会社を売却し鎌倉で暮らすたろたんパパママ夫妻が語る、良好な夫婦関係の築き方。「真逆」だった2人がいかに支え合い、企業価値算定にまで妻の人生を組み込んだのか。経営と人生の本質に迫る対談。
鎌倉・稲村ヶ崎で暮らすたろたんパパママ夫妻。会社を売却し、現在は穏やかな日々を過ごしているお2人に、良好な夫婦関係の秘訣を伺った。
一見ぴったり息の合った仲睦まじい夫婦に見えるが、実は性格は「真逆」だという。
「最初はぶつかってばかりでした。ママはぶつかっても口には出さない人で、僕の方が一方的に怒っていた。若い時は余裕がなくて、理由なくママに当たってしまうこともあったんです」とパパは振り返る。
ママは「私はもう影で泣いているしかなかった」と当時を語るが、「出会ったことで、私もこういう風に強くなれたんだと思います」と続けた。根底には常にお互いへの愛情があったという。
パパが語る人生観が興味深い。
「人間はみんな半人前なんですよ。男性と女性、またはパートナーが初めて一緒になって1人前になる。僕は右側50%、ママは左側50%。一緒になることで1つになる」
もし同じタイプの人と結婚していたら、その50%の世界観しか見られなかった。真逆だからこそ視界が一気に広がったという。
「僕は昔、肉しか食べなかった。でもママはずっと和食が好きで、最近は和食ばかりです。お互いの世界観が広がり、発見もたくさんある」
夫婦関係を良好に保つコツとして、お互いの違いを理解した上で許し合うことを挙げる。
「うちは犬と猫を飼っていますけど、犬と猫って違うわけじゃないですか。それを理解していなかったらイライラしてしまう。男性と女性も同じです」
お2人は会社でも一緒に働いていた。ママは取締役として銀行との大きな資金移動の場面で出番がある立場だったが、週3日の出勤に留めていた。
「家でも話ができるので、べったり感はなかった」とママ。パパも会社近くにマンションを借り、週3日ほどそこで過ごしていたという。
仕事については徹底して切り分けていた。
「会社にいる時は完璧に分けていました。社長室もありましたし、彼女のスペースも別。僕に用がある時は、ママでも秘書を通じて言わなければいけない。そこをきっちり分けていたんです」
子育てはほぼママが担当。「お風呂に入れたのも人生で2、3回」とパパ自身が振り返るほどだ。しかし、運動会、授業参観、卒業式、入学式、子供たちの大会など、外せない場面には必ず参加した。
「父親業も経営者も、何が大切かポイントを押さえることなんです。予定が分かっているから秘書に言って、そこだけは絶対に空けておく」
教育方針はシンプルで「自由」。ただし「言ったことはやれ、有言実行」という一点だけは譲らなかった。
「子供たちには期待していません。期待するから裏切られて、むかつくんですよ。期待しないでいれば、慶應に受かったなんて聞いた時にすごいと思える」
息子のたろたんが大学を休学してYouTubeを始める際にも背中を押した。「可能性があればやるべき。SNSの時代は確実に来るんだから」と語る。
パパが会社を売却する際、その金額算定には独自の基準があった。
「ママとは年の差が5歳。男女の平均寿命差も5歳。つまりママは10年1人になる時間がある。売却金額は、ママの人生が終わる時まで不自由をさせないことを考えて決めました」
そしてM&Aの本質についてもこう語る。
「買う側からすれば、現実だけでなく、未来があるのか、伸び代があるのか、もっと言えばロマンがあるのか。会社を買うのは結局、人間ですから。そこにロマンがあるかどうかが価値なんです」
夫婦関係を続けたい人へのアドバイスをママに尋ねると、即答だった。
「笑顔で支えること。家に帰ってきた時にほっと安らげる場所を提供できれば、また次のエネルギーを溜めて頑張ってくれる」
パパも応える。「お互いがお互いを支えようとする気持ちが大切。そして『言わなくても分かるでしょ』ではなく、ちゃんと言葉にする。それを常にオープンにしているから誤解もない」
そして語られる究極の夢。
「僕らの最後の夢は、2人同時に死ぬこと。誰にも知られないまま白骨化して、骨が手を繋いでいる──それが夢なんです」
近々鎌倉の自宅も売却し、森の中に平屋を建てる計画だという。煙突から煙が出て、焚き火で芋を焼くような暮らし。「あそこにおじいちゃんとおばあちゃんが仲良く住んでいる」と言われるのが理想だと笑う。
「世間体なんかどうでもいい。気にしているやつは上に上がれない。自分の人生が一番大切なんだから、自分がこれだと思ったら周りの意見は聞かずに突き進む。出る杭は打たれるから、出すぎた杭になればいいだけ」
会社という愛情の対象を、家族へと移したパパママ夫妻。経営と人生の両方に通じる本質が、その言葉の端々に滲んでいた。
※本記事はYouTube動画を元に編集部で再構成したものです
