60万人登録のクリエイターはなぜ「儲け始めるとオワコン化」するのか。雷獣ベテランち・積分サークルさるえるが抱えるグループYouTuberの将来不安に対し、DMM亀山会長が経営者への転換と仲間との向き合い方を語った本音対談。
YouTube9年目を迎える今、コンテンツ過多の戦国時代を生き残るのは容易ではない。今回M&A CAMPに集まったのは、東大医学部在学中のメンバーを擁するグループYouTuber「雷獣」のベテランち氏、大阪大学出身メンバーで構成される「積分サークル」のさるえる氏、そしてホスト役のDMM.com会長・亀山敬司氏。テーマは「YouTuberのオワコン化をどう防ぐか」。
ベテランち氏が事前に用意した質問はストレートだった。
「周囲の似たようなYouTuberがどんどんオワコンになっていっており不安。どうしたらいいか」
学生時代の勢いで前向きにやっていた仲間たちが、卒業後にビジネスを始めると「金欲しいんかよ」と見られ、勢いを失っていく――。これはグループYouTuber特有のあるあるだという。
亀山会長がまず突いたのは、グループの関係性の本質だった。
「仲間ってやつは運命共同体なわけよ。時々会って飲もうぜみたいな友達は、同じ船に乗ってないから各自がどんな生き方しても干渉しない。でも今の話は仲間でやってるYouTuberだから運命共同体だよねって話」
さらに厳しい指摘が続く。
「最悪なのは、船長のやつが『友達やん』と思っていて、みんなが『船長やん』と思っているケース。逆ならお前が寂しい思いするだけだけど」
雷獣もサークル発のため、上下関係はなく敬語で話す関係。「やりたくない」と言われればそれが通る空気感だという。だが会社化を見据えるなら、誰が最終決定権を持つのか――この線引きが避けられない。
さるえる氏は別の悩みを打ち明ける。
「YouTubeで動画の広告収入と企業案件だけで稼ぐのは、レベルの高さや難しさに対して入ってくる額が少なすぎて話にならない」
しかし、もともと「面白ければ食えるしチヤホヤされる」というシンプルさに惹かれてYouTubeを始めた身。塾や病院など別事業を持つYouTuberのように、ビジネスを背負いながらコンテンツを作るのは本意ではない。
さるえる氏自身は最近、塾やYouTube運用支援を試験的に開始。
「これいけるとなったらそこに注力しつつ、動画と2軸でやれたらいいなと模索している」
一方のベテランち氏は「経営者になんてなりたくない」と本音を漏らす。亀山会長は笑いながらも核心を突く。
「自分たちの動画を見たことないけど、なんとなくYouTuberとしての花は2人とも感じない」
亀山会長が繰り返し強調したのは、タイミングの問題だ。
「ある程度右肩上がりの時に次を考える方が動きやすい。下がり出してから動くと、資金もきついし現場のモチベーションも低い」
DMMがビデオレンタルで稼いでいる時期にインターネット事業に投資できたのは、本業が劣化していなかったから。コンテンツそのものを切り売りしてマネタイズすると、視聴者は「金の匂い」を敏感に察知し、ブランドが毀損する。
「YouTubeで作ったブランドやノウハウを別の事業に転用する方が健全。コンテンツ自体を直接お金に変えようとすると劣化する」
オンラインサロンが比較的問題ないのも、コンテンツ本体を変えずにコミュニティという別レイヤーで価値を生むからだという。
話は次第に、生き方そのものへと向かっていった。亀山会長はベテランち氏にこう問う。
「家族を養いたいなら金がいる。でも金儲けにはアレルギーがある。その落としどころができないやつは子供なんだよ。大人として生きるか、子供のまま『ごめん、お前たちの面倒見れないから各自やってよ』と言って独身で孤独死していくか」
ベテランち氏は「孤独な荒野が好き」と言いながらも、「集まってきちゃうんですよ、優しいから」と笑う。亀山会長は容赦なく切り込む。
「それは優しぶってるだけ。ちゃんと背負わないなら最初から面倒見ない方がいい。依存だけさせて、お前がホストかみたいな」
さるえる氏は2年前、すでに「愛の方に行く」と腹を決めたという。仲間を抱えて経営者の道を進むか、一人で身軽にクリエイターを貫くか――この分岐を曖昧にしたまま走り続けることが、最もオワコン化を加速させる。
対談の着地点は意外にもシンプルだった。「生き方を決める」――これに尽きる。
亀山会長の助言を整理すると次のようになる。
- グループ内で「友達なのか仲間なのか」を全員で確認する
- YouTubeが好調なうちに次のビジネスに時間と資金を投下する
- コンテンツを直接マネタイズせず、ブランドやコミュニティを別事業に転換する
- 編集など実務は外注し、自分の時間を「次の道を探す」ことに使う
- 仲間を背負うのか、一人で生きるのか、曖昧にしない
クリエイターから経営者への転換は、覚悟と時間との勝負だ。「もうちょっと孤独でいたい」と漏らすベテランち氏に、亀山会長は静かに告げた。
「もうちょっと行ってもいいけど、間に合わないから」
登録者60万人を超えるトップクリエイターたちが直面するリアルな葛藤は、規模を問わず多くの経営者・表現者に通じる普遍的な問いを含んでいる。
※本記事はYouTube動画を元に編集部で再構成したものです


2026/2/28

2024/5/17

2026/1/31

2025/2/14

2024/11/19

2024/5/24