YouTubeグループ「コムドット」のリーダー・やまとが語る独自の経営哲学。バイアウトせず、仲間13人で売上10億円超を実現する『最強サークル経営』の裏側と、自信の源泉、長期視点の戦略を本人の言葉で紐解く。
YouTubeグループ「コムドット」のリーダー・やまと氏(1998年生まれ・27歳)は、自社で事業を運営しながらコンテンツIPを育てる稀有なクリエイターだ。法人化から6期目、メンバーとマネージャーを含む13人体制で、東京ドーム公演も実現する規模に成長している。
しかし本人に「経営者」という自覚はないという。
「バイアウトする予定もないですし、今いるメンバーと一緒に働いてくれている社員と、おじさんになってもずっと一緒に今の仕事ができるように、外の要因から守るための箱。その箱を運営する人みたいな感覚なんです」
全員と毎日話せる範囲の人数しか抱えない。スケールさせないからこそ、結果としてスケールしていく——それが彼の言う「最強サークル経営」の根幹だ。
コムドットがYouTubeを始めた2018年当時、すでに「ここから売れるのは難しい」と言われていた。しかしやまと氏は先輩クリエイターたちのコンテンツを見て「何も面白くない、何もイケてない。全員ぶち抜けて当然だ」と感じたという。
大学2年生の頃、彼はもともと起業を志して投資家にも会いに行っていた。中小企業診断士の勉強もしていたが、「結局使わないと身につかない」と感じていた矢先、目の前に現れたYouTubeに「企業」としての可能性を見出す。
「仲間と一緒にいるためにYouTubeでお金を稼いでみるか。僕からしたら起業という感覚でこのYouTube業界に飛び込んだ」
初動は地道そのものだった。原宿で1人ひとりに声をかけ、チャンネル登録を依頼する日々。
「1日300人を毎日増やしていけば、この日までには100万人行くよねという計画を出した。最悪伸びなかったら100万人まで声かけようぜという熱量があった」
ポイントは、単なる登録者ではなく「仲間」を獲得していたこと。「絶対僕たち有名になるんで写真撮りましょう」「Hikakinさんと写真撮ったのと一緒だから」と曇りのない目で言い切ることで、フォロワー200人の女子高生がそのまま自分たちの拡散装置となった。
この「圧倒的自信」を全員が平等に持てたのは、5人が同じバスケ部出身という土台があったからだ。「友達であり、チームメイト・仲間であった。だから『これやらなきゃダメでしょ』『ここ一発気合入れようぜ』とお互い声をかけ合えた」
コムドットの強さは、収益構造の設計にもある。広告収益への依存を早期に断ち切り、ブランド、グッズ、イベント、書籍など複数のキャッシュポイントを構築した。
「再生回数・広告収益だけに依存したビジネスモデルだと絶対追い込まれて過激化していく。本当に俺らが届けたい動画はどういう動画なんだろう、と本質的なことを考えられた」
再生回数についても「暫定的な評価」と捉え、数字で一喜一憂しない。「ここ数年、再生回数によってメンタルがブレたことは1回もない」と断言する。
5人のメンバーは3ヶ月に1回、テーマを決めずに4〜5時間話し合う「気持ち会議」を行う。
「お互いの内面の奥底にある不安だったり希望だったりが見える。じゃあこの会社という箱を使って、お前の個人的な夢を叶えようよ。その個人的な夢を叶えることがチームに貢献することになる——それを話した後にちゃんとビジネスにするのが僕の仕事」
5億円で購入した事務所も、こうした「やりたいこと」をプロセスの中に埋め込む象徴だ。「お金を稼ぎたい感覚は本当になくて、欲しいものや叶えたいことのために稼ぐ」というスタンスが、モチベーションを枯渇させない仕組みになっている。
Xでの過激な発言はしばしば話題になるが、本人は意に介さない。
「Xで火力高いことを言ってる時、普通にInstagramでは自撮りを上げているし、YouTubeでは友達と笑っている。最終的にこのXを見た人たちが『なんだこいつら』となってYouTubeに飛んできて、好きになってくれるかもしれない。可能性がある限り、増やせるだけ設置面を増やしたい」
オンラインでの攻撃が物理的リスクにもつながりかねない時代に、あえて尖り続ける。「結構火力高いこと言った後、僕Xを閉じてて。8時間後に見ると何百万インプレッションって。その間に俺は仕事してるぜっていうメンタル」と、自分なりのメンタル維持法を確立している。
やまと氏は、SNSにおける「他者比較」の罠を鋭く指摘する。
「SNSはアルゴリズムで成功者ばかり出てくるから生存者バイアスがかかっている。本当はその人たちも家庭で努力してきてそこにたどり着いているのに、間違った比較をして自分は劣っていると思ってしまう」
自己啓発書にある「他者比較をやめろ」というメッセージも、SNSすら見ない生活が現実的でない以上は機能しない。だからこそ「比較すべきは昨日の自分、1週間前の自分、1ヶ月前の自分。それに毎日勝てるようになって初めて周りと比較すべき」と説く。
圧倒的自信の裏には、挫折もあった。中学3年でバスケ部キャプテンを任されながら、背番号4でベンチだった経験だ。
その時、経営者である父からこう言われた。
「実力を伸ばすのも大事だけど、お前がなんでリーダーなのかを考えろ」
出した答えは「誰よりもチームのことを考えられるから」。以降、対戦相手の偵察に出向くなど、プレイヤーではなくリーダーとしてチームに貢献する道を選んだ。この経験が今の経営スタンスの原型になっている。
最終的にやまと氏が見据えているのは、30代での教育分野への進出だ。
「軸足はコムドットだけど、もう1本の足を教育にどっぷりつけたい。そこから逆算して、どれだけ芯を食った信頼を集められるかを考えている。光を強くするには影も強くしないといけない」
大学2年生の時、お世話になっていた水球部の先輩から「やまとは何をしていると幸せなの?」と問われたことが、起業を決意するきっかけだった。「自分が一番感謝されるし、一番結果を出せている」のがリーダーとしての行動だと気づき、視界が一気に晴れたという。
対談の最後、やまと氏が色紙に書いた言葉は「自分で決めろ」だった。
「それぞれの幸せはそれぞれ違う。誰かが『これうまくいくよ』とやったことでうまくいって、果たしてお前は納得するのか。こんな時代だからこそ言いたい」
著書『命の燃やし方』も、SNSによって生きがいを奪われた現代人が「自分らしく全力で生きる」ことを取り戻すために書かれたものだ。0章「自分を知る・自分を生かす」だけでも全日本人に読んでほしい——それが今の使命だと語る。
規模を追わず、仲間と長く続ける。広告収益に依存せず、複数の収益源を持つ。SNSでの設置面を最大化しながら、本質は教育に置く。コムドットやまとの経営論は、スタートアップやクリエイター経済を考えるすべての人にとって示唆に富むものだった。
※本記事はYouTube動画を元に編集部で再構成したものです


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