登録者400万人超のYouTubeグループ「コムドット」リーダー・大和氏が、DMM亀山会長に経営相談。地元の友達だけで年商十数億円を生む組織運営の裏側と、属人性を武器に一生続ける会社の在り方を語り合った。
チャンネル登録者400万人を超えるYouTubeグループ「コムドット」。そのリーダー・大和氏がM&A CAMPに登場し、DMM.com会長の亀山敬司氏に経営相談を行った。テーマは、地元の友達13名で運営する会社をいかに長く続けていくか、である。
大和氏は冒頭、自社の経営スタンスをこう語る。
「会社として拡大していきたいとか、売上をガンガン上げたいということは基本的にあまり考えていなくて。シンプルに、地元の友達と始めたYouTubeにお金が入ってきて、社会や法律から自分たちの仲間を守るための箱として会社を運営している、という感覚です」
社員旅行に行けるだけのお金、新しい事務所を建てるためのお金。必要になったら必要な分を稼ぐ。スタートアップ的な売上目標から距離を置いた経営観だ。
会社のメンバーは約13名。出演メンバーは中学校時代のバスケ部の同級生で、最も古い付き合いだと小学校1年生から同じクラスという関係性だ。周囲のスタッフも高校・大学時代の友人が中心で、能力でのヘッドハンティングは一度も行っていないという。
組織は大きく二部門に分かれている。
- 編集部:動画編集を担当
- マネジメント部:メンバーの活動サポート、スケジュール管理
年齢も大和氏と同い年か1歳下のみ。新メンバーが入る場合も、社員の信頼できる友人など縁を辿ったルートが基本で、一度に複数人を採用することはしない。「一気に5人入ってきたら全員が困惑してしまう」と大和氏は語る。
会社全体の売上は年間十数億円規模。YouTube広告収益だけに依存すると波が大きく、社員も安心できない。そのため事業を約6本の柱に分散させ、収益の安定化を図っている。
「水商売のように波があると社員も安心できない。だからこそ、収益を安定させることは意識しています」
グッズ制作なども社内デザイナーがデザインを起こし、製造は外注で回す。コアの「属人性のある15人」を中心に、外部リソースを使って事業を組み立てる構造だ。
大和氏が抱える悩みは明確だ。1人欠けただけで会社が回らなくなるリアル。一方で、闇雲に人を増やしたくはない。仕事の選び方や属人化の解き方をどうすべきか。
これに対し亀山会長は、はっきりと答える。
「実現するには、もう属人性しかないじゃない。属人で繋がっている組織なんだから。普通の会社は仕組みを作って誰が来てもできるようにするけど、君たちが自分たちでそういう風にやっていきたいっていうのが目的なら、もう属人性で一生行くしかない」
M&Aの世界でも「属人性の高い会社は買わない」とよく言われる。社長が抜けた瞬間に組織が崩れるからだ。しかし大和氏のように、将来の売却や上場を目的としていないのであれば、属人性こそが最大の強みになる。テクノロジーでは勝てない領域だからだ。
属人組織の最大のリスクは、人間関係の軋轢だ。能力差、給与への不満、相性の悪さ。大和氏はそれをコミュニケーションの徹底でマネジメントしている。
「マネジメント部のメンバー同士で話せないことはないと思います。コミュニケーションを取った結果、『仕事だから助けたい』ではなく、『人間として一緒に働いていきたいから助けたい』になる。すると助けられる側も『こいつのために頑張りたい』になる」
このまま仕事ができなければ一緒にいられなくなるかもしれない、それは友達として悲しい。そうした感情ベースのサイクルが、組織の結束を支えているという。
大和氏自身は、リーダーとして強烈な決定権を持つ。給与決定、事業方針、すべて大和氏が決める。それでも組織が割れない理由について、本人はこう語る。
「チームってリーダーが決めたことを全員で100%の力でやるのが一番成長が早いと思っていて。平等にやると不満が出てバラバラになる。中学のバスケ部キャプテン、修学旅行の班長、団長と、みんなが僕がリーダーで動くことに慣れていた。だから僕がリーダーとして決めたことを全力でやってくれて、爆発的な力が生まれた」
亀山会長はこれに同意しつつ、こう加える。
「リーダー力があるんだけど、一方で謙虚さもある。みんながいるから俺がいるんだという気持ちがあるから、みんなも傲慢にならずについてくる」
Xでは強気な発言も多いが、それは外向けの戦略であり、スタッフに対しては謙虚であること。この使い分けが、チーム解体を防ぐキーになっているという指摘だ。
メンバー間の給与は全員同じ。個人活動も最終的にはコムドットというチームに還元される設計だ。誰かが全く関係のない事業を1人で始めると言い出したら「それはないでしょう」となる。フラットな関係性と、コアへの求心力が同居している。
音楽制作についても同様で、ユニバーサルミュージックと組んで楽曲をリリースする際、歌詞は必ずメンバー自身が書く。「こいつがこの曲を歌うから意味がある」という属人性に、価値の源泉を置いているからだ。
コムドットは2025年現在で結成から長く、ファン層も25〜34歳が約70%を占めるまで成長してきた。当初の中高生ファンが共に大人になった構造だ。
大和氏は飽きられないための工夫もこう語る。
「演者は3年周期で飽きられると思っていて、誰にとって3年か分からないので、毎年誰かが新しい挑戦をしまくる。常に3年目、4年目に差しかかったタイミングで、誰かがまた新しいことをやっているから追いかけたいなと思える構図を作っています」
対談の終盤、大和氏は経営観をこう言い切った。
「友達と一緒にいたいというのがプライオリティとしてあるので、そのために必要なのは何かなで動いていけば、自分自身がぶれない。仲間と楽しい思い出を残して、それを動画にしてみんなに届けて、みんなにも幸せになってもらう。経営は手段でしかないですね」
亀山会長も、これに静かに頷く。
「組織は収入がないと食ってけないから、そういう面は携えながら、メインがそこに置いてある会社はいいんじゃない。ずっと属人的でいいよ」
亀山会長は自身の経験から、こんな話も明かした。長く事業を続ける中で、結婚や家族の事情で関係性が変化していくこと。兄弟経営で配偶者からの圧力により仲が悪くなるケース。リーダーが2人いると揉めやすく、最低限51:49にして「やめるなら49側」という構造にすべきだということ。
大和氏は、それでも理想を語る。
「おじいちゃんになった時に一緒にいられれば、僕はそれがゴールです」
亀山会長は、自身がかつてメンバーを切らざるを得なかった経験に触れ、こう締めくくった。
「俺は途中で挫折したけど、君たちにはやり抜いてみてほしいね」
コムドットの経営は、一般的なスケール志向のスタートアップとは対極にある。仕組み化を進めず、人を増やさず、属人性を強みとして残し続ける。それは経営理論からすれば「弱点」かもしれないが、「一生友達と一緒にいたい」という目的に対しては、最も合理的な手段である。
亀山会長の言葉を借りれば「属人性で一生行くしかない」。逆に言えば、目的が明確であれば、属人性は最強の参入障壁にもなる。テクノロジーやAIでは代替できない、人間関係そのものを資産にした経営の一つの形がここにある。
※本記事はYouTube動画を元に編集部で再構成したものです


2026/4/29

2026/2/28

2024/5/17

2026/1/29

2026/1/22

2026/1/7