創業12年目の人材エージェント経営者が、成田氏に「社長としてのリソース配分」を相談。プレイヤーからマネージャー、そして経営者へと使う筋肉を切り替えるタイミングや、人材紹介業を10億円以上にスケールさせるための採用力・オンボーディング能力について語り合った。
創業12年目を迎える人材エージェント経営者が、成田氏に「社長としての時間配分」を相談した。現在のリソース配分は、エージェント業の立ち上げに4割、給食者向け(ひいてはスタートアップ企業向け)メディアの仕込みに3割、太陽周りに3割、契約書を含む雑務に1割(合計の内訳は本人発言ママ)という。
成田氏はまず、人材紹介業の立ち上げ期における原則を提示する。
「人材業の多くの場合は、最初はやっぱり自分が率先して売上を形にしなきゃいけない。だから、その過程の中で自分なりに考え方や思想を強化していくタイミング」
お客さんへの向き合い方、トラブルが起きた時の接し方を一つひとつ自分が体現し、原理原則として言語化することが第一歩だという。「最終目標は自分がノータッチになること」。理想を言えば、最初からノータッチであれば最後までノータッチで済むが、通常のスタートアップではそれは難しい。
例外はシリアルアントレプレナー(連続起業家)だ。最初から資金や採用力があるため、社長が現場に立たず各機能の人を採用するだけ、というケースもある。ただし、それは相当の経験値が前提になる。
立ち上げ期を超えた次のフェーズは「採用」だ。エージェント事業のような労働集約型ビジネスでは、人を採って動かすことがそのまま事業のスケールに直結する。
「使う筋肉はそのタイミングで変わる。変えるつもりでやってなきゃいけない。どれだけ言語化して人に教えられるか、伝えられるかというステップに移る」
成田氏はこれを「プレイヤー・マネージャー・経営者」という3ステップで整理する。今はマネージャーに向かう途中であり、まずは個人プレイヤーとしてしっかり結果を出しつつ、次のマネージャーを採用し、その先に経営の領域へと進んでいく。
この遷移を自分の中でゆとりを持って進められるかが鍵となるため、メディアの立ち上げをどこまで自分でやるかも、慎重に見極めるべきポイントだという。
相談者が仕込んでいるメディアはYouTubeを媒体とし、まだ世の中に伝わりきっていないスタートアップの魅力――創業期の企業情報や隠れた強み――を発信していく構想だ。入社者やファン層を広げる狙いがある。
成田氏は「トライは全然いい」と背中を押しつつ、コストのかけ方を見定める必要性を強調する。
「YouTubeはローコスト・ハイスピードな媒体。インヤリーの格差を埋める系のテーマなら絶対そっちの方がいい。一方、ピボットのような資本系・プロフェッショナル系の話とは相性が違う」
参考事例として、iPhoneだけで撮影し15万人規模の登録者を獲得しているチャンネルの存在も挙がった。出す速度と量自体が売りになるパターンもあれば、中途半端に時間をかけて認知が取れないケースもある。
「中途半端に速度を落としても、数が足りなくて認知が取れない。どこまでコストをかけて時間を投じるかを見定めないと、中途半端に時間かけたけど全然正解じゃなかった、ということになってしまう」
話題はエージェント事業のスケールに移る。成田氏の感覚では、人材紹介業は10億円までは到達するものの、それ以上に伸ばせている会社は意外と少ない。
ボトルネックは「完全組織化」、つまり採用した人材が自走するマネジメント能力と、そもそも採用ができるかという採用力にある。
「人に認知してもらって応募してもらう、面接でいい人をスクリーニングする――これが人事能力。さらに入社後1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、半年でこうなる、というオンボーディング能力もポイント。そこに正しく意識を向け、打ち手を打てているかを見られるかどうかが、経営者・人事役員・事業部長の勘所」
また人材紹介業は「どういう求職者がいるか」で勝負がほぼ決まる側面もある。売り手市場の今、若手ポテンシャル層(第二新卒〜マネージャー候補層)に振るのか、プロフェッショナル層に振るのかでも、必要な獲得力は変わる。
相談者は、スタートアップに触れたことのない求職者層に向けて、エージェント業とYouTube・TikTokなどのメディアを掛け合わせる構想を持っている。成田氏はTikTokだけでブランディング支援を提供して伸びている会社の例を引きつつ、「企業側の設定作りも、求職者側の設定作りも大事だから、両方やっているという立て付けが面白い」とコメントした。
「もう尖りこんぐらい尖り。意味のない人たちの属性をちゃんと現行で出している、強気なコンテンツやブランドがあれば面白い」
相談者は「どっちも不幸せにしたくない。みんなが言いづらいことを言えたらいい」と応じる。求職者にとっても企業にとっても率直に語れる場をつくることが、エージェント業としての差別化につながりそうだ。
社長の時間配分は、フェーズごとに「使う筋肉」を切り替えていく前提で設計すべきものだ。プレイヤーとして原理原則を言語化し、マネージャーとして採用とオンボーディングを設計し、最終的には自分がノータッチでも回る経営をつくる。10億円の壁を越える鍵は、その移行を意識的に進める採用力とマネジメント能力に尽きる。メディアなど横展開の打ち手も、コストと効果を見極めながら、本業のオリジナリティを強化する文脈で位置づけることが重要だ。
※本記事はYouTube動画を元に編集部で再構成したものです


2024/2/18

2026/1/8

2024/8/11

2024/3/17

2024/3/14

2024/2/2