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総合>ビジネス動画>スモールIPOの罠と若手起業家が陥るM&Aの落とし穴 | M&Aクラウド・及川氏が語る本質

スモールIPOの罠と若手起業家が陥るM&Aの落とし穴 | M&Aクラウド・及川氏が語る本質

2024/7/1
M&A CAMPチャンネル
M&A CAMPチャンネル運営局

M&Aクラウド代表・及川氏が、自身の売却で6億円を取り逃した実体験をもとに、若手起業家がM&Aで失敗しないための心構え、スモールIPOの落とし穴、買い手選定や減損リスクへの向き合い方を語る。

はじめに:6億円を取り逃した起業家が語るM&Aの本質


若手起業家にとって、M&Aは資金調達やIPOと並ぶ重要な経営選択肢になりつつある。しかし、初めてのM&Aでは情報の非対称性が大きく、想定外の失敗が起こりやすい領域でもある。


本記事では、M&Aクラウド代表取締役CEOの及川氏をゲストに迎え、若手起業家がM&Aを検討する際に意識すべきポイントを聞いた。及川氏自身、2015年に自社を売却した際、相場より約6億円安い価格で手放してしまった原体験を持つ。その経験を起点にM&Aクラウドを起業し、現在はスタートアップM&A仲介、事業承継M&A仲介、独立支援などを展開している。


スタートアップM&Aと一般的なM&Aは「別物」である


及川氏はまず、スタートアップM&Aと一般的なM&Aの違いを株式投資に例えて説明する。


一般的なM&Aは、いわゆる「バリュー投資」に近い。新規性の低い事業をゆっくりと成長させていく前提のため、年買法やDCF(ディスカウンテッド・キャッシュフロー法:将来キャッシュフローを現在価値に割り引いて企業価値を算定する手法)で算定しても、価格に大きなブレは生じにくい。


一方、スタートアップM&Aは「グロース投資」に近い。赤字でも急成長していたり、ファンダメンタルズがほぼ存在しなかったりするため、合理的な企業価値算定が困難だ。最終的な価格は、買い手側が抱えるキャッシュと経営課題、そしてシナジーの大きさで決まる。つまり、買い手にとってその課題が「M&Aでしか解決できない」状況であるほど、スタートアップ側に高値がつきやすい。


「オークションチックに売る」と失敗する理由


買い手探しでは、ある程度の数の候補を当たった方が価格は付きやすい傾向がある。しかし、及川氏は「とりあえず高い値段を提示してくれる相手を選ぶ」アプローチに警鐘を鳴らす。


スタートアップは0→1フェーズで売却されるケースが多く、買い手である事業会社は「自分たちでは0→1ができないから買う」。つまり、PMF(プロダクト・マーケット・フィット)直後の段階で売り手の経営者がジョインしないと困る構造になっている。


だからこそ、売り手としても「このKPIを爆発させるためにこの相手と組む」というシナジー仮説を立て、買い手候補をタッピングしながらPDCAを回すべきだという。「とりあえず高いバリュエーションを付けてくれそうだから」というオークション的な発想で動くと、ほぼ確実に失敗するというのが及川氏の見立てだ。


減損が起こる構造と、売り手が意識すべきこと


M&A後に避けたいのが「減損」だ。減損とは、買収時に提示した事業計画を下回ったときに発生する会計処理で、買い手側の経営に大きなダメージを与える。


例えば2.5億円で買収したメディアを5年償却する場合、年間5000万円ずつ計上される。この事業計画を下回ると減損となり、買収先の経営者は厳しく問われることになる。


買収が上手な会社は、スタートアップが提示する事業計画を鵜呑みにせず、ベスト・フラット・ワーストの3シナリオで作り直す。しかし多くの場合、売り手側のバラ色の計画がそのままバリュエーションに反映され、結果として「想定と違う」と激しく揉める。VCから出資を受けていた頃のノリのまま経営していたつもりが、買収後に急にプレッシャーがかかるため、ディスコミュニケーションが起きやすい。


この構造を避けるには、売り手自身が「自分は何を取りに行くのか」を明確にする必要がある。最大バリュエーションで売りたいのか、起業家コミュニティでの居心地を優先したいのか。後者であれば、無理に背伸びせず堅めに着地させた方が、長期的な信用や評判につながる。


VCに最初に相談すると揉めるかもしれない


若手起業家が陥りがちな罠の一つが、M&Aを検討した瞬間にVCへ相談に行くことだ。


VCのビジネスモデルは、投資先の2割がホームランを打って残りをカバーする構造になっている。つまりVCは投資先全社にホームラン狙いのフルスイングを期待しており、ヒット狙いのM&Aには合理的に反対するインセンティブがある。


そのため及川氏は、まずは売却経験のある先輩、エンジェル投資家、あるいはM&Aクラウドのようなフラットな立場の第三者に相談することを勧める。VCへの相談は、ある程度方針が固まってからの方が建設的な議論になりやすい。


M&A前提の起業をどう捉えるか


近年は「M&Aを前提とした起業」も増えてきた。及川氏はこれを否定しない。M&A前提でもIPO前提でも、本人が「燃えられるか」が最も重要だという立場だ。


ただし若手起業家には、シリアルアントレプレナーと比べて圧倒的に「未来の予測力」が足りない。自分がどのマーケットにフィットするのか、どんなビジネスモデルが性格に合うのか、孫正義型なのか日本電産型なのか。これらは経験を通じてしか分からない。


だからこそ、最初はとにかく「フレキシビリティを獲得する経営」を意識すべきだ。事業のピボット、自身のキャリアのピボット、IPO以外の選択肢、すべてが許容されるシード期のファイナンス(エンジェルや起業家ファーストのVC)から始め、試行錯誤の中で方向性を見出していく。最初の資本政策で固めすぎると、後々の選択肢が著しく狭まる。


スモールIPOが抱える構造的なリスク


IPOの是非についても、及川氏は冷静な見方を示す。


データ的に、スモールIPOした会社が大きく成長した事例はほぼ存在しない。一部のSaaS企業など例外はあるが、それは生存バイアスに見える部分も大きい。マザーズの新興銘柄に機関投資家が手を出しづらく、デイトレーダー中心の取引になりがちなため、株価が安定せず、ストックオプションも使いづらく、調達も難しい。さらに上場による管理コストが利益を圧迫する。


スモールIPOで成功する条件は、上場後3〜5年にわたって25〜50%の高成長を維持できる確信があるかどうか。それが見込めるなら、スモールIPO後に再度資金調達する道もある。しかし、一度業績を外すと投資家は忘れず、その後の株価形成にも長く影響する。


さらにVCバックのスタートアップによるスモールIPOは、社長自身が儲からない構造になりやすい。VCも含めて株が売り出され、社長の持ち分は薄く、株価下落時に追加担保ローンの返済を迫られるなどの苦しみも生じる。供給過多で株価が上がりにくいという需給面の問題も無視できない。


M&Aの魅力とトレードオフ


一方でM&Aには明確なメリットがある。


一つはブランド力の向上だ。シリアルアントレプレナーはVCから高く評価され、次の起業ではいきなり大きなバリュエーションで調達できる。30億円で売却すれば、いきなり「30億円規模の上場会社」に匹敵する信用を得られる。キャッシュも入るため、より大きな挑戦に踏み出しやすい。マズローの段階のように、一定の経済的成功がなければ次のステージに集中できないという面もある。


ただし、M&Aは「全員ハッピー」になることが極めて稀な意思決定でもある。CFOにとってはIPOの方がレジュメ価値が高い、経営陣の株式保有比率次第でリターンが大きく変わる、VCはIPOを推す、経営者は連帯保証を外したい、買い手は減損リスクを抱える──こうしたコンフリクトが常に存在する。


全員を満たそうとせず、「会社のミッションに立ち返って、どうすれば成長できるか」というシンプルな軸でトレードオフを受け入れる姿勢が必要になる。


買い手選定とM&A仲介会社の選び方


スタートアップM&Aで案件が止まりやすいのは、トップ面談やLOI(基本合意書)に至る前段階だ。「他の人にとっては価値がないが、この会社にとっては大きな価値がある」買い手を見つける作業に最も労力がかかる。


このプロセスでは、最初に高値で吹っかけた相手をその後フェアバリューに修正することが難しい。M&A後に経営者がジョインする以上、最初に強気で当たった相手と仲間になりたいとは思われにくいからだ。だからこそ、買い手と接触する過程でフェアバリューやロックアップ条件を柔軟に調整していく姿勢が求められる。


M&A仲介会社選びも重要だ。多くの仲介会社は「バリュー型M&A」しか扱っておらず、年買法ベースの世界に閉じている。グロース型のM&Aを成立させるには、グロース型買収を行う買い手にアプローチできる仲介会社を選ぶ必要がある。さらに、買い手企業内のキーパーソン(社長やCFO)にアクセスできるかどうかも成否を分ける。CVCやオープンイノベーション部門は、社内のM&A部門と連携が取れていないケースもあるため要注意だ。


M&A業界自体の構造と展望


M&A仲介会社が近年急成長してきた背景には、少子高齢化や後継者不足というマクロ要因に加え、利益率が40〜50%と非常に高いビジネス特性がある。


ただし足元では、日本M&AセンターやM&Aキャピタルパートナーズなど大手の成長率も一桁パーセントに鈍化してきている。社員230人規模を超えると、未経験者採用や育成が必要になり、求職者から見て大手の方がネットワークやインフラの観点で魅力的に映りやすい。結果として、大手4社(日本M&Aセンター、ストライク、M&Aキャピタルパートナーズ、オンデック等)と数人規模のブティック型ファームに二極化していくと及川氏は予測する。これは不動産業界や人材業界にも近い構造だ。


若手起業家へのメッセージ:「飽きたらM&Aを検討してほしい」


最後に、及川氏が若手起業家へ送るアドバイスは明快だ。


「M&Aは、飽きたらした方がいい」


起業家はストイックな人が多く、自分が事業に飽きていることに気づきにくい。先行指標として現れるのは、飲みの予定が増える、出社時間が遅くなる、仕事が「夢中」ではなく「努力」になっている、といった変化だ。こうしたサインが出ると売上は遅れて鈍化し、チームも離れ、バリュエーションも下がっていく。


避けるべきなのは、飽きたタイミングで謎の新規事業を立ち上げてしまうことだ。社長自身が新規事業に流れ、既存事業を任せきりにし、儲かっている事業のキャッシュを新規事業に注ぎ込むことで社内分裂を招くケースが少なくない。


だからこそ、「飽きたかも」と感じたら、新規事業を作る前に一度M&Aを検討してみる。売却してキャッシュと信用を得てから、改めて新しい挑戦に向かう──これも一つの合理的なキャリアパスだという。


まとめ


M&Aは、起業家のキャリアにおける選択肢の一つとして確実に存在感を増している。一方で、スタートアップM&Aには一般的なM&Aとは異なる構造的な特徴があり、買い手選定、バリュエーション設計、仲介会社選び、そして自分自身の意思決定軸の明確化が成否を大きく左右する。


スモールIPOが必ずしも最適解ではない時代において、M&Aを「飽きたら検討する選択肢」として早めに視野に入れておくことは、若手起業家にとって有効な戦略といえる。


※本記事はYouTube動画を元に編集部で再構成したものです

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目次

  1. 1.はじめに:6億円を取り逃した起業家が語るM&Aの本質
  2. 2.スタートアップM&Aと一般的なM&Aは「別物」である
  3. 3.「オークションチックに売る」と失敗する理由
  4. 4.減損が起こる構造と、売り手が意識すべきこと
  5. 5.VCに最初に相談すると揉めるかもしれない
  6. 6.M&A前提の起業をどう捉えるか
  7. 7.スモールIPOが抱える構造的なリスク
  8. 8.M&Aの魅力とトレードオフ
  9. 9.買い手選定とM&A仲介会社の選び方
  10. 10.M&A業界自体の構造と展望
  11. 11.若手起業家へのメッセージ:「飽きたらM&Aを検討してほしい」
  12. 12.まとめ
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