M&A CAMPを運営する経営者が、26歳で結婚を決意した背景と、結婚から得た気づきを語る。M&Aと結婚に共通する「異なる文化の統合」「お互いの覚悟を確かめる儀式」という視点から、人生における重要な意思決定について考察する。
M&A体験談メディア「M&A CAMP」を運営する代表が、自身の結婚を機に、結婚とM&Aの共通点について語った。30歳まで結婚は考えていなかったという代表が、なぜ26歳で結婚を決意したのか。そして実際に結婚してみて見えてきた気づきとは何か。経営者としての視点から、人生の重要な意思決定を振り返る。
結婚は元々30歳ぐらいでいいと考えていた。現在26歳で、次の誕生日で27歳になる年齢だ。起業家の周囲の友人にも、まだ結婚していない人は多い。
ところが先月、ふと朝起きた時に「結婚しよう」という感覚的な思いが湧いてきた。それが結婚を決めた最も大きな理由だという。とはいえ、感覚だけで決めたわけではない。改めて言語化して振り返ると、3つの理由が浮かび上がってきた。
1つ目は、相手がもしいなくなったらどうするかと考えた時、非常に困るし寂しいと感じたことだ。元々一緒に働いていた期間もある相手で、その存在の大きさを実感していた。結婚は一生のロックアップ期間のようなもの——M&Aでも譲渡後に旧経営者が一定期間残るロックアップ条項があるが、結婚はそれを生涯にわたってお互いに約束する行為だと捉えた。
2つ目は、インドでの体験だ。M&Aがうまくいかず精神的に落ち込んでいた時期にインドを訪れた。移動手段のトゥクトゥクの運転手たちが、家族や子どもたちの自慢を心から幸せそうに語る姿を目の当たりにした。「この人は日本人より全然お金を持っていないけれど、僕より100倍幸せそうだ」と心から思ったという。それまで成長や時価総額が全てだと考えていたが、幸せはそれだけではないと腹落ちした瞬間だった。
3つ目は、家庭や家族を築くことはお金で買えない価値だと実感したこと。入社する社員の実家を訪れたり、採用候補者の実家に行く中で、家族の絆や血縁関係の強さを実感する経験が直近1年で多くあった。採用や恋愛だけでは築けない、本当の絆や強い繋がりがあれば幸せなのではないかと考えた。
相手とは付き合って2年半ほど。M&Aで言うところのデューデリジェンス(買収前の調査・見定め)に相当する期間としては十分で、大きなミスマッチはないと判断した。
プロポーズは特別な演出をしていない。先々月、1人でフィンランドへ行く前に「言っておいた方がいい」と思い、ソファに寝そべりながら「明後日フィンランドに行ってくる」ということと「結婚しよう」と伝えた。何事も人生経験だと考え、結婚していない状態で結婚をとやかく語る資格もないと感じていた。
先輩経営者で夫婦関係がうまくいっていない人も多く見てきたため、結婚に幻想は抱いていない。ただ、先日取材したDMMの亀山氏のように仲の良い夫婦もいる。日本の離婚率は3割と言われるが、経済的に離婚できないケースを含めると潜在的にはもっと多いかもしれない。それでもやってみないとわからないし、今は仲良くい続けられる未来しか見えていないため、踏み切ったという。
結婚してまだ1日目だが、すでにいくつかの気づきがある。
1つ目はテストステロン値が下がった感覚があること。筋トレをしたり「成り上がるぞ」という戦闘モードのような気持ちは確実に減った。代わりに、今ある状態も幸せ、明日も幸せ、明後日も幸せという、より良い幸せを目指しつつも今に満足するマインドに変わってきたという。
2つ目は自由度が減ること。誰かに何かを言われているわけではないが、1人で突然フィンランドやインドへ行くといった行動は説明が必要になる。
3つ目は連携の大変さだ。両家挨拶、前撮り、結婚式の準備など想像以上に作業の数が多い。打ち合わせを10回必要なところを3回にしてもらったり、前撮りの服を3秒で決めたりと効率化はしているものの、実家が石川県のため親族が遠く、両家挨拶のセッティングは地味に大変だった。
しかし、こうした手続きを経るからこそ「ただの紙切れの契約」ではなく、M&Aの調印式のように、お互いの覚悟と儀式を経て夫婦になっていくのだと身に染みて感じたという。
コスト面では、結婚式は最低でも300万円程度かかることも結婚前は知らなかった。一生に一度の経験として、いいものにしたいと考えている。
動画後半では、M&A CAMP編集メンバーのジョン氏との質疑応答も行われた。
M&Aと結婚の最も似ている点について問われると、「全然違う組織や文化が統合する」ところだと答えた。生まれてきた環境も違い、性別も違う中で、一つの文化として作っていく。唯一違うのは「売り手も買い手もない」点で、対等に作っていくところだという。
婚約状態と結婚状態の違いについては、M&Aの基本合意と実際の契約の違いと同様に、フェーズが全く違うと表現した。婚姻届を書く瞬間に「自分は結婚するんだ」と心理的に「おっ」となる感覚があったという。
相手の良い点として挙げたのは「思いやりのレベルの高さ」だ。メリット・デメリットで考えるのではなく、相手にとって本当に幸せになる形を本気で考えられる点が、自分より素晴らしいと語った。今後の2人の生き方については、計画を立てすぎず、その時その時の楽しさや幸せを最重要視して決めていきたいという。
M&A CAMPは、売り手と買い手の情報格差・機会格差をなくし、より良い経営者の意思決定を支援することをミッションに掲げる。今回の結婚報告は学びのあるコンテンツというより私的な報告だが、「より良い経営者の意思決定を支援する」という観点では、人生における意思決定も地続きである。
1回目のM&Aはうまくいかなかったが、結婚というM&Aは必ずうまくいかせたい——そう語る代表の言葉には、経営者としての覚悟と、一人の人間としての願いが重なっていた。
※本記事はYouTube動画を元に編集部で再構成したものです
