コンテンツ事業の収益変動を補うため、27歳の起業家・福田氏が不動産投資に挑戦。小屋株式会社代表・山内氏に1棟目の選び方、融資戦略、新築木造アパートのメリットなどを直接相談した内容をまとめました。
コンテンツ事業を中核に展開してきた福田氏は、テレビ局や新聞社が収益の柱として不動産事業を持つ姿に着想を得て、自身も不動産投資に取り組むことを決意した。YouTubeメディアをはじめとするコンテンツ事業は、収益の上下が大きいという課題を抱えており、安定したストック型収入で経営の足腰を強化したいという狙いがある。
「正直、自分の性格に合わない気もする」と語りつつも、まずは専門家の話を聞き、自分の手金で買える範囲から始めようと決断。書籍『不動産投資の真実』の著者であり、横浜で小屋株式会社を経営する山内深夜氏のもとを訪ねた。
山内氏は、皆から不動産投資のコンサルティング、収益物件の紹介、売却支援、賃貸管理までを一貫して請け負っている。山内氏が語る不動産投資の最大の魅力は、買った後に「保有している感覚なく」運用できる手離れの良さだ。
景気変動で株価が上下しても、家賃は急に下がらない。家賃収入から運営費とローン返済を差し引いたキャッシュフローが、淡々と積み上がっていく。これがストック型ビジネスとしての強さであり、コンテンツ事業のフロー収益と性質が大きく異なる点でもある。
山内氏が繰り返し強調したのが、「1棟目を堅実にやる」ことの重要性だ。
不動産は1取引あたりの金額が大きいため、最初の選択を誤ると修正に長い時間がかかる。逆に、1棟目を成功させればそれ自体が銀行への実績となり、2棟目以降の融資条件にも好影響を及ぼす。最初は固く運用しながら経験を積み、その上でリスクを取った投資へと選択肢を広げていくのが王道だという。
相談者の福田氏は、株式会社ダイヤリーで動画メディアを運営し、資産管理会社・株式会社福田春で物件購入を検討している。役員報酬は1,000万〜1,200万円台、株式売却で得たキャッシュ約9,000万円(税引き後5,000万〜6,000万円)が手元にあるという状況だ。
山内氏によれば、20代の相談者は近年増えており、最大の武器は「時間」だ。長期で複利的に資産形成できるため、無理なリスクを取らずコツコツ積み上げられる。逆に50代・60代になると、ローン年数の制約からキャッシュフローを急いで作るために高リスク物件に手を出さざるを得なくなる。
会社員と比較すると経営者は融資審査で不利になりがちだが、自己資金を2割程度入れることで、住宅ローン並みの低金利(0.8%前後)で融資が組めるケースもあるという。
融資枠の目安として、福田氏の状況では「1棟もの」を組むなら最低1億円前後が現実的だと山内氏は指摘する。
5,000万円規模の1棟アパートは土地が安く立地が悪いケースが多いため、かえってリスクが上がる。一方で1億円超の新築木造アパートは、東京23区や横浜・川崎エリアであれば賃貸需要も担保価値も期待できる。
中古のRC(鉄筋コンクリート)造は減価償却の長さが魅力に映るが、現在の市況では利回りが低く、購入直後に大規模修繕や水回り交換で数百万円が出ていくこともある。シミュレーション上はキャッシュフローが残るように見えても、運営費に持っていかれてしまうケースが少なくない。
その点、新築木造アパートは15年程度は大きな修繕費がかからず、固定資産税や運営比率も低く抑えられる。残ったキャッシュを再投資に回す現実的な選択肢として優れているという。
山内氏が物件供給エリアとして挙げたのは、東京23区・横浜・川崎の3エリアだ。
特に川崎は、2050年までの人口推計でも1区を除いてすべての区で人口が増加すると見込まれており、アクセス面でも魅力がある。一方で千葉・埼玉の郊外まで企画エリアを広げる業者も増えているが、賃貸需要が伴わないエリアも多く、慎重な精査が必要だと警鐘を鳴らした。
実質利回りの相場感は4.5%から、取れて5%。これは山内氏が手がける物件の標準的な水準だ。
注意したいのは、相場を大きく上回る高利回り物件。「高すぎると逆に引く」と山内氏。立地リスク、出口(売却)リスク、入居者トラブルなど、利回りを高くしないと売れない理由が裏に潜んでいる可能性が高い。現地に足を運び、周辺環境や入居者層を確認することが欠かせない。
優良な仲介会社の見極め方として、山内氏が挙げた基準は明快だ。「1番目は、とにかく止めてくれるところ」。
「やめておいた方がいい」「この物件はあといくら下がったらいい」と提案できる会社こそ信頼に値する。逆に、収益物件が枯渇している市況下で「これもこれもあります」と次々勧めてくる業者は警戒すべきだという。
5社・6社と話を聞き、違和感があればすぐ離れる。不動産会社、工務店、税理士、弁護士まで、長期にわたって付き合うパートナー選びこそが投資成功の入り口であると強調した。
フルローンが難しい現状では、サラリーマンでも95%ローン程度が一般的。経営者の場合は自己資金を2〜3割入れる必要があり、1億円の物件で諸費用込み2,000万〜3,000万円程度が目安となる。
ハイレバレッジの基準について山内氏は、「自己資金1,000万円に対して年間キャッシュフロー150万円なら15%で運用できている。これはそこそこレバレッジが効いている水準。20%・30%となるとリスクが高い」と具体的な数値で示した。
新築アパート投資というと割高なイメージを持たれがちだが、土地の段階から建築の工程を見ながら、間取りやクロス、フローリング、設備などを工務店と一緒に決めていける物件もある。
完成までは半年程度。完成2ヶ月前から賃貸募集を開始し、引き渡しと同時に運用が始まる。中古のオーナーチェンジ物件と異なり、入居者を自社で審査できるため、入居者属性のリスクを抑えやすいというメリットもある。
相談を通じて福田氏が強く実感したのは、スタートアップ事業投資と不動産投資の世界観の違いだ。年率300〜500%を狙う事業投資と異なり、不動産はレバレッジを効かせて20〜30年の長期スパンでコツコツ積み上げていく「大人の投資」。同じ投資でも頭の使い方をまったく分けて取り組まないと失敗する、というのが今回の最大の学びだった。
ローン返済による元金の積み上がりは、毎年ゆるやかに自己資産を増やしていく。10年運用すれば借入残債は大きく減り、家賃収入と合わせて資産形成が進む。今できる投資をコツコツ継続してきた投資家こそが、最も確実に資産を作り上げているという山内氏の言葉が印象的だった。
27歳・コンテンツ事業オーナーが踏み出した不動産投資の第一歩。1棟目を堅実に、新築木造アパートを東京・横浜・川崎で1億円前後、信頼できるパートナー選びから——。フロー収益とストック収益のハイブリッドで経営基盤を固めようとする若手経営者にとって、参考になる視点が詰まった対談となった。
※本記事はYouTube動画を元に編集部で再構成したものです


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