M&A CAMPを運営する株式会社ダイヤリー代表の1週間に密着。1.1億円の融資、ロックアップ期間終了後の経営の難しさ、フラットな組織観、取材アポ獲得の苦労まで、27歳経営者のリアルな日常と思考を本人の言葉で綴る。
M&A CAMPを運営する株式会社ダイヤリー代表のしさん(27歳)の1週間に密着した。朝は7時からスタバで作業を始めるという。「人混みが嫌いなので、人がいない時間の方が集中できる」と語る。
オフィスでは社長自らがトイレ掃除をする姿も見られた。「心が磨かれるそうです」と冗談めかしながらも、こうした日々の積み重ねが小さな会社の経営を支えている。
密着初日、しさんが向かったのは融資を受けている銀行だった。4ヶ月前に借り入れたお金の進捗報告と追加融資の相談だ。
「今までは保証協会付き、つまり他の会社が保証してくれるスキームだったんです。今回はプロパー、銀行さんから直接借りるという形なので、銀行もリスクを取って貸してくれている。だからちゃんと報告に行かなきゃいけない」
累計で1.1億円もの借入をしている経営の現実を、しさんは隠さず語る。
ダイヤリーは現在4名体制。前社の売却に伴うロックアップ期間が今年2月に終了し、経営のフェーズが変わったという。
「最初1人でやっていた時は利益が出やすかったけど、チームにすると僕の経営能力がまだ足りないから利益は出にくいんだなと痛感しています」
「人数が増えれば固定費も増える。売上が安定しているわけじゃないので、気を抜いたら赤字になるんだと、めっちゃ思いました」
去年までは利益を確保できていたが、今年は11月12月に営業を頑張らなければ着地が厳しいという。投稿頻度を一時的に下げ、タイアップ営業に力を入れている最中だ。
※ロックアップ期間:M&Aで会社を売却した際、売り手側経営者が一定期間は引き続き会社に残ることを契約で定める期間。
ダイヤリーの収益の中心は、YouTuberの企業案件だ。今年からは「キャリアジャンプ」というエージェント事業もスタートさせた。社長の業務として最も時間を割いているのは「タイアップ営業」「キャスティングのアポ取り」「採用」の3つだという。
「コンテンツを作る上でも、結局アポ獲得が一番大事なんですよね。取材アポが取れない限り、いい動画は撮れない」
アポイント獲得は半分以下の確率で、決して打率が高いわけではない。「数をいっぱい送っているだけ」と本人は語る。
M&Aや経営をテーマに取材を続ける中で、いつか必ずアポを取りたい人物として、しさんはDeNAの南場さん、サイバーエージェントの藤田さん、そして孫正義さんの名前を挙げた。
「他のメディアでいっぱい出ている人だと、別に自分たちじゃなくてもいいじゃんと思っちゃう。でも、できればこの3人には取材したい」
動画制作で大事にしている価値観について聞くと、「体当たり・等身大・ライブ感」の3つを挙げた。
「突き詰めると、クリエイティブというよりは自分の感性や感覚に従って、会いたい人にアポを取って体当たりで取材するみたいなのが、結果的に動画として受けている気がする」
メントスコーラなどエンタメ動画を作っていた大学2年生の頃、合宿で出会った友人から「強みは行動力だから、それを生かして動画を作った方がいい」と言われたのがきっかけで、「石川県 社長」「石川県 偉い人」と検索して片っ端からアプローチを始めたのが、現在のスタイルの原点だという。
社員との関係性についても、しさんは率直だ。
「個人的にはフラットな組織がいい。みんなが自分の会社だと思って、自分が社長でも大丈夫なくらいのマインドでいてほしい。ただ、人が増えたら運営上は難しいので、役割としてはピラミッド構造にはなる」
一方で、スピード感については別の見解を示した。
「スピードは一番大事。なので、緩い独裁ですね。緩い独裁国家を作りたい。それぞれの事業や持ち回りで、一番考えている人がリーダーで、その人の差配でいい」
ダイヤリーでも今年に入って数名のメンバーが退職している。多くはM&Aのロックアップ期間終了と同じタイミングだったという。
「M&Aって結構でかい意思決定で、それは全部自分が引き起こしたこと。売却先と自分と社員とユーザーさんと、みんなの幸せを同時に叶えることが難しくて、板挟みになって自分自身が病んだ時もあった。社員にしわ寄せもいった。それで、大きめの意思決定はちゃんと慎重に考えるようになった」
寂しさを感じつつも、「やめた人がもう一回戻ってくる可能性がある会社」であることに、ダイヤリーらしさを見出している。
M&A CAMPを始めて1年弱。多くの経営者と出会う中で、しさん自身も学びを得ているという。
「最近、勘違いしちゃいけないなと思ったのは、偉い人と会いすぎて自分が偉いって思っちゃいけないなって。コメント欄で『偉そうになってる』と言われて、確かに反省だなと思った。嘘をつかないことが大事。バレるんで、どうせ」
「コメント欄の皆さん、結構正しいなって思っています。僕らの会社は別に上手くいっているわけじゃない。1.1億も借り入れしているし、健全な状態ではない。これから頑張っていく様子を届けたい」
ダイヤリーに合うのはどんな人か。
「カオスな環境を楽しめる人。目標達成の途中の状態そのものを楽しめる人。苦しいけど楽しいを楽しめる人がすごく向いている。つまり、変態。変態たち、来てください」
クロスフィットの大会出場、60歳のインターン生・杉浦さんが開いてくれた結婚式パーティー、武蔵野大学3年のインターン生もっちゃんとの取材同行──。1週間の密着には、年齢も立場も超えて集まる多様なメンバーの姿があった。
1.1億円の借入、ロックアップ期間終了後の利益確保への葛藤、退職者の存在、コメント欄での反省。決して順風満帆ではない経営の現在地を、しさんは隠すことなく語った。
「これから頑張らないといけない、健全な状態ではない会社」だと自認しながらも、フラットな関係性とスピード感を両立させ、欠点よりも互いの強みを補い合う組織を作る──そんな27歳経営者のリアルな1週間だった。
※本記事はYouTube動画を元に編集部で再構成したものです


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