編集者・箕輪厚介氏がM&A CAMPに登場。SNSでの絡まれ対応、コミュニティ運営の本質、ビジネス芸人として10年以上生き残るコツ、そしてミドルエイジクライシスを超えた先の生き方まで、独自の哲学を語った。
M&A CAMPに編集者・箕輪厚介氏が再び登場。冒頭から「誰とも喧嘩せず、誰にも嫌われずに生きていきたい」というホストの問いに、箕輪氏は独自の処世術を披露した。
SNS上で絡まれた時の対応について、箕輪氏の答えは明快だ。
「無視です。1でも反応したらもう100反応しないと、1反応したことの説明がつかない。1反応するのは100やりきる覚悟がある時だけ」
打ち合いになった時、強いのは「失うものがない人」だという。メルカリ・山田氏の田端氏への対応や、一時期のガーシー氏のスタンスを例に挙げ、持っている人が持っていない人と打ち合うのは構造的に不利だと指摘する。
「俺だってもうハイボールさえあれば全部いらねえぞっていう腹はくってる部分がある。普段はくってないよ」と笑いながらも、根っこには破滅主義者的な覚悟があるからこそ強気でいられるのだと語った。
一方で、批判コメントが大量に届けば人間誰しも消耗する。箕輪氏もその例外ではない。
「1個1個は気にならない。けど量がたくさんだと自然と食らう。あれだけさんがノートに書いてたけど、批判の正当性がどうかじゃなくて、正当だったとしても1000来たり1万来たりすると人間誰でもしんどくなる。本当その通りだと思う」
興味深いのは、しんどい時の身体反応だ。箕輪氏は「眠くなる」と明かす。
「防衛本能なのかわからないけど、すごく眠くなる。回復しようと思ってか、すっごい寝ちゃう」
話題は箕輪編集室をはじめとするコミュニティ運営論へ。箕輪氏はコンテンツとコミュニティの関係を「グラデーション」と表現した。
片方の極にはディズニーランドのような「圧倒的なコンテンツ」がある。コミュニケーションを一切取らず、ただ圧倒されるだけの存在だ。もう片方の極には「参加者がイコール提供者になる」スナック的なコミュニティがある。
「スナックのママが酔いつぶれても『ママ寝ててていいよ、俺が提供するよ』みたいな。売上やばいってなったらお客さんが続けていくみたいな」
オンラインサロン全盛期と現在の違いについても言及。当時はオンライン上の居場所=サードプレイスが貴重だったが、今は誰もがコミュニティを運営しており飽和状態にあるという。
箕輪氏自身、約7年続けたコミュニティ運営から最近は撤退気味で、コンテンツ寄りに舵を切っている。理由はシンプルで「楽しいと思わなくなった」から。義務になった瞬間、わざわざやる必要はないと判断したという。
コミュニティ運営の核心について、箕輪氏は「役割を与えること」だと語る。
「学校で転校生が初日に気まずいのは、役割がないから。役割を与えるのが運営の仕事」
また、コミュニティビジネスの本質は「払えば払うほど楽しい」という宗教的な構造にあるという。原価率が低くても成立するのは、商品の価値ではなく「この人にお金が行ってるんだ」という感覚を提供しているからだ。ヒカル氏のルチル(宝石ブランド)も、構造的にはコミュニティビジネスだと分析した。
10年以上ビジネス芸人として第一線にいる箕輪氏に、長期で戦うコツを聞いた。
第一に挙げたのは意外にも「体力と精神力」、つまり健康だった。
「結局トランプも81歳で元気じゃん。心が無理になってやめる、体が無理になってやめるのがでかい。元気だったら戦える」
最近は「美容と健康」がテーマだといい、肌や歯のケアにも気を配るようになった。背景には、ノンタイトルやヒカル氏、朝倉未来氏など「ルックスのいい奴ら、小綺麗な奴らが参戦してきた」業界の変化がある。
そしてもう一つ、長期で生き残るために決定的なのが「人間としての面白さ」だ。
「飲み会に来た時につまんないやつは消える。引き出しの多さ、感性の多様さ、人間として興味深いことを言えるか。番組でどんな喧嘩ふっかけて瞬間取れても、ご飯食べた時に全然つまんない人は消える」
バズで一瞬の注目を集めても、リアルで会いたいと思われない人は淘汰される。「お金払ってでもその人の話を聞きたいと思われるか、単純にバズってるかの違い」だと断言した。
約2年前、箕輪氏は「資産5億円を貯める」という安定志向のモードにあったという。しかしそのモードはもう消えた。
「先が見えた瞬間にミドルエイジクライシスになった。このまま行ったら普通に5億、10億行くなって思った瞬間、人生クリアって思っちゃった」
RPGをクリアした瞬間の虚無感に似た感覚。しかしそれを超えた今は「クリアなんて結構みんなしてるわ、俺の周りは」という前提に立ち、その先をどう生きるかというフェーズに入っている。
箕輪氏のライフハックとして印象的だったのが、スケジュール管理の方法だ。
「毎月、休日は秘書に出すじゃん。本当の15日とかね。そこに顧問とか出演依頼を入れるんだけど、15日は入れないって決めてる」
月の半分しか予定を入れない。残り15日は当日決める、あるいは旅行する。社長業では難しい働き方かもしれないが、個人で動く編集者・ビジネス芸人だからこそ実践できる時間術だ。
さらに箕輪氏は、SNSにアップしない行動の重要性についても言及した。冒険家・角幡唯介氏の「書くことの不純」という葛藤を引き合いに、自分の旅や経験をすぐにSNSで消費しないことで、内省的なものとして自分の中に蓄積していくのだと語った。
YouTuberが2〜3年でフェードアウトしていく現象について、箕輪氏は「番組化しないこと」「コストを上げないこと」が長期戦の鍵だと指摘する。
「究極スマホ1台、自分1人いればOKというところに戻れるのが大事。1個の動画に100万かけても多分再生数は変わらない。需要に合っていない」
やるなら圧倒的にやり切る。リアルバリューのようにコンテンツに金をかけ、コミュニティで回収するところまで設計する。中途半端に人を増やしてもメリットはない、というのが箕輪氏の結論だ。
対談を通じて見えてきたのは、SNSの喧噪に巻き込まれず、自分の流儀で戦い続けるための極めて実践的な哲学だった。
反応しない、麻痺するほど来ても気にしない、健康を保つ、人間としての厚みを磨く、月の半分は予定を入れない——。一見バラバラに見えるこれらの行動原理は、すべて「長期で消費されずに残り続ける」という一点に収束している。
「1周回って結局、その人が面白いかどうかに戻ってきている」という箕輪氏の言葉は、SNSバズに振り回されがちな経営者・発信者にとって示唆に富む結論だろう。
※本記事はYouTube動画を元に編集部で再構成したものです


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