DMM亀山会長が0円から数千億まで、資産フェーズごとに変わる景色を本音で語る。1億円を超えると消費は飽和し、お金では満たされない領域に入るという。富の本質と幸福の関係を問う対談。
人は資産フェーズによって見える景色が変わると言われます。SNSやYouTubeでも「資産5000万の景色」「1億の景色」といったコンテンツが流行する中、実際に0円から数千億までを駆け上がってきた経営者の視点はどう変化してきたのか。
DMM.com会長の亀山敬司氏に、資産フェーズごとの実感を率直に伺いました。聞き手は、大学生時代に初めて会社の口座に15万円が振り込まれた瞬間「自分が一つ上のランクに上がった」と感じた経験を持つ若手経営者です。
亀山氏が「初めて買えた」と実感した買い物は、20代後半に手にした60年代の縦目ベンツ。中古で約500万円だったといいます。
「会社でも数千万くらい利益が出始めた頃かな。レンタルビデオを始める前のあたり。やっぱり『買えた』みたいな、それが幸せだった」
ただし、覇者の気分とまではいかず、家族や友人との関係も変わらなかったと振り返ります。「喜んで車を買ったぐらいだから、他は大して変わってないしね」。
会社の利益が数億円規模になり、個人資産が10億円に達した頃も、生活はほとんど変わらなかったといいます。海外旅行をファーストクラスで巡る、家を買う、株式で資産運用する——いずれにも興味が向かなかった。
「投資的な判断は全くなかったね。ギャンブルっぽく『これ上がりそうだな』と買って損したことはあったけど、大体損した」
稼いだお金は、また次のビジネスへと向かっていったといいます。
珍しく大きな買い物をしたのが、コロナ禍に購入した軽井沢の別荘。価格は1.5億円ほどでした。コロナ期に家族で点々と別荘を借りて過ごし、最終的に「これくらいがちょうどいい」と判断して購入したそうです。
豪華な「洋館のような別荘」も借りて住んでみたものの、不便さを痛感したといいます。
「料理を作っていて『あ、忘れた』と冷蔵庫に取りに行くまで歩かないといけない。バイオハザードを夜やってたら広すぎて、ゴトンと物を落としたら『うわ、怖っ』みたいな」
結局、ベッドルーム2つ程度のサイズに落ち着いたといいます。
対談の核心は、亀山氏のこの言葉に集約されます。
「お金持ちすぎると何が起きるかというと、消費から拒絶されるのよ」
収入が数百万〜1000万円ほどまでは、消費が増えるごとに豊かな気分が積み上がる。しかし「何でも買える」状態になった瞬間、消費は喜びを生まなくなるといいます。
例えば妻に高級バッグを贈っても大して喜ばない。一方で、手作りの誕生日プレゼントの方がずっと大切に取っておいてくれる。亀山氏が実際に喜ばれたのは、家族写真を切り抜いて作った「飛び出す絵本」だったそうです。
「金で済まない女だと、なおさら大変。時間を使って手間暇かけたものに価値が出る」
買い物への感覚もユニークです。最近、スーパーで「とちおとめ500円、あおい1000円、あまりん2000円」のイチゴを見て、興味本位で全種類買って食べ比べたといいます。結果は「真ん中のあおいが一番好み」。
ワインについても率直です。
「5000円のも100万くらいのも飲んだことあるけど、10倍100倍違っても、味は1.1倍ぐらいの違いしか分からない」
5万〜10万円する高級店についても、「予約を1年先までしないといけないのが面倒」という理由で足が遠のくといいます。値段の問題ではなく、そこまでの労力をかける動機がない、と。
世の経営者がベンツを乗り回し、別荘でパーティーを開く心理についても亀山氏は鋭く分析します。
「多分おじさんたちも本当は愛が欲しいのよ。『さすがですね』『尊敬してます』と言われたい。でもそれを努力で得るより、金の方が早いから」
しかし、お金で集まった人間関係は本人も気づいてしまうと指摘します。「『お金がなくなったらこいつら来なくなるかな』と思ったら寂しいじゃない。自分の魅力じゃなくてお金の魅力で来てるんだ、と本人が思ってしまうのが一番不幸」
亀山氏が「欲望には限界がある」と気づいたのは30歳の頃。マセラティを買ったり、世界を旅したりする中で「好奇心さえも切りがないな」と感じたといいます。
「欲望に限界がないと思うとどんどんエスカレートする。でも実は知れてるんだよね」
この早い気づきが、その後の経営姿勢にも影響しているといいます。
対談の結論として、亀山氏はこう語ります。
「1億を超えちゃうと、ほぼ一緒。そこから先は数字。『俺は戦国(億)、お前は500国(億)だね』っていうマウント取りの世界」
もちろん経営者として業績を伸ばす喜びはある。それは体力をつけたり歌が上手くなったりするのと同じ、自分のやってることが伸びていく手応えだといいます。
面白いのは、亀山氏が今ハマっているのが『ふか〜ふしぎなダンジョン』のようなゲームのレベル上げだという点。
「ゲームの中で課金してランクを上げる人もいるじゃん。あれもわからんでもない。その世界の中でマウント取れるから。バーチャルの中でも『神ですね』ってなる」
リアルマネーで規模を競うことも、ゲーム内課金も、本質的に得られるドーパミンは変わらないというのです。だからこそ、楽しめる「世界」を複数持っている方が人生のリスク管理になる、と亀山氏は語ります。
お金がもたらす最大の価値は「選択の自由」だと亀山氏は言います。値段を見ずに買えること、高いから諦めるという制約がなくなること。それを得るための最低ラインは、おそらく1億円程度。それ以上は、消費の喜びでは増えていかない領域に入ります。
「マウント取りのためのお金は、いらないなら好きなことをやった方がいい。体力でも経済体力でも、何でも伸ばしていくのは楽しいから、それなりに『やりたいこと』で伸ばしましょう」
資産フェーズが上がっても、本質は変わらない。それが、数千億の世界から見える景色でした。
※本記事はYouTube動画を元に編集部で再構成したものです


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