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総合>ビジネス動画>【東大卒起業家・大野氏】創業2年でDMMにスピードM&A、退任後に再びDMMグループ内で20億円調達した理由

【東大卒起業家・大野氏】創業2年でDMMにスピードM&A、退任後に再びDMMグループ内で20億円調達した理由

2024/7/16
M&A CAMPチャンネル
M&A CAMPチャンネル運営局

創業からわずか2年でDMMへ売却、ロックアップ終了後に再びDMMグループ内でアルゴマティックを共同創業した大野氏。生成AI時代の事業戦略、20億円調達の舞台裏、亀山氏との信頼関係に基づく異色の起業スタイルを語ります。

創業2年でのスピードM&A、その後DMMグループ内で再び起業という異色の経歴


株式会社アルゴマティック代表の大野氏は、東京大学在学中からAI研究に従事してきた起業家だ。画像認識のブレイクスルーが起きたタイミングで研究を重ね、自然言語処理を活用したチャットボット開発などにも取り組んできた。大学卒業後は1年間研究室に在籍しながら、ディープラーニングや機械学習の共同研究を請け負う会社を立ち上げる。


そして創業からわずか2年。同社はDMMへの売却という形でグループインを果たした。最初は51%の買収、そして昨年には完全100%買収となり、ロックアップ期間終了後に大野氏は退任。しかし驚くべきことに、退任後すぐにDMMと共同で新会社「アルゴマティック」を立ち上げているのだ。


一度M&Aで売却したファウンダーが、再び同じグループ内で新会社を起こす——M&A業界でもなかなか見ない事例である。


なぜスピードM&Aを選んだのか——データ権利と事業スケールの壁


大野氏が創業2年というスピードでM&Aを選択した背景には、ディープラーニング事業特有の構造的な課題があった。


「最初は自己資金で始めて、受託開発をやりながらお金を稼いでプロダクトを作るということをずっとやっていました。受託でチャンスを見つけて、その領域でプロダクトとして横展開していきたかった」と大野氏は当時を振り返る。


しかし、当時のディープラーニング開発には大きな壁があった。学習データがなければモデルが作れず、顧客から提供された業界データを使って汎用プロダクトとして売り出すことは権利上難しかったのだ。


「それぞれの業界のデータがないといいものは作れない。けれどデータをもらっている時点で、権利的になかなかやりづらいところがあった」


この壁を越えるには、どこかとがっちりパートナーシップを組み、顧客のためにも作りつつ、できたものを一緒に事業として育てる仕組みが必要だった。創業2年目で資本を入れて事業を進めることを検討し始めた大野氏は、共同研究で関わりのあった企業から複数のオファーを受ける中で、DMMの当時のCTO・松本氏との対話を重ねた。DMMが機械学習を活用した既存事業の成長と新サービス開発を構想していたこととビジョンが一致し、グループインを決断したという。


アーンアウトを選んだ理由——インセンティブ設計の考え方


M&Aの形態としてアーンアウト(業績連動型の対価支払い)を選択した点も興味深い。これについて大野氏は、DMM側の意向が大きかったと説明する。


「機械学習のケイパビリティはあるし、当時のプロダクトもあった。ただ会社としてはまだ小さいフェーズだったので、いいインセンティブ設計があった方がいい。一緒に事業を作っていくなら、事業ができたらハッピーだし、できなければハッピーじゃない。互いの目標感を合わせた方がいいよねという話でした」


売却前の事業はすでに黒字化しており、利益も出ていた。受託研究は事業として固く、そのままでも十分に成立する状態だった。それでも大きな勝負に出るためにはアクセルを踏み込む必要があり、その判断材料としてM&Aは合理的だったというわけだ。


売却後に化けたチャットボット広告事業「Chat Boost CV」


売却後、最初は受託で売上を立てながらプロダクト探索を続けたが、やがて受託を完全に止めてプロダクト開発に集中する判断を下す。そこで生まれたのが、SNS広告でも頻繁に目にするチャットボットマーケティングサービス「Chat Boost CV」だ。


ビジネスモデルはシンプルだ。チャットボットの会話を通じてユーザーの熱量を上げ、商品やサービスの契約・利用に至れば成果報酬として収益を得る。導入企業にとっては金銭的なリスクがほぼないため、参入障壁が低い。


「もちろんサービスとしてはグループインしなくてもできた部分もある。ただ競合が多いマーケットなので、適切にアクセルを踏む必要があった。そこはDMMグループのリソース・アセットありで伸びることができた」


大々的なテレビCMを含むプロモーションを早期から打てたのも、グループ入りしたからこそだという。スタートアップとして小さくやっていたら、そもそも勝てなかった可能性が高いと大野氏は分析する。


生成AIはレッドオーシャンか——「全くそんなことはない」


生成AI領域には数多くのスタートアップが参入している。レッドオーシャン化しているのではないかという問いに対し、大野氏は明確に否定する。


「ソフトウェア・インターネットが出てきたタイミングで、あらゆるサービスにソフトウェアが実装されていった。同じように、生成AIも今まで人間にしかできなかった『柔らかく思考してプランニングして実行する』ということをできるようにする。これは人類で初めてのことで、無限に余地があるんです」


さらに、技術の進化と人々のリテラシーの進化によってホットマーケットは移り変わっていくと大野氏は指摘する。インターネットの初期と成熟期で注目領域が変わってきたように、生成AI領域でもチャンスのウィンドウは開き続けるという見立てだ。


DMMから20億円——コミットメントを示す資本提携の意味


新会社アルゴマティックの立ち上げにあたっては、DMMから20億円という大型のコミットメントを得ている。一般的には創業時に外部資本を入れず、自己資金で始める起業家も多いなか、なぜこの選択を取ったのか。


大野氏はその理由を、生成AIという技術革命のタイミングを「太く生きる」ためだと説明する。


「インターネットが生まれた瞬間に戻れるならこういう事業をやった方がいい、という領域が今ある。せっかくこの瞬間に生きているんだったら、領域を複数貼れた方がいい。それぞれで軽量チームを作って、複数の車輪のスタートアップを同時にやるみたいなことができた方がいい」


スタートアップの教科書的にはワンプロダクトで集中するのが定石だが、大野氏の戦略は「時間軸で見たときの選択と集中」だという。技術革新が起きたこのタイミングに集中投下することこそが、人生の長期軸での選択と集中である、という考え方だ。


資金調達のプロセスも、いわゆるピッチや交渉ではなかった。DMMの亀山会長のレポートラインで一緒に事業を立ち上げてきた信頼関係のなかで、半年から1年かけて構想を共有し続け、必要な資金規模も自然と固まっていったという。


「金は出すけど口は出さない」——亀山会長との関係性


大野氏が新会社をDMMグループ内で立ち上げた背景には、亀山会長との3年以上にわたる信頼関係がある。


「亀山さんは『金は出すけど口は出さない』とよく言うんですが、本当にそうなんです。無関心ではなく、事業の話は一緒に真剣に議論できる。でも最終的なオーナーシップはこっちに任せてくれる。『結局お前的にはどうした方がいいと思うんだ』と聞いてくれる」


この包容力ある経営スタンスが、大野氏が再びDMMグループ内で起業を選んだ大きな理由だ。事業内容の魅力以上に、人として尊敬でき、一緒にやっていて楽しい相手と組めることの価値を大野氏は強調する。


不確実性のアービトラージ——技術と市場、どちらを取るか


事業領域の選定について、大野氏は「不確実性の総量のバランスゲーム」と表現する。


「ビジネスは、起業家が見えているチャンスとマーケットから見えていないチャンスのアービトラージ。生成AIをやるなら、技術の不確実性は必ず取ることになる。なので市場の不確実性は基本的にあまり取らない。技術的に実現できれば買わないわけがない、使わないわけがないという商品を作ることを心がけています」


技術が分かる起業家としての強みを活かし、「人々が無理だと思っているけど実はできるもの」を作る——これが大野氏の事業選定の核心だ。世間からはチャレンジングに見えても、本人にとっては「かなり固め」のやり方なのだという。


エンジニア出身経営者として学んだこと


大野氏自身は技術出身でありながら、「何が間違いなく儲かりそうかをめっちゃ考えるのが好き」だと自己分析する。プロダクトアウトではなくビジネス起点での発想が、ステレオタイプ的な技術系経営者との違いだと語る。


創業当初を振り返ると、論文を読み込んで最先端の実装を作れば勝てると考えていた時期があったという。しかし、実際には3年前の論文の内容すら社会実装されていないことに気づき、攻め方を変えた。


「技術の最先端を追うのも重要ですが、それだけではない。今の地場がどこまで行っているのか、結局何が人々にとって時間やお金をかけてでも使いたいと思われるものなのか。そこに大きなギャップがあった」


1回目の起業に戻れるなら——外部資本との向き合い方


1社目の創業時、大野氏はDMMグループに入るまで自己資金のみで運営し、銀行借入もしていなかった。当時を振り返り「外部の大人を巻き込みたくなかった。昨日までこうと言っていたけど今日違うと思ったらこうしたい、ということができない環境になると難しい」と語る。


しかし今は考えが変わったという。「ちゃんと信頼関係を築いたチームが作れているなら、ステークホルダーや投資家の方々も仲間。視野が狭かったというか、知らなかった」


もう一度1社目を起業するなら投資を受けるか——という問いには、「入れます。と言いつつ、入れないんですよね」と苦笑する。信頼関係が築けていない状態で気にしてしまう性格を踏まえると、結局は信頼できる相手と組めるかどうかが鍵になる、という結論だ。


クリエイターとAI、ツール選定、企画力——参加者からの質問に答える


公開収録形式で行われた本対談では、参加者から多くの質問が寄せられた。


AIによってクリエイターはいなくなるのかという問いには、「単純労働に近いクリエイティブは置き換わりやすいが、人間が作り続けることに価値がある領域は残る」と回答。AIツールの選定基準については「トップレベルの汎用モデルなら全部使えばいい。3〜6ヶ月でバージョンアップされていくので固執する必要はない」とコメントした。


またAI時代のエンジニアリングについては、「コードを書ける人がより書けるようになっている状況。生産性が1から100になる世界。最低限書けることのバリューはむしろ大きい」と分析。企画力も同様に重要であり続けると指摘した。


リーガルリスクについては、特にプライバシーや個人情報の扱いに厳しい領域では知らずに違反しやすいため、現行法だけでなく今後の法改正の議論も注視すべきだと述べた。


まとめ:技術革命のタイミングを「太く生きる」


大野氏のキャリアは、創業2年でのスピードM&A、ロックアップ後の退任、そしてDMMグループ内での再起業と、いずれも一般的なスタートアップの定石とは異なる選択の連続だ。しかしその根底には、「技術革新が起きたこのタイミングに集中投下することこそが、人生の長期軸での選択と集中である」という一貫した哲学がある。


生成AI時代に挑む起業家にとって、技術の不確実性をどう引き受け、市場と組織のリソースをどう設計するか——大野氏の事例は、その重要な参考軸を提示している。


※本記事はYouTube動画を元に編集部で再構成したものです

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目次

  1. 1.創業2年でのスピードM&A、その後DMMグループ内で再び起業という異色の経歴
  2. 2.なぜスピードM&Aを選んだのか——データ権利と事業スケールの壁
  3. 3.アーンアウトを選んだ理由——インセンティブ設計の考え方
  4. 4.売却後に化けたチャットボット広告事業「Chat Boost CV」
  5. 5.生成AIはレッドオーシャンか——「全くそんなことはない」
  6. 6.DMMから20億円——コミットメントを示す資本提携の意味
  7. 7.「金は出すけど口は出さない」——亀山会長との関係性
  8. 8.不確実性のアービトラージ——技術と市場、どちらを取るか
  9. 9.エンジニア出身経営者として学んだこと
  10. 10.1回目の起業に戻れるなら——外部資本との向き合い方
  11. 11.クリエイターとAI、ツール選定、企画力——参加者からの質問に答える
  12. 12.まとめ:技術革命のタイミングを「太く生きる」
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