31歳で2度目の創業を果たしたAI騒動代表・大池氏。Google元副社長兼日本法人社長の村上氏と共同創業し、AI社長を据えるユニークな組織体制で、上場企業CXOが毎日登壇するコミュニティを運営。経営者向けAI活用とマーケティング戦略を語る。
31歳で2度目の創業を迎えた大池氏は、Google元副社長兼日本法人社長の村上氏とともにAI騒動を共同創業した。代表取締役を「AI社長」とし、自身はCHROを務めるという新しい組織体制を採用。上場企業のCXOが毎日登壇する経営者コミュニティと、全国民向けのAIスクールを掛け合わせた事業を展開している。本記事では、自己資金のみで事業を伸ばしてきた経緯から、AI事業に踏み切った理由、独自のマーケティング戦略までを聞いた。
大池氏は学生時代に起業し、現在で起業歴8年目を迎える。29歳のときに一部の事業を上場企業へ事業譲渡し、上場企業の執行役員も1年間務めた経験を持つ。
譲渡したのはイベント事業。最初に手掛けたのは就活イベントやインフルエンサーマーケティングなど、学生が起業家として取り組みやすい領域だった。最初の勢いだけで続けるには限界を感じる場面もあったというが、株式は100%自身で保有し続け、デットもエクイティも一切入れずに自己資金のみで運営してきた。
第二創業として立ち上げたのが、現在のAI騒動である。「世界を代表する会社を作りたい」という想いから、自身の強みである営業とマーケティングが活きるマーケットを探した結果、AI領域にたどり着いたという。
AI騒動の特徴的な点は、AIをCEOに据えていることだ。マネジメントや質疑応答、広報活動などはAI社長が担い、大池氏自身はクリエイティブや採用活動、特にCHROの領域に注力する役割分担となっている。
「代表取締役CHRO」という肩書きは調べた限り日本初であり、覚えてもらいやすいというメリットもあると大池氏は話す。共同創業者である村上氏については、「年齢的に最後の挑戦」という想いで参画を決めてもらったという経緯を明かした。
事業選定の基準については、「ワクワクするかしないか」「会社のビジョンに沿っているか」のシンプルな2軸で判断していると語る。これまで自己資金のみで運営してきたが、AI事業に関してはスピード感を持って競合に勝つため、デットでの資金調達を準備中だとした。
AI騒動の中核事業は、経営者コミュニティとAIスクールコミュニティの掛け合わせだ。経営者コミュニティでは、上場企業のCXOが毎日ゲストとして登壇する。平日換算で年間約200日、ランチ会や対談、ピッチ機会、少人数の座談会など多様な形式で開催されている。
AIスクールは法人向けと個人向けの2種類。法人向けは基本的にCXO層が対象で、個人向けは全国民をターゲットとしている。月額2万円の年間契約で、契約者はすべての会に参加可能(ランチ代のみ別途)。月20人ほどの上場企業CXOと新たに出会える機会が用意されている。
スクールでは、AIを使ったコストカットや業務効率化を中心に学べる。大池氏自身、Canvaを使ってロゴ制作を依頼すると30秒で5パターン生成できた体験から、「全国民が知っているか知らないかで、コストカットや業務効率化、ひいては年収にまで影響する」と確信したという。
他のAIスクールとの差別化ポイントとして大池氏は2点を挙げる。1つはGoogle元副社長兼日本法人社長の村上氏が監修している信頼性。もう1つは、大手企業との繋がりが多いため受講者が案件を獲得しやすい点だ。実際に、コミュニティ参加企業の中には、上場企業CXOへの複数回のピッチ機会を通じて年商が1億円増えた動画制作・BPO会社の事例もあるという。
大池氏のマーケティング戦略の特徴は、メタ広告などの王道に頼らない「右斜め」のアプローチにある。多くのスクール・コミュニティ事業者がメタ広告中心に資金を投下するなか、独自施策で集客とブランディングを進めている。
象徴的な企画が、タレント・石田純一氏の「AI芸能人化」プロジェクト。石田氏が年収面で苦戦していると報じられたメディアの記事をきっかけに、大池氏が直接プレゼンを持ち込み、スクール・コミュニティで本格的にAIを学んでもらう取り組みを開始した。これにより「AI活用に困ったら石田純一さんに聞けば教えてもらえる」状態を作り出している。
さらに大池氏は、AIテーマパーク構想や、AIによる夫婦喧嘩仲裁アプリといった企画も温めている。前者は楽しくAIを学べる場を作り、最終的に自社スクールへの導線とする狙いがある。後者は、第三者がいない夫婦喧嘩において、AIに過去の判例や説得材料を学習させることで客観的な仲裁役を担わせるという発想だ。
こうした企画力の源泉について大池氏は、「ミーハーなので、いろんな業界・場所・人に飛び込んでインプットすることが、アウトプットに繋がっている」と話す。
AI企業の中には業務委託メンバー中心で生産性高く運営する会社も増えている。大池氏自身、「数億円規模の会社であればそれで十分」と認める一方で、ユニコーンやグローバル企業を目指すうえでは、業務委託中心ではカルチャーが作りづらく、忠誠心の面でも課題が出ると指摘する。
そのためAI騒動では、正社員ベースの組織を基本としつつ、業務委託メンバーも組み合わせる方針を採っている。
コミュニティ運営についても、大池氏は長年の経験から「特定の人に依存する設計だと続かない」と語る。社長自身がモチベーションを失った瞬間にコミュニティ全体の勢いが落ちる事例を多く見てきたため、自身がいなくても回る運営設計を意識しているという。
大池氏が繰り返し強調するのは、「AIはあくまで手段」という姿勢だ。AIを全面に押し出すというよりも、自社の強みである営業力とマーケティング力を最大化するためにAIを組み込み、AIセールス&マーケティングという独自ポジションを築いている。
スクール・コミュニティ事業も、収益単体での最大化ではなく、優秀な人材の採用、エンタープライズ顧客との接点、教育機会の提供といった複数の目的を一体化させたフックとして位置づけられている。第二創業期にあたるAI騒動の動向は、AI時代の経営スタイルを考えるうえで示唆に富む事例といえそうだ。
※本記事はYouTube動画を元に編集部で再構成したものです


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