ネット上では「怖い」「攻撃的」と評される投資家・田端信太郎氏。送りバントの西氏・高山氏が本人を訪ね、なぜそう見られるのか、本当はどんな人物なのか、そして個人投資家として何を目指しているのかを語り合った。リアルゲート株への投資、バー構想、アドウェイズのサウナ事業まで、田端氏の素顔に迫る対談。
対談の冒頭、M&A CAMPを運営する送りバントの西氏と高山氏は、田端信太郎氏に対して持っていた印象を率直に切り出した。「本当に怖い人だと思っていた」「怒られたくないという気持ちが先に立っていた」と高山氏は語る。
岡村氏を交えての会合は、もともと田端氏の事業相談企画から派生したもの。送りバントの2人の「緩さ」に田端氏が憧れている、というところから始まったという。同世代のおっさん同士、いつも怒っているわけではないだろう——その確認も兼ねた飲み会である。
田端氏自身も自覚的だ。「動画になるとちょっと可愛らしいおじさんに見えるらしい。YouTubeをやるようになって若干好感度が上がった気もする」と話す一方で、「Twitterは最悪」と苦笑する。
話題は、田端氏が「対等な議論」のつもりで投げかける言葉が、相手にとっては圧倒的なプレッシャーになってしまう構造に及んだ。
「俺は対等に議論しているつもりなのに、現実は誰もそうは思ってくれない」と田端氏。西氏は「小学2年生の女の子とプロレスラーが戦っているように見える」と例える。フォロワー数や知名度の差を考えれば、SNS上の絡みは「対等」にはならない。
田端氏は「Twitterで書いている時点で、すでにプロレスのリングに乗っている」と考えるが、相手は必ずしもそうは捉えていない。特に企業の広報担当者や若手起業家の場合、「会社の看板を背負っているからリングに乗っているはずだ」という田端氏の前提と、「ただSNSで発信しているだけ」という当事者意識のズレが、軋轢を生む。
それでも田端氏は「相手が悪いことをやっているのでない限り、しつこく追求するつもりはない」「謝ってくれれば手打ちにする」「むしろ無視されたまま行動が改まるのでもいい」と語る。竹花氏との和解エピソードや、過去のトラブル相手と響きの18年で「手打ち」になった話など、案外あっさりした一面が垣間見える。
田端氏が現在もっとも力を入れているのが、個人投資家としての活動だ。昨年は運用で7,000万円超のプラスを出したという。リアルゲート株は12万株の現物で保有し、半期報告書のトップ10株主にも名前が出た。
「投資家を名乗る以上、顧問料などほかの収入より投資で稼いだ額が多くないとおかしい」と語る田端氏は、ファンドではなく自分のポケットマネーでどこまでできるかを試している。「他人のお金を預かるとややこしくなる」からだ。
株主としての立場にも合理性がある。「義務を背負わずに、お金のリスクだけ取って意見を言える。出勤しなくていいし、株主総会も行く・行かないが自由」。経営の重い責任を負わずに事業に関わる手段として、株主活動は田端氏の性に合っているという。
一方で、SNSでの発信が株価に影響を及ぼし得る規模になりつつあることへの自覚もある。「他の人なら一般人として許される発言も、自分が言うとピー(規制音)になる」。米国で同様のインフルエンサーがSEC(米証券取引委員会)に摘発された事例にも触れ、慎重に進める姿勢を見せた。
話題は、岡村氏が手がけるアドウェイズの新規事業——サウナ施設「オールドキーサウナ」と木更津のホテル事業にも及んだ。
田端氏は「岡村さん個人としては素晴らしい」と評価しつつ、「上場企業アドウェイズの株主はこれを期待しているのか」という株主視点での疑問も投げかける。施設のIT化(顔認証による無人入場、温度調整可能な個室サウナなど)はDNAとして近い印象だが、不動産を取得してホテル化するというB/Sを使う事業は、本業との距離感が問われる。
岡村氏は「サウナの掃除も全然苦じゃない」「商売はこうじゃないといけない」と語ったとされ、田端氏は「自分は民泊のトイレ掃除は絶対嫌だが、岡村さんを見て商売の本質を学ばされた」と素直に感心していた。
田端氏が現在、具体的に動いているのが「投資・転職・人生相談ができるスナック」の構想だ。チャージ2〜3,000円程度、自分はカウンターの中で本を読んでいるだけ。客が勝手に投資相談を持ちかけてくる距離感が「ちょうどいい」という。
発想の起点は「真面目な顧問契約」への違和感だ。「1時間5万円、10万円もらうとちゃんと考えなきゃと身構えてしまう。後から『金を払ったのに』と言われたくない」。酔っ払った会話で損をしても、誰も責任を追及しない——その緩さが、かえって本音の相談を引き出す。
相談したバーボスターの林氏(村上世彰氏が来店した際の話を引き合いに)に「ちゃんと看板を出して店をやるべき」と背中を押され、すでに5、6件の物件を見て回ったという。中野なら500万円、六本木周辺なら2,500万円程度の初期投資が見込み。送りバントの仕事のように「バーで決まる出会い」を目指している。
対談の終盤、田端氏は「これからの30年で、飲み友達を1人ずつ増やしていきたい」と語った。亀山氏(DMM)のようにアーバーで毎週カウンターに立ち、人と緩くつながる——そんな関わり方への憧れがある。
レサム会長の薬物逮捕、ZOZO前澤氏や沢田氏の動向にも触れつつ、「1,000億持っていてもやることが薬と女しかないのか」という問いから、田端氏は「お金があってもなくても、結局は今のままでいいのかもしれない」と漏らす。
岡村氏は「田端さんはアドウェイズを株主としてしっかり監視してくれる正義の味方であるべき」と冗談めかして言う。西氏は「アクティビストファンドを作って攻撃部隊として動画を撮るのも面白い」と提案。100億円規模のファンドで上場企業に物申す——田端氏が「鉄砲玉」となる構想に、3人は盛り上がった。
もう一つ印象的だったのが、田端氏の素顔である。「ネットの印象とは違って、リアルではかなり気を使うタイプ」と西氏。「ネットで言われていることはどうでもいいが、実際に関わった元部下やクライアントから『あいつは何なんだ』と言われたら、自分も反省する」と田端氏は語る。
だからこそ、SNSでの「怖さ」は意図的に保たれている側面もある。「みんなに気を使ってしまうとスタンスが取れない。遠巻きには怖がられて、本当に来てほしい人だけが近づいてくれる距離感がいい」。
対談を通じて見えてきたのは、ネット上の「サイコパス老害」というキャラクターと、リアルな「気を使う上昇志向の49歳」という、二つの顔の間で活動する一人の投資家の姿だった。動画が広がりつつある今、田端氏の印象は今後さらに更新されていくのかもしれない。
※本記事はYouTube動画を元に編集部で再構成したものです
