26年間AV業界に身を置いてきたしみけん氏が、同人AVプラットフォームの台頭、出演者へのインセンティブ方式への転換、世界市場で60%のシェアを誇る日本AVのグローバル戦略まで、業界の構造変化を赤裸々に語る。
AV業界に26年間身を置いてきたしみけん氏が、業界の収益構造とビジネスモデルの変遷について語った。テレビからYouTubeへの転換に似たパラダイムシフトが、AV業界でも起きているという。経営者や起業を志す人に向けて、同人AVプラットフォームの登場、グローバル市場での日本AVの強み、女性用風俗事業の展開まで、知られざる業界の実態を聞いた。
しみけん氏が「相当いいビジネスモデル」と語るのが、同人AVのプラットフォームだ。一般のカップルが日々の営みを撮影してアップロードし、売れた金額から手数料12〜20%ほどを差し引かれて、残りが収益になる仕組みだという。
「素のカップルが毎日の営みを上げて月4000万円稼いでいる」とまで言うほどの市場規模で、ポルノハブのような海外プラットフォームを思わせるモデルが、日本国内でも成立している。
これまでのAV業界はメーカーが出演者に出演料を支払い、売れようが売れまいが報酬が変わらない買い切り型が主流だった。しかし同人AVではインセンティブ方式となり、当たればリターンが青天井となる。「テレビ業界からYouTubeに切り替わったみたいな感じのことがAV業界でも起きている」とし、出演者の主体性とクオリティが上がり、レッドオーシャン化しつつあるが、それでも参入余地はあるという見方を示した。
しみけん氏自身も同人プラットフォームに自作コンテンツを投稿している。テーマは「脇」。理由は明快で、性器が映らないため審査が甘く、モザイク処理の手間も少ない。編集が楽だという制作面のメリットがある。
4分ほどの脇動画が1本1000円ほどで売れ、世界中の脇好きユーザーが購入する。日本人女性は肌が綺麗でスタイルもよく、いわゆる「アジアン・ビューティー」として世界的な需要がある。しみけん氏はインスタグラムなどで英語発信も行い、欧米で広がりつつあるSNS「リパブリック」にも英訳ページを作成。海外ユーザーにもリーチしているという。
「1回撮り切ったら置いておくだけでいい」資産性の高さも魅力で、出演女性への支払いは出演料のみ。売上はすべて制作者に入る構造になっている。
出演者と契約してコンテンツを制作する従来型メーカーについては、しみけん氏は「ちょっとずつ衰退していく」と見る。
例えば「無敵芸能人レーベル」は最近新作が出ていない。背景にはAV新法(AV出演被害防止・救済法)の影響がある。これまで「騙し騙し出していた」ような契約手法が通用しなくなり、メーカー側にとっては厳しい環境になった。
一方で良い面もある。法律がある中で出演を希望する女性は覚悟が決まっており、頑張る方向性は持っている。ただし「有名になりたい」という方向と、しみけん氏の考える「面白い」がズレることもあるという。
AV男優としての収益構造についても率直に明かした。1本あたりのギャラは5万円ほど。25歳ぐらいから年収3000万円が頭打ちになっており、買い切り型のため夢が描きづらいビジネスだという。
それでも現役にこだわる理由は、肩書きの影響力にある。「初めて自分を知る人にとって、現役か引退しているかは印象が大きく違う」。発信力を維持するための現役継続という意味合いが強い。
同人サイトへの自身の出演動画掲載については「セックスではない」と明言。すでに別の収益源があるため、モザイクの濃淡や立場上の批判リスクなど、エロを扱うリスクとベネフィットを天秤にかけて判断しているという。
日本のAVは世界市場でどう位置づけられているのか。しみけん氏は「世界のポルノ市場の60%をJAV(Japanese AV)が占める」と語る。
海外では日本のAVを指す言葉として「JAV」が一般化しており、しみけん氏自身もアセアン諸国を歩くと声をかけられる。マレーシアの僻地ローカル風俗ですら顔を指される経験をしたという。
「自分の出た作品が勝手に世界中を回って宣伝活動してくれている」状態で、産業として日本が世界で戦える希少なマーケットだとみている。海外にはモザイク規制がない中で、日本独自のモザイク文化が逆に独自性を生んだ可能性も指摘した。
AV業界内でもM&Aは行われている。過激系AVを制作する会社が、衰退している正統派AVメーカーを買収し、別ブランドで継続するといった経営統合のケースもあるという。
ただし業界全体として「エロに携わっていると資金調達が難しい」のが実情で、一般企業からのM&A打診はあまり来ない。金融機関や投資家からの距離が遠い領域であることが、業界再編のハードルとなっている。
しみけん氏が今後注力する事業の1つが女性用風俗だ。現在フランチャイズで2店舗を展開しており、デリバリー型で運営している。利用者は20代から80代まで幅広く、処女の人や著名人も含まれるという。
参入の難しさは、風営法の取得条件にある。風営法の許可が下りる事務所は、現行法ができた年より前に建てられた建物に限られる。そのため新築ビルでは営業許可が下りず、既存の風俗系ビルに入居が集中。「6畳一間で家賃50万円」と言われても払うしかない需給状況が生まれている。
しみけん氏は「存在は知っているけれど怖い、勇気が出ないという女性に安心して使ってもらえるように、自分の名前を出してクリーンに運営する」ことを使命と捉え、一般の経営者を経営パートナーに迎えて事業を進めている。
しみけん氏は、自身のビジネス戦略について「セックスして生きていくだけ」と笑うが、周囲の経営者やパートナーが事業を回してくれている状況を素直に認める。同人AVのインセンティブ革命、JAVのグローバル展開、女性用風俗の市場拡大と、エロを取り巻くビジネス環境には依然として大きな伸びしろがある。
「日本は衰退していると言われるが、エロの分野に関しては可能性しかない」というしみけん氏の言葉は、起業や新規事業を考える経営者にとって、見過ごされがちな市場機会を示唆するものだ。
※本記事はYouTube動画を元に編集部で再構成したものです


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