「お金でかっこよさは買えない」。DMM.com会長・亀山敬司氏が語る、かっこいい大人の定義とは。権力の使い方、自己満足の哲学、そして自分自身を褒められる生き方について語った。
DMM.com会長・亀山敬司氏が考える「かっこいい大人」の定義は、シンプルかつ逆説的だ。
「かっこいい大人は、かっこつけてる大人。大人になると開き直っちゃうんだよね」
誰もが若い頃は「モテたい」「かっこよくありたい」と願う。しかし年を重ねるにつれ、生活に疲れ、身だしなみも面倒になり、「どうせおっさんだから」と開き直ってしまう。亀山氏はそこにこそ、かっこ悪さの本質があると指摘する。
たとえばキャバクラで「どうせモテないんだから」とセクハラまがいの行為に走る男は、開き直った時点でかっこ悪い。むしろ野生を我慢し、真面目ぶってでも品位を保とうとする姿勢こそが「かっこつける」ということだ。
「かっこつけるって、無理して強がらないといけない。能力かかるんだよ」
仕事の場面でも、この哲学は貫かれる。亀山氏は「権力」について独特の見解を持つ。
「権力って、使った分が減るんだよ。だから、持って増やすだけ増やして、使わないまま死んじゃうのが一番いい」
権力とは、地道にコツコツ仕事で頑張り、信頼を積み重ねた結果として生まれるもの。それを横暴に使えば、たちまち人に嫌われ、消費されて消えていく。
ただし例外もある。誰かを助けるために使う権力は減らない。水戸黄門が印籠を出して悪代官を懲らしめるのは、虐げられた人々から感謝される使い方だからだ。一方で「うまいもの持ってこい、女を持ってこい」と私利私欲のために振るえば、それはただのかっこ悪さでしかない。
とりわけSNS時代の今は、横暴な振る舞いは即座に書き込まれ、回り回って自分に返ってくる。「人の恨みを買って、いいことなんてない」と亀山氏は語る。
仕事がうまくいくと、人は自信を持つ。それ自体は良いことだが、持ちすぎると謙虚さを失う。
亀山氏は具体例を挙げる。友人の社長に「お前の会社の株価、ちょっと高すぎるから今のうちに増資するか株を売っておけ」とアドバイスしても、調子に乗っている社長は「いやいや、まだまだ上がりますから」と聞く耳を持たない。客観的に見れば過大評価でも、本人は自分の実力だと信じ込んでしまう。
では、どうすれば客観性を保てるのか。
「裸の王様はかっこ悪い。だから時々、自分を別のカメラで見ないといけない。哲学者になるのと同じで、自分を俯瞰で見る」
亀山氏は、こうした生き方を「突き詰めればモテるための自己満足」だと言い切る。
「かっこいいかどうかなんて、人によって違う。本当のかっこよさなんてどうでもいい。自分がかっこいいと思えるかどうか。全部、自己満足だよ」
そして自分の中の「かっこいい像」をどう作るか。亀山氏は少年ジャンプを例に出す。仲間を守るヒーロー、金を持っても威張らない男――若い頃に憧れた人物像と、今の自分とのギャップを時々振り返る。それだけのことだという。
「みんな元々、自分が成りたかったヒーローに近づいているか。時々振り返るだけの話」
経営者には、誰かを助けるために誰かを切らねばならない場面がある。亀山氏も心は痛める。しかし、痛めて何もしないことと、痛めながらも決断することのどちらがかっこいいか――その基準が判断を導く。
「情けで仕事を続けさせて会社が潰れるよりは、厳しいけどやっていく方が俺的にはいい。自分の中で勝手に、自己満足でやってる」
漫画『東京リベンジャーズ』の主人公・タケミチのように、力不足で大事な人を守れなかった経験を糧に成長していく。現実の社会でも、10代には戻れなくても20代、30代ならやり直せる。そのときの基準は、自分の中のヒーローでいい。
最後に亀山氏が強調したのは、「自分が自分を褒められるか」という視点だ。
「実際、自分が一番褒めてくれるのが一番幸せだよ。どんな芸能人も、周りがどれだけ褒めても自殺してしまう人がいる。あれは、本人が自分で自分を褒められなかったんじゃないか」
YouTuberや起業家でも同じだ。誰も見ていない場所で、こそこそやることが必ずある。秘密も含めて、自分だけが知っている自分。そこでかっこ悪い行いをしているなら、やめておくしかない。
亀山氏は近所の80歳を超えるおじいちゃんの話をする。庭の苔を維持するために、人の見えないところでひたすら草むしりをしている。傍から見ても尊敬するし、本人も「今日も苔の状態がいいな」と満足しているはずだ。
「いい人生だと思うよ」
評価は他人と比べるものではなく、自分と比べるもの。それが、かっこいい大人であり、幸せに生きるためのポイントだ――亀山氏のメッセージは、シンプルで力強い。
※本記事はYouTube動画を元に編集部で再構成したものです
