2011年にオリエンタルランド株240万円分を購入したことから始まり、2018年に本格的に勉強を始めて資産を3億円超まで増やした個人投資家・ちょる子氏。1億円到達直後に1日で2,400万円を溶かした体験や、海運株の配当利回り10%で復活したエピソード、そして経営者が投資と向き合う際のヒントを語った対談。
個人投資家のちょる子氏は、2011年にオリエンタルランド(東京ディズニーランドや東京ディズニーシーを運営)の株を株主優待目的で240万円分購入したところから投資をスタートしている。当時の株価は6,000〜7,000円台。それから長く「ほったらかし」状態だったが、2018年の正月に親族回りでふと気づくと、その株が約2,000万円、およそ10倍弱に膨らんでいた。
ちょうどアベノミクスの追い風の最中で、「あのタイミングは誰が買っても何を買っても上がっていた」とちょる子氏は当時を振り返る。2018年10月、消費税増税で景気が悪くなりそうだとの見立てから一度利確。これが、本格的に投資と向き合うきっかけになった。
もうひとりのゲストは、新卒でコンサルティング会社に入社し独立して自身の会社を経営する毛神氏。法人で証券口座を開設し、経営者として最近投資を学び始めたという立場で対談に参加した。
2018年1月、ちょる子氏はまず日経マネーを2冊買ってきて、両誌に推奨銘柄として載っていた東京エレクトロン、メタップス、Jパワーなどをガントチャートに記録するところから始めた。日々の株価、PER、PBR、みんかぶ等の評価などを毎日記録し、買わずに観察し続けた。
グランビルの法則やゴールデンクロスといった、基礎的なテクニカル指標を解説するYouTube動画でクラシカルな勉強を重ねたという。「本当に基本の『き』を、ポジションを取らずにずっと見ていた」のが2018年から2019年にかけての時期だった。
2019年1月、米中対立で中国でApple不買運動が起こり、半導体関連株が大きく売られた局面で、ちょる子氏は配当利回り5%にまで下がった東京エレクトロンに約2,000万円を集中投下した。「年収600万円の私からすれば、配当だけで100万円もらえるなら十分」というシンプルな判断だった。
株主総会では「半導体市場はこれから10年で倍になる」という社長の言葉に背中を押され、長期保有を決意。同時に、当時のトランプ大統領のツイートで日経平均が乱高下する局面が増えたことを契機に、現物株を担保にしたデイトレードにも踏み込んでいく。
育児休暇中で時間が取れた時期と重なり、東京エレクトロンや日経平均先物のチャートを毎日張り付いて観察。「1,000株で157円抜けば日当15.7万円、年間で約3,000万円」というKPIを掲げて、毎日シャトルランのように売買を繰り返した。当時は日銀のETF買いがあり、寄り付きで売られても後場に戻すような動きが読みやすかったとも語る。
対象としていたのはディスコ、アドバンテスト、レーザーテック、任天堂、キーエンス、ファーストリテーリングなどの値嵩株。「157円抜くにはそれだけ値動きの大きい大型株が必要だった」と理由を説明する。
金融バブルとコロナショックの追い風もあり、ちょる子氏の資産は2021年1月に1億円に到達する。240万円のスタートから約2年での到達だった。
しかし、その翌月。AIインサイドという新興のグロース株で、ちょる子氏は1日で2,400万円を溶かす。決算をまたいでストップ高を狙うトレードだった。
「PERが200倍。1億の利益に対して200億の時価総額がついている。新興企業を決算でまたぐのは値嵩株とは訳が違う」と専業投資家の友人に止められたが、決行。ストップ安に張り付き、寄りもつかずに売れない状態になった。
その後も「2021年中に1億円を稼ぐ」という根性論的KPIを取り戻そうとレバレッジを増やし、結果として夏場に資産は6,700万円まで減少。ちょる子氏は「もう戦えない」と心が折れ、相場から退場した。
退場後もTwitterのタイムラインだけは見続けていた。そこで流れてきたのが、海運株(商船三井)の配当利回り10%という情報だった。
「1億円入れれば年間1,000万円。人生上がりだと思った」というちょる子氏は、株価4,500円台の商船三井を1万株、約4,500万円で購入。同時期に同様の高配当が見込まれた郵船もさらに信用取引も使って買い増し、合計1.5億円規模のポジションを取った。
復帰までの期間は、わずか2〜3週間。家族旅行で北海道へ向かう特急列車の中でレーザーテックのデイトレが思うようにいかず、精神的に追い詰められた経験も語った。
その後は手法を切り替え、「暴落時にレバレッジをかけて大型優良株を買う」「含み損も一定までは耐え、年前半の利益を超えたら損切り」というルールを徹底するスタイルに。デイトレで張り付き続ける運用から、より時間を要さない長期目線の運用に移行した。
2023年12月に資産は2億円に到達。「もしかしたら自分は株が上手いのかもしれないと初めて思えた」とちょる子氏は語る。一方で、2024年5月には鬱状態と適応障害を発症。動悸や思考停止といった症状で2か月間動けなくなり、当時の職場からはフェードアウトすることになった。
復帰のきっかけになったのは、IR仲間からの「ちょる子さんは個人投資家・IR・PRという3つの軸を組み合わせれば唯一無二になれる」という声がけだった。現在はPR・マーケティング支援を本業とし、投資は「趣味」として位置づけている。「専業投資家になると本業の収入がなくなって不安が増し、パフォーマンスにも悪影響が出る」というのが、本人の実感だ。
対談では実際のチャート画面を共有しながら、銘柄の見方も話題になった。ちょる子氏が普段見ているのは日経平均の日足ローソク足と、5日線・25日線・75日線の移動平均線。「5日線が25日線に近づいて、そこから上に伸びていくチャート」を好む形として挙げた。
また、「過去に同じようなニュースが出たときに株価がどう動いたか」を遡って調べる手法も紹介。例として、米国の利上げ局面でキーエンスが大きく売られるパターンが、2021年・2022年と同様に繰り返されたことを挙げた。
さらに、新興グロース株は陽線が続いているときの順張りが向き、大型株は押し目を狙った逆張りが効きやすいといった、銘柄属性ごとの戦い方の違いも整理された。「同じ銘柄を研究し続けたほうが学習効率が高く、打率も上がる」とちょる子氏は語る。
毛神氏は、自身がデイトレで含み損を抱えがちな三井金属のチャートを共有し、買うと下がり、売ると上がる経験を相談。ちょる子氏はチャートのレンジ転換やトレンド継続の見極め方をアドバイスし、政治イベント前など不確実性の高い局面では「ポジションを落とす」のがもっとも分かりやすいヘッジ手段であると述べた。
経営者にとって個別株への投資は時間的に難易度が高い、というインタビュアーの問いに対し、ちょる子氏は以下のような視点を提示した。
- 時間軸は長く取るほうが望ましい
- 同業他社や顧客企業のIR・開示資料を読むことは、自社の資金調達やプレゼン、開示の参考になる
- まずは100株からでも個別株を保有することで「当事者意識」が生まれる
- 例えばエンターテインメント領域なら、カバー(ホロライブ)とANYCOLOR(にじさんじ)を比較してみるなど、自分が知っている業界から入るのがよい
そのうえで強調したのは、「自分の必殺技を1つ作ること」だ。「これをやったら勝てる、これをやったら負けるという勝ちパターンを長くやって見つけ、それを伸ばし続ける。大きく負けない投資家は、自分の型を持っている」。
ちょる子氏自身の必殺技は、「大型の優良株を安いときに買う」。年に何度かは『暴落』『◯◯ショック』という見出しが流れるので、そのタイミングで欲しかった銘柄を仕込むのが王道だと締めくくった。
240万円を3億円超に増やしたちょる子氏のキャリアは、追い風の相場に乗ったラッキーだけでなく、1日2,400万円を溶かす痛手や適応障害といった挫折も含んでいる。経営者にとって示唆深いのは、専業ではなく本業を持ちながら投資と向き合う姿勢、そして「自分の勝ちパターンを1つ磨き続ける」というシンプルな結論である。
暴落のたびに欲しかった銘柄をリスト化し、本業の周辺企業から少額で当事者になってみる。それが、忙しい経営者にとって現実的な投資との関わり方なのかもしれない。
※本記事はYouTube動画を元に編集部で再構成したものです


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