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総合>ビジネス動画>DeNAはなぜ横浜ベイスターズ買収に成功したのか?M&A専門家が読み解く戦略

DeNAはなぜ横浜ベイスターズ買収に成功したのか?M&A専門家が読み解く戦略

2024/1/28
M&A CAMPチャンネル
M&A CAMPチャンネル運営局

DeNAによる横浜ベイスターズの95億円買収は、なぜ成功事例と評価されるのか。M&A専門家・川畑氏が、買収の狙い、スタジアム取得の意味、そして「買収がうまい会社」の共通点をひも解きます。

DeNAが2011年に横浜ベイスターズを95億円で買収した事例は、プロ野球球団のM&Aとして大きな話題を呼びました。プロ野球チームは赤字のイメージが強く、経済合理性だけで見ると成功が難しいと思われがちです。しかし結果として、ベイスターズの経営は大きく好転しました。本記事では、バイサイドの専門家・川畑氏に、この案件から読み取れるM&A戦略のポイントを伺いました。


なぜDeNAは横浜ベイスターズを選んだのか


2011年当時のDeNAは、ITサービスを展開する企業のひとつではあったものの、現在ほどの知名度はありませんでした。川畑氏は買収の背景について、「知名度を高めたい、スポーツを軸にした戦略を取りたいという狙いがあった」と分析します。


そしてもうひとつ大きいのが、タイミングの問題です。「あれだけの規模の球団が売りに出ていたこと自体、極めて稀なチャンスだった」と川畑氏は語ります。市場に出てくる時期と、自社の戦略がマッチしたことが、第一の前提条件でした。


「勝てる」という確信があったから動いた


川畑氏が強調するのは、DeNAが買収判断にあたって「勝てるという算段」を持っていたという点です。


まずスポーツ戦略の観点では、日本人にとって野球は極めて身近な存在であり、「ベイスターズの親会社である」というだけでBtoBでもBtoCでも事業上の繋がりが作りやすくなります。「ちゃんとした会社だ」という社会的な信頼感、ブランドイメージの向上、顧客エンゲージメントの強化──これらは、単純に広告宣伝費を投じて得られる効果をはるかに超えるものだと川畑氏は指摘します。


加えて、当時25億円規模の赤字を抱えていた球団そのものを収益化できるという見込みも立っていた。広告宣伝による事業価値の側面と、買収後の収益改善の見込み。この両輪があったからこそ、DeNAは95億円という金額に手を挙げたのです。


5年越しで実現した横浜スタジアム買収の意味


このM&Aの最大の特徴と言えるのが、買収から5年後の2016年に行われた横浜スタジアム本体の取得です。DeNAは追加で約75億円を投じてスタジアムを傘下に収めました。


なぜスタジアムまで買う必要があったのか。買収後のDeNAは積極的なプロモーションを展開し、観客動員数を大きく伸ばしました。元々約110万人だった年間動員数は、2016年には約194万人まで増加。横浜スタジアムはほぼ満席状態となり、球団の赤字もごくわずかにまで縮小しました。


しかし、そこには構造的な問題がありました。スタジアムは別会社が運営しており、球団は球場使用料という形で高額のロイヤリティを支払い続けていたのです。「球団は満杯になっても黒字にならない、一方で球場側は高い賃料を取り続ける」という関係では、いくら集客しても球団側の収益化には限界があります。


日本のプロ野球を盛り上げ、ベイスターズを強くし、ファンを増やし、最終的にDeNAのブランド価値を高める──このビジョンを実現するには、スタジアム自体を取得する必要があった。川畑氏は「5年がかりで合意をまとめ上げ、2016年に買収を成立させたところが、この案件の本質的な勝ち筋だった」と語ります。スタジアム取得後、DeNAのスポーツ事業の収益性は大きく改善していきました。


「買収がうまい会社」に共通する一本の軸


川畑氏に「買収がうまい会社の特徴は何か」と尋ねると、こう返ってきました。「めちゃくちゃ筋が通っているな、と感じます」。


DeNAの場合も、一見IT企業とプロ野球球団は無関係に見えます。しかし、レガシー領域に自社のITのエッセンスを持ち込み、集客や広告の仕組みを変えていくことで価値を生み出す──そこには明確な軸がありました。「自分たちはこういう社会課題を解決していく、そのためにこの分野に手を出していく」というビジョンが太く通っている会社は、M&Aで失敗するイメージがない、と川畑氏は語ります。改善能力が高いため、赤字の会社を買ってもすぐに黒字化でき、黒字の会社ならさらに伸ばせるのです。


経験を積むほどM&Aは上手くなる


もうひとつ興味深いデータがあります。国が実施したアンケートによると、「M&Aで思った通りの効果が出ましたか」という問いに対し、初めてM&Aを行った経営者で「効果が出た」と答えた割合は40〜45%程度。一方、6回以上経験している経営者では、その割合が約8割にまで跳ね上がるといいます。


これは、いわゆるPMI(Post Merger Integration=買収後の統合プロセス)のコツが、経験を重ねるごとに身についていくということを示しています。


初めての買い手へのアドバイス


では、これからM&Aに挑む経営者は何から始めるべきか。川畑氏のおすすめは、「最初は領域が近いところを買うこと」。


「いきなり全くの異業種に手を出すよりも、もし対象会社に問題が起きても自分たちでカバーできる、そんな見える範囲の領域に一度手を出してみるのがいい」と助言します。経験を積みながら、徐々に守備範囲を広げていく──これが買い手としてのM&A戦略の王道といえそうです。


まとめ


DeNAによる横浜ベイスターズ買収は、単なる球団取得ではなく、知名度向上・ブランド戦略・収益改善・スタジアム取得まで含めた長期的なシナリオに基づいた成功事例でした。買い手としての筋の通ったビジョン、勝ち筋の見極め、そしてPMIの粘り強い実行。これらは、規模を問わずあらゆるM&Aに通じる本質的な要素だと言えるでしょう。


※本記事はYouTube動画を元に編集部で再構成したものです

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目次

  1. 1.なぜDeNAは横浜ベイスターズを選んだのか
  2. 2.「勝てる」という確信があったから動いた
  3. 3.5年越しで実現した横浜スタジアム買収の意味
  4. 4.「買収がうまい会社」に共通する一本の軸
  5. 5.経験を積むほどM&Aは上手くなる
  6. 6.初めての買い手へのアドバイス
  7. 7.まとめ
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