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総合>ビジネス動画>20代でメディア売却し億万長者に、それでも鬱になった男の本質的ビジネス観

20代でメディア売却し億万長者に、それでも鬱になった男の本質的ビジネス観

2024/6/6
M&A CAMPチャンネル
M&A CAMPチャンネル運営局

神戸大学卒業後、転職比較メディア「キャリアピックス」を立ち上げ、エイチームに売却した梶川氏。売却後に陥った鬱状態、二度目の起業で見出した「お金は結果」という哲学、大阪を拠点に選ぶ理由まで、若手起業家の本質的なビジネス観に迫る。

大阪の高層マンションで迎えてくれた、メディア売却経験者


数年前に転職比較メディア「キャリアピックス」をエイチームに売却した梶川氏。今回は大阪のご自宅にお邪魔し、M&A体験談からその後の二度目の起業、そして経営観について話を伺った。


リビングにはロイ・リキテンスタインの版画、村上隆の作品、アンダーカバーのハンバーガーランプ、ベアブリックなど、こだわりのインテリアが並ぶ。リバービューの開放的な空間でありながら、家賃は30万円台。「大阪は安いんですよ」と笑う。


キャリアピックス立ち上げから売却まで


神戸大学を卒業後、広告代理店で約2年勤務。その間に広告運用やSEO、サイト制作のスキルを身につけた。その後、独立し、先輩が売却した会社で業務委託としてメディア運営を手伝った後、2018年頃に転職サービスの比較サイト「キャリアピックス」を立ち上げる。


資金調達は、エクイティで1,000万円、デットで600万円の計1,600万円。立ち上げ初期は厳しい時期もあった。


「残キャッシュ300万円ぐらいで、毎月大体300万円ぐらい経費が出ていたんです。だからギリギリでしたね」


半年から10ヶ月ほど赤字を掘り続けた後、徐々に売上が積み上がり、2020年12月にエイチームへ売却。最終的な社員数はわずか4名だった。


「最初から売却前提」だった理由


梶川氏は会社設立前から売却を視野に入れていたという。理由は、神戸大学時代の先輩・同期にM&A経験者が多かったこと。M&A総研の佐上氏をはじめ、サークルの先輩がベクトル傘下で売却するなど、身近にロールモデルが存在していた。


売却タイミングの判断軸は「年間利益約1億円」。月次1,000万円程度の利益が見えてきた頃、転職領域でのSEO単独集客には限界があると判断した。


「競合は月5,000万〜8,000万の広告費を使っていた。SEOだけでは勝てない。エイチームと組めば、上場企業のドメインの強さに加え、広告費を一緒に使うことで許容CPAが上がり、売上も伸びる。そういう仮説でした」


結果、売却後もキャリアピックスは順調に成長。「買収金額以上の利益をもたらしている」状態が続いている。


売却後に襲った「鬱状態」


華々しい売却ストーリーの裏側で、梶川氏はロックアップ期間中に深刻な不調に陥った。


「夜全く寝れなかったり、朝起きてもベッドから出れなかったりという状態が、売却4ヶ月目から8ヶ月ほど続きました」


原因は複合的だった。エイチーム内では中間管理職的なポジションで、現場で一次情報を吸い上げて戦略を考えたい梶川氏には物足りなかった。さらにメディアの売上が徐々に落ちていくプロセスで責任を強く感じた。


そして、もう一つの大きな要因は「M&Aへの幻想」だった。


「上場企業の人たちと話して色々吸収できる、いい場所に住める。そんな期待が大きすぎたんです。でも実際は『別にそんなことないな』って」


億万長者になっても寂しさが残った理由


大金を手にしたにもかかわらず、梶川氏が感じていたのは「虚無感」に近いものだった。


「メンバーは引き続き一緒にやっているのに、僕だけがすごくお金を得たみたいな感じだった。もっとみんなで分かち合って、みんなで面白い仕事をして、みんなで大きくなっていく。多分それを望んでいたんだと思います」


M&Aを経験した起業家の多くは「やってよかった」と感じるなか、梶川氏のスタンスはマイノリティかもしれない。それでも、お金そのものへの執着が薄く、仲間と面白いことを続けるプロセスを重視するタイプだったと自己分析する。


二度目の起業――「もう二度と起業したくない」


売却後、子会社化と吸収合併を経て、約1年でエイチームを離れた梶川氏は、二度目の起業に踏み出した。しかし本人は「もう二度と起業したくない」と苦笑する。


「0→1の立ち上げは本当にしんどい。1円でも多く売上を作る、1円でも経費を下げる。気合の世界で、戦略性なんてあまりない」


二社目で選んだのは、クラブピラティスのフランチャイズ。逆算ではなく、自身が運動不足解消のために始めたピラティスから派生した事業だった。そこから集客改善のニーズに気づき、広告代理事業部として展開。さらに過去の知見を活かした人材紹介事業も手がけている。


「1億作って分配」――独自の資本政策


二度目の起業では、外部調達に頼らず、利益を社内で再投資する方針を取っている。


「1億調達して10%希薄化させるくらいなら、その10%をその1億を作ったメンバーに分配したほうが、自分の思想に合っているなと思った」


まずは足元のキャッシュを作り、管理部・営業部・マーケティング部といったアセットを整えてから、大きな市場へ攻めに行く。スピードは犠牲になるが、それは「ピンが立った時に走れる力を蓄えている」状態だという。


「外部環境で競合にシェアを取られるとか、急ぐ理由が明確なら急ぐべき。でもまだそのピンが立っていない状況なら、急ぐ必要はない」


なぜ大阪を拠点に選ぶのか


梶川氏は「東京にいてはダメ」と若手起業家にアドバイスすることもある。


「東京の人らはすごい優秀でいいと思うんですけど、僕は周りに流されやすいタイプ。自分の心と会話するために大阪にいるんです」


「成長こそ正義」「調達すべき」といった二元論的な思考に陥らないために、あえて情報をコントロールできる環境を選んでいる。


お金は「結果」――歴史から学ぶ本質


最後に、若手起業家へのアドバイスを尋ねると、梶川氏は二元論への警戒を語った。


「やるかやらないかを言っているのは、自分を鼓舞するため。『調達するのが正解』と決めつけるんじゃなくて、目的が何かを考えるべき。グラデーションがあるはずなんです」


そしてお金についての考え方も明快だ。


「お金は結果。物事も人生も、要因と結果の因果関係で成り立っている。お金が得られたのは結果で、その要因をどれだけ作れるかが重要。歴史上有名な人物って、お金を持っていなくても社会に価値を生み出した人がいっぱいいる。研究者やノーベル賞受賞者もそう。お金じゃなくて、もっといろんなアプローチがあると思う」


二度目の起業では「IPOできるような事業を作りたい」とも語る。ただしIPO自体が目的ではなく、「自分がいなくてもこの事業は社会に必要だよね」と言われる状態を作るためのプロセスだという。


メディア売却で億万長者になり、鬱を経験し、再び事業を立ち上げる。その過程で得た「お金は結果」「グラデーションで考える」という哲学は、成長至上主義に疲れた起業家にとって、もう一つのロールモデルとなるはずだ。


※本記事はYouTube動画を元に編集部で再構成したものです

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目次

  1. 1.大阪の高層マンションで迎えてくれた、メディア売却経験者
  2. 2.キャリアピックス立ち上げから売却まで
  3. 3.「最初から売却前提」だった理由
  4. 4.売却後に襲った「鬱状態」
  5. 5.億万長者になっても寂しさが残った理由
  6. 6.二度目の起業――「もう二度と起業したくない」
  7. 7.「1億作って分配」――独自の資本政策
  8. 8.なぜ大阪を拠点に選ぶのか
  9. 9.お金は「結果」――歴史から学ぶ本質
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