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総合>ビジネス動画>起業は「10回に1回の法則」で考えよ──北の達人・木下勝寿氏が語る、初回起業家が陥る資金繰りの罠

起業は「10回に1回の法則」で考えよ──北の達人・木下勝寿氏が語る、初回起業家が陥る資金繰りの罠

2024/4/4
M&A CAMPチャンネル
M&A CAMPチャンネル運営局

北の達人コーポレーション代表の木下勝寿氏が、初めて起業する人が知っておくべき「10回に1回の法則」と、自分のタイプを理解した上で経営を選ぶことの重要性を語る。失敗前提の事業設計、ピボットの活用法、フェーズで変わる経営の筋肉とは。

起業の世界では「成功する人」と「途中で力尽きる人」を分ける明確な要因が存在する。北の達人コーポレーション代表の木下勝寿氏は、初めて起業に挑む人へ向けて「10回に1回の法則」を提唱する。本記事では、失敗前提で組み立てる資金繰り、ピボットを前提とした事業設計、そして自分のタイプを見極めた経営スタイルの選び方について、木下氏自身の経験を交えて語っていただいた内容を再構成する。


「10回に1回の法則」──成功は最後の1回でやってくる


木下氏が一貫して伝えているのが、物事は本気で10回やって、最初の9回は全部失敗し、最後の1回で成功する、というサイクルだ。


「経験値が少ない方は、1発目とか2発目で成功する前提のスケジュールと資金繰りで動いている。それがうまくいかなくなったときに『わーっ』となってしまう」と木下氏は指摘する。逆に経験を積んでいくと「だいたい10回に2回ぐらいだな」という肌感覚になるという。


重要なのは、最初から資金繰りとスケジュールに「10回に1回しか成功しない」前提を盛り込んでおくこと。会社は資金が回らなくなれば止まるし、起業家自身の心も折れてしまう。「3〜4回なんて無理だよ、と思っていれば、3〜4回失敗しても全然傷つかない」と木下氏は語る。期待値の調整こそが、初回起業家にとって最大の防衛策なのだ。


ピボットは例外ではなく前提──最初の事業はテストマーケティング


木下氏は、上場している企業の多くが途中でピボット(事業転換)していることを例に挙げる。最初は理想を描いて「絶対うまくいく」と思って始めても、やってみると見えてくる現実がある。


「2発目って、結構確率の高い手応えを持ったビジネスをやっているんですよ」。だからこそ最初の事業は失敗前提で、どれだけ失敗から学べるか、気づきを得られるかが重要であり、ここに大きく資金投入するのはアウトだという。


木下氏自身もピボットを経験している。創業当初は北海道の特産品のネット通販から始め、現在の主力である健康食品・化粧品にたどり着いた。最初は仕入れた商品を売っていたが、今は全て自社ブランドで展開している。


1回目の事業から学んだ「やってはいけない条件」


最初の事業で苦労したからこそ見えてきた、次に踏んではいけない条件があると木下氏は言う。


例えば特産品は季節変動が大きく、ある月にドーンと売上が上がっても、ある月は十分の一になる。商品の梱包サイズが大きいと作業に時間がかかる。重さ・サイズと価格のバランスも重要だ。


「カボチャって、重くてでかいのに値段が安いんですよ。重くてでかいということは送料がめちゃくちゃ高い。ところがカボチャの単価は安い」。一方で、化粧品のように軽くて単価が2万円ほどの商品は利益率も高く、運びやすい。1回目の事業で得た学びをもとに条件をバーッと決めていくことで、2回目以降は硬いビジネスを組み立てられるという。


キラキラかどうかではなく「自分のタイプ」で選べ


初回起業家がもうひとつ陥りがちなのが、「資金調達しなければならない」「お金をたくさん使わなければならない」という思い込みだ。木下氏はここに釘を刺す。


「タイプがあると認識した方がいい。キラキラ(スタートアップ)も全然ありだし、そうじゃないのもいっぱいある。自分がどっちに向いているかを意識することが大事」。


みんながキラキラだから、あるいはみんなが手堅くやっているから、ではなく、自分がどちらのタイプを選ぶのかを決める。そうすれば他の人たちの動向は気にならなくなる。10年後を見据えたときに、自分に合わない経営のやり方は単純にしんどい、というのが木下氏の本音だ。


創業初期と現在で変わる「使う筋肉」


初期の頃と現在で、時間の使い方や仕事の中身はどう変わったのか。木下氏は「経営の仕組みを作る」ことに初期は時間を使っていたと振り返る。


採用のための広告投資を行い、そこから人を採用し、その人たちのLTV(顧客生涯価値)を計測する仕組みを構築する。こうした基盤づくりが初期段階の中心だった。


仕組みが出来上がった現在は「チューニング」が中心になる。経営指標は事業規模によって変わってくるため、むしろ以前よりも現場に出て一次情報を取りに行く時間が増えているという。


使う筋肉も変わった。「初期の頃はプレーヤーとしての筋肉を使っていて、今はマネジメントの筋肉の方が大きい」。経験のないなかで自分の成功体験を積み、他人の成功・失敗事例も取り込みながら「ここは任せていい」「ここは自分が握っておかないとダメだ」という判断軸が育ってきた。


社長が手放してはいけない領域、メディア出演の位置づけ


木下氏が今でも自分でやり続けている領域は、経営管理──数字をベースに経営するための、数字を取る工程・計測の仕組み・分析の仕組みだ。


「事業をやっていると、どうしても入り込んでしまって見えなくなる。僕の場合はやりながら俯瞰で見られる。パッと数字を客観的に見て、今一生懸命やっていたことが全部無駄だった、ということもある」。


一方、密着取材などで社内ミーティング中心の様子が放送されることもあるが、メディア出演は意外にも「完全に採用のため」と位置づけている。実際に使っている時間は1週間に1回ほど。出演先も、講演中心からYouTube中心へとシフトし、同じ時間でも広がりとストック性のある媒体を選ぶようにしているという。「うちの社内の人間は、僕がこういうので動いていることをほぼ知らないと思います。ずっと社内にいるので」。


上場企業の社長といえば社外で動き回るイメージもあるが、それも結局は「タイプ」の問題だ、と木下氏は締めくくった。


まとめ


初回起業家が押さえておくべきポイントは三つに整理できる。第一に「10回に1回しか成功しない」前提で資金繰りとスケジュールを設計すること。第二にピボットは例外ではなく前提であり、最初の事業はテストマーケティングだと割り切ること。第三にキラキラかどうかで判断せず、自分のタイプに合った経営スタイルを選ぶこと。失敗前提で構造を組んだ起業家こそ、結果的に最後の1回にたどり着けるのである。


※本記事はYouTube動画を元に編集部で再構成したものです

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目次

  1. 1.「10回に1回の法則」──成功は最後の1回でやってくる
  2. 2.ピボットは例外ではなく前提──最初の事業はテストマーケティング
  3. 3.1回目の事業から学んだ「やってはいけない条件」
  4. 4.キラキラかどうかではなく「自分のタイプ」で選べ
  5. 5.創業初期と現在で変わる「使う筋肉」
  6. 6.社長が手放してはいけない領域、メディア出演の位置づけ
  7. 7.まとめ
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