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総合>ビジネス動画>投資はなぜ「間違う前提」で考えるべきなのか|田端信太郎×川合直也が語る経営者の投資術

投資はなぜ「間違う前提」で考えるべきなのか|田端信太郎×川合直也が語る経営者の投資術

2025/12/30
M&A CAMPチャンネル
M&A CAMPチャンネル運営局

経営者は本業とは逆方向のリスクをヘッジせよ。アクティビスト投資家の田端信太郎氏とIPOクロスオーバーファンド運用者の川合直也氏が、インデックス投資とアクティブ投資の使い分け、銘柄選定の視点、売り時の難しさ、そして投資を続けるメンタリティまでを率直に語った。

経営者は「自分が取っているリスクの逆」を投資でヘッジせよ


M&A CAMPに登壇したのは、ファンドノートでIPOクロスオーバーファンドを運用する川合直也氏と、個人でアクティビスト投資家として活動する田端信太郎氏。経営者向けの投資方針をテーマに、二人の専門家がそれぞれの立場から考え方を語った。


田端氏はまず、経営者ならではの投資視点として「自分が本業で取っているリスクの逆をヘッジしに行く」という発想を提示する。


「20年前に書店を経営していた人が、これから書店業界に未来はないと感じていたなら、Amazonを買っておけばリスクヘッジになるじゃないですか。トヨタに勤めているならテスラを買っておく。世の中全部が電気自動車になったらやばい、という反対側のリスクを考える」


経営者は一般のサラリーマンや公務員より本業でリスクを取っている。だからこそ「経営者一般」と一括りにアドバイスはできず、飲食店なのか不動産なのか町工場なのかで取るべきポジションは変わる、というのが田端氏の主張だ。


IPO投資という戦略 ―― 「いい会社をちゃんと選べば高いリターンがある」


川合氏の運用方針はシンプルだ。年間100社程度上場するIPO銘柄の中から、いい会社を見極めて投資する。


「いい会社が一定量あるはずで、いい会社じゃないのも一定量ある。その中でいい会社をちゃんと選ぶことができれば、すごく高いリターンがあるはずだという考えのもとIPO投資をやっています」


2025年前半はグロース株が日経平均を上回る上昇率を見せていたが、後半は半導体・AI相場へ資金が流れ、IPO株は売られた。さらに11〜12月にかけては日銀の利上げ観測でインフレ懸念が高まり、グロース株は一段と下落した。川合氏は「今がこの十数年で一番きつい」と率直に振り返る。


それでも貫くのは、IPO投資には期待値があるという確信だ。「1年通せば、2年通せば期待値は必ずプラス10%である」と信じているからこそ、相場が崩れても淡々と続ける。


インデックスかアクティブか ―― 8〜9割はインデックスでいい


「インデックス投資はおすすめか」という素朴な問いに対して、田端氏は川合氏の前で言いにくそうにしながらも明確に答える。


「8割、7〜8割、9割ぐらいはインデックスなのかな。優秀な人たちが集まって選んでも、S&P500に勝つのは大変なんです」


川合氏もこれに反論はしない。「S&P500やトピックスは素晴らしい商品。アメリカ全体や日本全体に何も考えずに投資できる」と認めたうえで、その先にアクティブ運用の価値があると語る。


「S&P500の中でも、マグニフィセント・セブンのような牽引銘柄がリターンを引き上げている一方で、悪いところもある。そのいいところだけを選んでいくのがアクティブの仕事です」


ただし、それを10年続けてインデックスに勝ち続けるファンドマネージャーは「野球で言えば4割バッター級のレジェンド」。アクティブはファンドマネージャー個人に紐づくため再現性が低く、そこがインデックスの強みでもある、と田端氏は補足する。


VCインデックスに負ける時代の運用責任


田端氏が特に強調したのは、ベンチマークとしてのインデックスのレベルが上がっているという事実だ。


「日経225も、昔はみんなJTCでオワコンだと言っていたのに、最近は資本効率の改善で結構な株価パフォーマンスを示すようになってきた。VC業界全体を投資リターンで見ると、インデックスに負けたりしている」


そのうえで「ベンチャー企業を育てるための投資です」と言い訳に聞こえる発言が出た瞬間、それは寄付と変わらない、と厳しい。投資業として勝負する以上、比較対象は常に年10〜15%回るインデックスである。それを複利で上回り続けるのがどれほど大変か、運用に関わる側はその前提を直視すべきだという主張だ。


銘柄選定 ―― 「未来の多数派になる現在の少数派」に張り続ける


個別株の選び方について、田端氏は自身の哲学を明かす。


「YouTubeをやり始めてからは、よくあるやつをピックアップしても面白くない。自分以外がピックアップしなさそうな、世の中に出した時に『あ、田端さんの銘柄ね』と言われるものを選ぶ」


今年取り上げた銘柄として、リアルゲートやインフォリッジを挙げる。投資の本質について田端氏はこう語る。


「世界中の主要な投資家が全員NVIDIAを買ってしまったら、その後に買う人がいない。それが天井だということなんです。投資は常に、未来の多数派になる現在の少数派に身を置き続けることだから、群れたがる人は向かない」


川合氏は対照的に、IPO銘柄を徹底的に深掘りする手法を採る。


「IPOしたばかりの会社は他の投資家もよく知らないし、業績予想も難しい。だから1on1でお話を聞いて、リリースも全部読んで、その会社にとって一番いい時の株価上昇を取りに行く」


ポジションサイズは1銘柄あたり3%程度が中心。「1年で50%ぐらい上がるかな」と判断したタイミングで仕込む、というスタイルだ。


売り時の難しさ ―― 「ピークから下がった」と感じると気分が悪くなる


買い時以上に難しいのが売り時だ。20年以上株式投資を続けてきた田端氏ですら「未だにうまくいった気がしない」と言う。


「3000円で買ったものが7000円まで来たら、もう倍だから十分だと売ってしまう。でもその後1万円になる。本当に正しいのは、天井をつけて下がり始めた8500〜9000円ぐらいで売ること。でもそこまで待てない」


なぜ待てないのか。田端氏は自分の性格を「臆病かつケチ」だと分析する。ピーク価格から下がったと感じた瞬間に「本当はあそこで売れたのに」という後悔が頭をよぎる。「ドヤ顔で天井で売った、と言いたい」気持ちが入ってしまうのだという。


対して川合氏は完全に数字ベースだ。


「自分が見ている銘柄については、半年後に何円、1年半後に何円と全部決めている。年率何十%以上のリターンの可能性があれば持つ、なければ売る。割高だと判断したら、ほぼゼロにする」


2〜3年先までの業績予想を組み、DCFモデルで理論株価を算出する。損切りルールではなく、期待リターンの再計算で判断する仕組みだ。


ファンドマネージャーの構造的な難しさ


田端氏は、ファンドマネージャーが個人投資家以上に厳しい立場に置かれる理由を解説する。


「相場が下がって『ここが底だ』と思っても、解約申し込みが増えれば3日後にはお客さんに現金を返さなければいけない。資金管理担当から『残高の10%を売ってください』と言われる。なくなく売らないといけない」


逆に資金流入が来る局面では、同じ比率を維持するためにも買い増しが発生する。100億円のファンドで1%保有していた銘柄も、10%資金流入があれば1割買い増しが必要になり、それ自体が薄い小型株の株価をさらに押し上げる。この資金フローの逆回転と順回転こそ、ファンド運用の構造的な難しさだ。


ファンドノートが運用残高に上限を設ける理由


川合氏が運用するファンドノートの現在の運用残高は約30億円。注目すべきは「上限200億円」という制限を設けている点だ。田端氏はこれを率直に翻訳する。


「200億円以上の資金を預けられても、今の投資スタイルでは分母が増えるだけでパフォーマンスの利回りが悪くなるので、それ以上はいりません、と言っている。これは正しい姿勢です。ビジネスとしての資産運用なら、預かり資産が多ければ多いほど儲かるに決まっている」


川合氏自身も「リターンのパーセントを出したい。いい数字を出すこと自体がファンドマネージャーとしての価値になる」と語る。資金規模よりリターン重視。これは運用業界では決して当たり前ではない選択だ。


メタプラ的な戦略を運用者はどう見るか


話題は、調達した資金で金やビットコインに投資する「戦略型」企業にも及んだ。田端氏は懐疑的だ。


「企業の価値は、今ある資産プラス将来生み出すキャッシュフロー以外にならない。ビットコインや金が欲しいなら、自分でETFを買えばいい。ゲーム会社が金とビットコインを買うことに、どんな付加価値があるのか」


川合氏も同調する。「『戦略』と言っているが、純資産以上の評価がつく合理性はない。1倍以上の価値はないはず」。会社を解散して株主にお金を返し、各自でビットコインや金を買ってもらう方が理論的には正しい、というのが田端氏の見立てだ。


「カタリスト」という考え方


株式投資はよく美人投票に例えられる。田端氏は、低PERで放置されている銘柄を「楽級委員銘柄」と呼ぶ。地味で真面目な優等生のような銘柄が突然注目される瞬間がある。


「いい銘柄だと実態は良くても、みんなの認識が追いつかない。そのきっかけ、つまりカタリストがいる。社長が変わったり、急に明るくなって現れたみたいな瞬間に、ファンドマネージャーも個人投資家も買いに来る」


M&A CAMPがリアルゲートの田中K氏を早い段階でピックアップしたような「変化の最初の兆候」を見つけられれば、投資としては極めて有利になる、というのが田端氏の見方だ。


経営者へのメッセージ ―― まずは自社株を伸ばせ


投資をいくらの元手から始めるべきか、という問いに田端氏は厳しい。


「外部資金を引いている若い起業家が、上場株の運用に一生懸命になり始めたら、僕だったらイラッとくる。自分の業界のIRを見て参考にするのは否定しないが、そっちで頭がいっぱいになるのはまずい。一番コントロールできるのは自社株だから」


川合氏も同じ趣旨で「やらないよりやった方がいいが、20代後半から30代なら自分への投資の方が好ましい」と語る。


続けることが何より大事


最後に田端氏が伝えたのは、続けることの重要性だ。


「個人投資家で川合さんみたいに突き詰めて真面目にやりすぎると、1〜2年で『もう無理』と全部やめてしまう人がいる。どんなに努力しても短期的なパフォーマンスとの因果関係はほとんどない。10年20年30年でやることが大事だから、楽しめる範囲で、細々とでも続けることが大事」


そしてこう締めくくる。「儲けることより、死なないことが大事」。事業も投資も、続けてこそ価値が積み上がるという視点で一致した対談となった。


川合氏が運用するファンドノートは現在運用残高約30億円、上限200億円までキャパシティを残している。グロース株がラベルだけで売られ、優良企業が3分の1の株価になっている今こそ、グロース投資の仕込み時かもしれない。


※本記事はYouTube動画を元に編集部で再構成したものです

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目次

  1. 1.経営者は「自分が取っているリスクの逆」を投資でヘッジせよ
  2. 2.IPO投資という戦略 ―― 「いい会社をちゃんと選べば高いリターンがある」
  3. 3.インデックスかアクティブか ―― 8〜9割はインデックスでいい
  4. 4.VCインデックスに負ける時代の運用責任
  5. 5.銘柄選定 ―― 「未来の多数派になる現在の少数派」に張り続ける
  6. 6.売り時の難しさ ―― 「ピークから下がった」と感じると気分が悪くなる
  7. 7.ファンドマネージャーの構造的な難しさ
  8. 8.ファンドノートが運用残高に上限を設ける理由
  9. 9.メタプラ的な戦略を運用者はどう見るか
  10. 10.「カタリスト」という考え方
  11. 11.経営者へのメッセージ ―― まずは自社株を伸ばせ
  12. 12.続けることが何より大事
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