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総合>ビジネス動画>DMM亀山会長が語る「海外展開しない理由」と勝てる市場の選び方

DMM亀山会長が語る「海外展開しない理由」と勝てる市場の選び方

2025/5/3
M&A CAMPチャンネル
M&A CAMPチャンネル運営局

なぜDMMは積極的にグローバル展開をしないのか。創業者・亀山敬司氏が、自身の英語力や日本市場の特性、楽天とAmazonのビジネスモデルの違いを引き合いに、「自分のスキルでできる範囲で勝負する」という独自の経営哲学と、海外展開の現実的な落とし穴を率直に語る。

なぜDMMはグローバル展開に積極的でないのか


DMMといえば動画配信、英会話、FX、太陽光発電、サッカークラブ運営まで、業種を問わず幅広く事業を展開する企業として知られている。にもかかわらず、海外展開には必ずしも積極的ではない。


インタビュアーから「亀山会長の話や買収案件を聞いていると、基本的に日本向けに日本語で完結するビジネスを好む印象がある。世界を旅されているからこそ、むしろグローバルでマーケットの大きい方を狙ってもいいのでは」と問われた亀山氏。返ってきたのは意外なほどシンプルな答えだった。


「俺が英語あんまりできないから」


冗談めかした口調ながら、その背景には経営者としての一貫した哲学がある。


「自分のスキルでできる範囲で勝負する」という原則


亀山氏は若い頃、ニューヨークでデリバリーの仕事をしていた経験がある。荷物を運ぶ肉体労働のため言葉はほとんど不要で、日本食レストランで使う最低限の英語さえあれば事足りた。


「自分のスキルでできる範囲で勝負するしかない」


この言葉は、亀山氏の経営姿勢そのものを表している。営業ができない、プログラムも書けない。それでも、できる人を集めて頑張ってもらい、その分の利益はきちんと計算して分配する。海外で自分が使い物にならないなら、英語ができる人材を入れてやらせる。アフリカに進出するなら、日本にいる日本語のできるアフリカ人を雇う ── そうした「そのとき、そのときの最適解」を積み重ねてきた。


ただし、現実は甘くない。日本語ができてアフリカに人脈もあるアフリカ人を採用しても、マネジメント能力がなければ事業はうまくいかなかったという。


日本市場が「寝ていた」ことが追い風になった


海外を目指さなかった理由は、英語力だけではない。亀山氏は、日本市場そのものの特性を冷静に見ていた。


「日本がこの20〜30年、寝ていたとしようか。寝てたおかげで俺は活躍しやすかった」


バブル崩壊以降、日本企業は保守的になり、投資にも事業展開にも積極的ではなくなった。本来、日本企業や日本人エリートのポテンシャルは高いはずだが、その「ウサギ」が眠っている間に、亀山氏のような「亀」がコツコツ歩き、他がやらない領域を取りに行けたという見立てだ。


海外展開の落とし穴 ── コストセンターと売上拠点は違う


亀山氏は「海外は一切やらない」と言っているわけではない。たとえばDMM英会話の講師拠点をフィリピンに置くなど、コスト側を海外に持つ試みは続けている。問題は売上を立てる側だ。


「向こうで売上を上げようと思ったら、向こうの文化やマーケティングを含めて、ある程度しっかりしたパートナーがいないといけない。そのパートナー自体を作るのが大変」


メルカリがアメリカ進出に苦戦しているように、海外で売上を作るには現地パートナーの構築という大きなハードルがある。亀山氏の選択は、ここを無理に攻めるのではなく、日本市場の中で複数の業種を縦に展開していく方向だった。


AmazonモデルはグローバルだがRakutenモデルは日本向き


話題はECビジネスにも及ぶ。亀山氏は、AmazonとRakutenのビジネスモデルの違いから、グローバル展開の向き不向きを語る。


Amazonは自前で物流センターを構える垂直統合型。世界中に同じネットワークを作りやすく、グローバル展開と相性が良い。一方、Rakutenはモール型で、各国の文化や商習慣の影響を強く受ける。Rakutenモデルは、むしろ国内で楽天ポイントを軸に他のビジネスへ横展開する方が伸びやすい、というのが亀山氏の見立てだ。


「業種によって違う。1つの会社が別の業種に入っていく方が、日本に根を張ってやっていく方が、有効性が高いと思った」


多国籍人材を社内に貯めるという長期戦略


それでも、亀山氏は次の世代には海外を見据えてほしいと考えている。


社内には現在、ベトナム、韓国、中国などさまざまな国籍の人材がいる。社内公用語を英語にする試みは「正直うまくいかなかった」と振り返るが、5年・10年と一緒に働いてマネジメント能力がついた外国籍社員を、いずれ自国の責任者として送り出す、という構想がある。


「いきなり現地で優秀そうなアメリカ人に『ここの国を任せた』とやってもうまくいかないケースが多い。日本語でコミュニケーションが取れて、こちらの会社ともやり取りできる人間が、向こうの責任者になる方が現実的」


IPコンテンツのように「向こうが欲しがるもの」がある場合は別として、通常のビジネスを海外で立ち上げる難易度は高い。VCには「グローバル企業に投資したい」というニーズがあるが、現実には多くの企業が海外で苦戦している、と亀山氏は冷静に語る。


「会長抜きでやってくれ」と言える組織を作る


インタビューの終盤、亀山氏は今後の展望をこう語った。


「もう会長に言ってもわからんから、任してくださいみたいな ── そういう人が現れるかもしれない。実際にちょこちょこ現れていて、海外での展開はいろんな実験をしている。チャンスを与えるから行っておいで、うまくいったらそこの社長になればいい」


自動翻訳が普及していくこれからの時代、英語を学ぶことよりも「日本語のままで世界と仕事ができる仕組み」を作る方が現実的かもしれない、と亀山氏は示唆する。


グローバル展開を礼賛するのではなく、自社のビジネスモデルと人材の現実から逆算して市場を選ぶ ── 亀山氏の語る経営観は、安易な海外進出論に対する一つの示唆に富んだアンチテーゼと言える。


※本記事はYouTube動画を元に編集部で再構成したものです

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目次

  1. 1.なぜDMMはグローバル展開に積極的でないのか
  2. 2.「自分のスキルでできる範囲で勝負する」という原則
  3. 3.日本市場が「寝ていた」ことが追い風になった
  4. 4.海外展開の落とし穴 ── コストセンターと売上拠点は違う
  5. 5.AmazonモデルはグローバルだがRakutenモデルは日本向き
  6. 6.多国籍人材を社内に貯めるという長期戦略
  7. 7.「会長抜きでやってくれ」と言える組織を作る
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