4000億円企業DMMを率いる亀山敬司会長の1日のスケジュールとは。リモートワーク中心の働き方、毎日2時間の水泳、夜中までゲーム——意外なほど『普通』な生活から見えてくる、若いうちに思考する時間を持つことの大切さを語る。
4000億円規模のDMMグループを率いる亀山敬司会長。その1日のスケジュールは、意外なほどシンプルだ。
「最近は半分リモートで、半分出社みたいな感じになってるね。社員が直接がいいですとか、会う人がいるとかいう時はそこに合わせて、なるべく出社の日に全部まとめて行く感じ」
出社日はミーティングが大半を占める。それ以外の日はずっと家にいて、Zoomで会議をこなす。たまにIVSやB Dashといったイベントがあれば出張するが、基本的には自宅とオフィスを行き来する日々だという。
経営者というと、Amazonの元CEOジェフ・ベゾスのように『朝4時に起きて筋トレ』といったストイックなルーティンをイメージしがちだ。しかし亀山会長のスタイルはまったく異なる。
「ぐちゃぐちゃだよ。10時に寝ることもあれば、夜中4時か5時になる時もある」
起床時間も8時の日もあれば10時の日もある。前日が遅ければ朝は遅く、犬の散歩で起こされてようやく起きる日もある。ただし、睡眠時間は8時間を確保するよう意識しているという。
「睡眠不足だと頭が回らないから。遅くてもいい時は遅くまで起きてるし、早い時は早めに寝る。でも8時間は寝ようとしてる」
唯一ルーティン化しているのは、毎日2時間ほどのプール通いと、毎週金曜日に行くアバ(行きつけの店)だ。空き時間を見つけて泳ぎ、金曜の夜は決まってアバに顔を出す。
「金曜日にいるからおいでよって話になると、社員も来やすいし、地方から会いに来る人も来やすい。いつもいるからおいでよって言ってたら、ファファラにならないだろ」
仕事の予定は社員が次々と入れていくため、合わせざるを得ない。だからこそ、プライベートには予定を入れないのが亀山流だ。
「プライベートの予定って、本当に今日空いてるとか、今日暇なんだけど遊ばない?みたいな感じが多い。せいぜい明日ぐらいの話で」
1週間先、1ヶ月先の遊びの約束を入れると、その日に疲れていたり気分が変わっていたりして、プレッシャーになるのが嫌なのだという。旅行のように長期で家を空ける場合は別だが、日常の遊びはあくまで当日決め。
意外なのは、夜中までゲームに没頭することがあるという話だ。最近やっているのは『風来のシレン』『ゼルダの伝説 知恵のかりもの』、そして『バイオハザード』シリーズ。映画やNetflixを見る時間も多いという。
しかし亀山会長は、若い世代に対してはこの生活を真似することを強く戒める。
「ゲームとかドラマを見ても、はっきり言って得るものがそれほどあるかと言うとないんだよね。物語に没頭するわけだから、自分の思考が働かない」
実は亀山会長自身、結婚して子供ができてからの約20年間は、ゲームをほとんど封印していた。子供にやらせたくないからこそ、自分もしないと決めていたのだ。最近になってようやく『解放』されて楽しんでいるが、これは若い頃にしっかり思考する時間を積み重ねてきた上での話だという。
亀山会長が一貫して強調するのが、『自問自答する時間』の重要性だ。
「スマホでニュースを見るのもいいけど、ずっと見てインプットしてる間って頭が働かないんだよ。アウトプットしてる時もダメで、友達とワイワイやってる時もほとんど何も考えないで喋ってるわけ。だけど1人でスマホのスクロールの手が止まった時とか、友達と飲んだ後に夜道を1人で歩いてる時、そういう時に物事って考えられる」
『仕事ってなんだ』『金とはなんだ』『愛とはなんだ』——疲れる問いを、トイレでも風呂でも、10分でもいいから自分の中で考える。情報を求めて外に答えを探すのではなく、自分の中にある経験から答えを引き出す。
「自分を肯定しすぎないで、まだまだ最低だなとか、でもやっぱ最高かもとか思ったりして。そういう時間を持っといた方が、ちょっと深みが出る」
亀山会長自身、20代の頃は旅も多く、思考する時間が圧倒的に多かった。その積み重ねが今の経営者・亀山敬司を形づくっている。
お金を持つ前と後で、人生は変わったのか。
「そんなに変わったことはないかな。嬉しいとか楽しいとかの幅も、お金で倍増するわけじゃない」
それよりも大切なのは『成長している感覚』だという。会社でも、財産でも、友達でも、筋肉でもいい。何かが昨日より少しマシになっている——その実感こそが幸せにつながる。
「めんどくさいことをいっぱいやって、めんどくさいことと戦いながら、昨日よりちょっといい人間になったなと思えたら、それはそれで幸せじゃない」
現在、亀山会長は『ストレスはない』と言い切る。ただし、それには代償もある。
「逆に言うと、その分、喜怒哀楽が薄くなったことは間違いない。20代の頃は振られて落ち込んだり、いろんな出来事に影響を受けたけど、今はそれが受けにくくなってる。ある意味、悟ったというか、ワイワイやってる感がなくなってるのは確か」
だからこそ、若い世代がワイワイ騒いでいる姿を見るのが面白い、と笑う。亀山会長の生き方は、贅沢でも豪華でもない。ユニクロで靴下を買い、自転車でブラブラし、犬と散歩してゲームをする——驚くほど『普通』の日常だ。
しかしその裏には、20代から積み重ねてきた膨大な思考の時間と、自問自答の習慣がある。4000億企業のトップが語る人生論は、派手な成功術ではなく、地道に自分と向き合うことの大切さだった。
亀山会長のメッセージは明快だ。仕事を頑張ってお金を稼ぎ、自由を手に入れることは大切。しかしそれ以上に、若いうちに『仕事だけじゃない時間』を意識的に作り、自分の頭で考える習慣を身につけることが、人生の深みをつくる。
ゲームやスマホ、SNSに時間を奪われがちな現代だからこそ、亀山会長の『自問自答のすすめ』は重く響く。
※本記事はYouTube動画を元に編集部で再構成したものです
