろん仲介会社やFA(ファイナンシャルアドバイザー)を活用するのも有効だが、最初に直接コンタクトを取り、意向のある買い手が見つかってからFAを入れるという順序も十分機能する。


買い手として直接メールを受け取った場合、業界が大きく異なる場合を除き、メールで断ることは絶対にしないという。


「売却の意向を伝えること自体、売り主にとっても従業員にとっても大きなリスクです。それをメールで断るのは失礼にあたる」


FAを入れるかどうかは「意向の伝わり方」とのトレードオフ


FAを介在させるメリットは、契約面・価格交渉面など多岐にわたる。一方で、デメリットとしては「直接的な意向のコミュニケーションが取りづらくなる」点があると春川氏は指摘する。


「自分の意向が100%伝わりづらくなる。こちらも相手の意向を100%受け取りづらくなる。合議制になっていくので、最終的にはどちらを取るかの判断です」


M&Aは企業対企業の経営統合でありながら、売り手側は個人100%オーナーであるケースが多い。実質的にはBtoCに近く、情報の非対称性が大きい。間に専門家を挟むのは、その意味では合理的な選択だ。


「1億円も10億円も工数は同じ」——規模戦略の真意


本記事のタイトルにもなっているこの言葉は、春川氏のM&A哲学を象徴する。


「1億円の案件と10億円の案件で、工数はほぼ変わりません。デューデリジェンスもフルでやりますし、資金調達も考える。だからといって、買う側として1億円のほうがリスクが少ないかというと、そんなことは全くないんです」


むしろ月間で数千万単位の利益が出ている会社のほうが、組織体制がしっかりしており安全性が高い可能性すらある。あるいは、企業価値が高くても大きな成長を成し遂げてくれる可能性がある会社もある。


この考え方から、ポートでは次のような規模戦略を取っている。


- 同領域の競合M&A:規模感はあまり意識しない

- 新規領域への参入:比較的大きく大胆なチャレンジを行う


「新規事業をスモールスタートで自社で立ち上げるのはいいと思います。でも、新領域のM&Aを小さい金額規模でやって新規事業にするくらいなら、すでに大きくなっている、または大きくなることが見えるところに大きな金額を張って勝負したほうがいい」


リクルートのIndeed買収、FacebookのInstagram買収のように、見合うチャレンジを取りに行くことで、自社の成長可能性は高まると考えている。同じビジネスモデルの既存事業強化であれば、デューデリジェンスもPMIコストも下がるため、規模を抑えても問題ないという整理だ。


交渉は「意向の強さ」と「スピード」で決まる


M&Aの交渉局面で、春川氏が最も意識するのは「買い手の意向が強いことを売り手にしっかり伝える」ことだ。


「売り主は常に不安です。情報収集だけかもしれない、最後の最後で社長決済が降りないかもしれない、と。だから意向があることを明確に示しながら進めることが大切です」


ポートでは買収フェーズに入ったら春川氏自身が早いタイミングで関与する。最初からトップが出ていく、最初から提案資料を作って出していく——こうしたアクションが他社との差別化につながる。


スピードも極めて重要だ。プロセスを雑にすることはないが、全速力で進めれば意向の強さがさらに伝わる。意向表明や独占交渉の段階に早く入れれば、買い手は有利な立場で交渉を進められる。


「分かりやすく儲かっている会社は売り急ぐ必要がない。一方で、買い手側もこの月までに買わないと困るというケースは少ない。だからこそ、やるかやらないかを早く決めて意向を示すことの優先度が高くなります」


デューデリジェンスは「ビジネスの本質」から始める


デューデリジェンスのスタイルにもこだわりがある。いきなり質問パッケージを投げるのではなく、まずビジネスの本質に触れる議論から入る。


「未上場で売り手がオーナーの場合、『うちのそこを見てほしいわけじゃない』という箇所から細かく聞かれると、温度感が冷めてしまうことがある。最後は当然詳細まで見ますが、最初じゃないですよね」


2021年にエネルギー領域へ参入した際は、新領域だったためマーケット理解がまだ浅かった。だからこそ、「この事業を自分たちが買わせてもらったら伸ばせるのか」を起点とした議論を最初に持ちかけたという。結果として、売り手側からも「ポートとは本質的議論からスタートできて良かった」という反応が得られた。


本質的な質問の具体例として、春川氏は次のような切り口を挙げる。


- このビジネスが何を課題としているのか

- 人材採用が課題か、広告等のコストボリュームが課題か、先行投資コストが課題か

- それを買い手がどう伸ばしていけそうか


この認識合わせを提案資料の冒頭で出してしまい、ディスカッションのネタにする。失礼を承知でぶつけてみることで、議論の質が一気に上がるという。


金額交渉は「最初に決めにいく」


金額については、できる限り早い段階で決めにいくのがポートの方針だ。


「後々交渉し始めるとお互いリスクがあります。期待値がずれると、後から下げてきた・上げてきたというハレーションが生じる。進めば進むほどやめられなくなる構造もあるので、最初に決めるほうがフェアです」


手順としては、ビジネス面のデューデリジェンスを早く済ませ、成長可能性をお互いに認識した上である程度の金額に合意。そこから本格的な各種DDに入る。途中で出てくるプラス・マイナスの要素は、うまく差し引いて最終調整する。


「ある程度決まったのであれば、その金額で行けたら断らないでくださいね、というスタンスです。スタンスのすり合わせを先にしておいたほうが結果的にいい」


もちろん、最初に売り主の希望価格を聞くのが基本だ。それに買い手としてついていけるかを判断し、調整していく。明らかに高すぎる場合は、「下げてくれ」ではなく「ここだと追いつけないけれど、ここくらいなら行けます」という伝え方をするという。


「M&Aはオンリーワンの案件です。その価格を出す会社が見つかれば、もうそれが正解。資本市場のような株価とは違って、決まったものが正解になる世界です」


撤退・売却の選択肢を「正面から取る」ことの重要性


買い手・売り手両方の立場から、春川氏は事業ポートフォリオに入れる基準を明確に持つことの重要性を強調する。


ポートでは年率30%の成長を掲げており、それを下回る事業があると、他事業で補填する必要が出てくる。つまりポートフォリオ全体に対してネガティブな影響を与えうる事業は、売却・生産・撤退といった選択肢を躊躇なく取るべきだという。


「M&Aで30%成長を達成しようとすると、翌期以降の30%達成が本当に大変になります。M&Aで積むのではなく、今の事業で成長率を担保することが大切です」


上場後、絶対額が上がるほど成長率の維持は難しくなる。前期100億円規模、今期150億円規模というポートの実績の中でも、「同じ成長率でも額が変わるので難度は上がっていく」という実感がある。


まとめ


ポート春川社長のM&A論を貫くのは、「決めの問題の比率が高いからこそ、判断軸とスピードを持つ」という姿勢だ。


- ソーシングは広く長くパイプラインを作る

- 既存事業の強化と新規領域の参入で規模戦略を分ける

- 「1億円も10億円も工数は同じ」という前提で大胆に張る

- 交渉ではトップが早期に関与し、意向の強さとスピードで信頼を積む

- 金額は早い段階で決めにいき、後の交渉で揺らさない

- ビジネスの本質から議論を始め、形式的な質問パッケージから入らない

- ポートフォリオ基準を持ち、撤退・売却の選択肢も正面から取る


M&Aを「やる・やらない」を早く決め、意向を明確に示す——この実践こそが、いい会社を買収するための最大のコツだと言えるだろう。


次回はデューデリジェンス、クロージング、PMIについて詳しく聞いていく。


※本記事はYouTube動画を元に編集部で再構成したものです

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目次

  1. 1.上場企業ポート社長が語るM&Aの実践論
  2. 2.ソーシングの起点は「広く・長く」パイプラインを持つこと
  3. 3.ターゲット選定は「既存事業のシナジー」か「次の柱」かの2択
  4. 4.大型ディールへのアプローチは「証券会社」と「問い合わせフォーム」
  5. 5.売り手側からの直接アプローチも「あり」
  6. 6.FAを入れるかどうかは「意向の伝わり方」とのトレードオフ
  7. 7.「1億円も10億円も工数は同じ」——規模戦略の真意
  8. 8.交渉は「意向の強さ」と「スピード」で決まる
  9. 9.デューデリジェンスは「ビジネスの本質」から始める
  10. 10.金額交渉は「最初に決めにいく」
  11. 11.撤退・売却の選択肢を「正面から取る」ことの重要性
  12. 12.まとめ
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