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総合>ビジネス動画>若手起業家が上場よりM&Aを選ぶ理由 ― スタートアップM&A最前線の座談会

若手起業家が上場よりM&Aを選ぶ理由 ― スタートアップM&A最前線の座談会

2025/5/1
M&A CAMPチャンネル
M&A CAMPチャンネル運営局

スピードステップ迎え氏、ノックラン福本氏、日本M&AセンターIT業界専門の竹氏が、若手経営者にとってのM&Aと上場の選択肢、グロース市場の100億円ルール、2回目の起業の戦い方まで率直に語り合った座談会の記録。

近年、若手起業家のあいだでIPO(新規株式公開)ではなくM&Aによるイグジットを選ぶ動きが加速している。背景には、グロース市場の上場維持基準引き上げ、四半期開示の重さ、そして「上場後も100億円の壁」を越えられない企業が大半という現実がある。


本記事では、2023年5月に株式会社JStream(東証グロース上場)へ5億円で売却した株式会社ビデオステップ(現スピードステップ)代表の迎え氏、2024年12月にエアトリ(東証プライム上場)グループ入りしたばかりの株式会社ノックラン代表・福本氏、そして2016年から日本M&AセンターでIT業界のM&A、2018年頃からスタートアップ領域を支援している竹氏の3名による座談会の内容を、編集部で再構成してお届けする。


いま、スタートアップM&Aの現場で起きていること


竹氏によれば、起業から5年前後でイグジットする「スタートアップM&A」がポツポツ出始めたのは2017〜2018年頃。当時のバリュエーションは3億円程度が中心だった。


近年は10億円前後、15億円規模の案件が増加。さらに今年に入って急増しているのが、ベンチャーキャピタル(VC)が入っている案件だという。


「VCさんもファンドの償還期限が10年なので、残り2年ぐらいになるとイグジットの機会を作らないといけない。それを契機にM&Aを検討するケースが増えています。あとは資金繰りでM&Aを選ぶケースも、今年は非常に増えました」(竹氏)


グロース市場「100億円ルール」が突きつける現実


IPOの選択肢自体も狭くなっている。2024年の上場社数は86社、うちスタートアップ分類は約40社にとどまった。一方でN-2(上場2期前)期に入っているスタートアップは約1,000社あるとされる。1万社あるとされるスタートアップから、年間40社しかIPOできない計算だ。


さらに、上場後10年以内に時価総額100億円を超えなければグロース市場から退場、もしくはスタンダード市場への移行を求められるルールが導入された。竹氏は、2000年以降に上場した約800社の時価総額の平均は55億円で、ほとんどの会社が100億円を超えていないと指摘する。


「上場まで持っていくのも修羅の道。上場しても四半期開示が課されて利害関係者も増え、結局100億円に届かない。これでいいんだっけ、と気づき始めている経営者がすごく増えています」(竹氏)


VC調達が「分岐点」になる理由


資金調達ルートを早い段階で踏むと、M&Aという出口の自由度が下がる。福本氏の周囲でも、シリーズAを前に「次の調達に進むか、M&Aに切り替えるか」で迷う経営者が多いという。


竹氏は、国内のVCは約300社あり、シード/アーリー/レーターなど投資ステージによって入る期間もタイミングも異なると整理する。仕組みを理解しないまま無邪気に調達を重ねると、創業者の持株比率が50%を切り、自社にいながら「雇われ社長状態」になっているケースも珍しくない。


迎え氏は、シリーズA前にVC調達5,000万円・外部株主比率20%という状態で、最終的に5億円でJStreamへ売却した。バリュエーションを1〜2億円の段階に抑えて投資家を入れていたため、全株主に2〜3倍のリターンを返せたという。


「シリーズAで進むか、このタイミング・この価格でM&Aするか。優先株のシリーズA時バリュエーションとM&A時バリュエーションを並べて、自分の中でアンダーラインを決めていました」(迎え氏)


一方、福本氏は完全自己資金で経営し、外部株主ゼロのままM&Aに踏み切った稀有なケースだ。コンサルティング型のHRサービスで、人件費以外のコストがかからないモデルだったことが大きい。


売却に強い企業とは「キャッシュフローが回っている会社」


福本氏は、調達済みスタートアップを支援する立場から、売却に強い企業の条件を「自社でキャッシュフローが回っていること」と断言する。


「上場もM&Aも、そもそも自社でキャッシュフローが回っていないとできない。調達でごまかしている会社も結構あります」(福本氏)


竹氏も、赤字の中身を「踏むための固定費か、削れる変動費か」で見ると補足する。デューデリジェンス(買収前調査)の場で費用の内訳が問われるのはこのためだ。


ロックアップとアーンアウトをどう設計するか


M&A後の経営者・キーマンの残留設計も論点になった。竹氏によれば、最近は「ロックアップ(売却後の一定期間の継続関与義務)を付けないと残らない経営者には、そもそも求心力がない」と捉える買い手側経営者も増えているという。


福本氏のディールでは、3年分のアーンアウト(業績連動型の追加対価)がパッケージとして組まれた。エアトリ側にM&A経験が豊富なことも背景にあり、双方向に納得感のあるインセンティブ設計になったと振り返る。


迎え氏は100%株式譲渡だったため特別なアーンアウトはつけなかったが、株式付与制度を一部使うなど、ケースバイケースの設計余地はあると指摘した。


M&Aを決めたきっかけ


迎え氏がM&Aを意識し始めたのは、シリーズAを実施するか否かを検討していたタイミング。「この価格で売れるなら売ってもいい」という基準を自分の中で明確に持っていた。


福本氏は、24歳で起業して3期目の途中、社員ゼロのソロプレナー状態でM&Aを決断した。海外向けプロダクトという次のチャレンジを見据え、選択と集中の難しさを感じたタイミングだったという。買い手のエアトリはCVCで140社以上のスタートアップに投資し、経営者コミュニティ「エアトリシェイクソサロン」を運営しており、シナジーが明確だった点が決め手になった。


なぜ若手社員に「上場」が刺さらないのか


座談会で印象的だったのは、若い世代の上場観が変わってきているという認識だ。


「自分も含めて若手社員は、上場にあまり憧れを持っていない。むしろ業績が伸びていることのほうが採用力に直結する」(迎え氏)


福本氏も「20代の上場に対する見方は、上の世代と明らかに違う。ストックオプションのガチャがそもそもピンと来ない求職者も多い」と語る。経営者側が掲げる「上場」というストーリーと、求職者側が見ている景色のあいだに世代差によるズレが生じている。


竹氏はこの背景に、IT領域の成熟と「ITスタートアップドリーム」の一段落を見る。生成AI領域では、最初から再現性のあるオペレーションを設計し、10億円規模まで着実に伸ばす「賢い起業家」が増えており、不確実性に賭けて一発逆転を狙う色合いは薄れているという。


既存産業のロールアップとスタートアップによるリマスタード


M&A市場全体で見ると、後継者不在企業の事業承継マーケットが圧倒的に大きい。竹氏によれば、国内360万社のうち127万社が後継者不在で、うち60万社が黒字。マーケットサイズは約9兆円で、今後50年推移する見立てだ。


ここに対して、スタートアップが既存産業を買収して若者の力と生成AIで「リマスタード」する動きが広がっている。建設業のクアンド、ゲーム業界のジーダット、ソフトハウスを買い続けるシフト、タクシー業界のニモカなど、ロールアップ型のPMI(買収後統合)で生産性を高めていく事例が積み上がりつつある。


さらに今後は、スタートアップが時価総額100億円未満の上場企業をTOB(株式公開買付)で取り込む動きも増えるのではないか、という見立ても示された。未上場のスタートアップでも、上場企業の公募調達額(平均約14億円)を超える資金を持つ企業が出てきているためだ。


2回目の起業をどう設計するか


2回目の起業については、福本氏が一貫した姿勢を見せた。


「シリアルアントレプレナーで最初から大型調達される方々を尊敬しているが、自分は1回目の起業でエクイティ調達の怖さを思い知った。ある程度解像度の高い事業計画が引けるまでは調達しない。自己資金でプロダクトを立ち上げ切って、『ここのレバーを引けば伸びる』とわかってからエクイティを入れる」(福本氏)


領域としては、ミクシィの「みてね」に近い家族領域のプロダクトを構想しており、初手から海外を視野に入れている。


迎え氏も「2回目の起業を見据えて、1回目のM&Aを早めに実行した側面がある」と語った。


起業時から押さえておきたい資本政策と事業計画


座談会の最後、これから起業する人へのアドバイスとして3者が挙げたポイントは次の通りだ。


迎え氏は「事業計画をきちんと引くこと、特に撤退ラインとレバーになる投資ポイントを早めに見つけること」を挙げた。


福本氏は「信念を持てる領域を入念に選ぶこと。何があってもくじけずに継続できる領域でなければ、結局成功までたどり着けない」と語った。1人で立ち上げるか組織で立ち上げるかについては、「自分なら1人でやる。利益が人件費の10倍程度出てから人を入れたい」と続けた。


M&A仲介の立場から、竹氏は「事業計画を創業期から作っておくことの重要性」を強調する。


「上場企業が買い手の場合、将来価値を見込んだ株価を付けるためにDCF(割引キャッシュフロー法)が必要になる。M&Aの局面で初めて事業計画を作っても検証ができない。1期目・2期目・3期目はこういう計画を立てて、結果はプラスマイナス10%以内に収まりました、と説明できれば取締役会で通りやすい」(竹氏)


さらに、上場企業がM&Aで最も気にするのは「のれんの減損」だという。利益が出ていなくても、KPIが伸びていることを示すデータを創業期から取っておくことで、「減損しない」というストーリーを買い手の取締役会に提示できる。取締役クラスは50〜60代が中心で、「黒字=正義」の世代に響く情報を揃えておくことが、結果的にバリュエーションに効いてくる。


まとめ


上場の選択肢は依然として広いが、グロース市場の100億円ルールや四半期開示の重さを前に、若手起業家が「上場よりM&A」を選ぶ合理性は確実に高まっている。事業承継マーケットの広大さ、上場企業同士のTOB、スタートアップによる既存産業のリマスタード ―― 出口と買い手の組み合わせは多様化しており、自社の事業フェーズと経営者自身のライフステージから逆算して資本政策を組む重要性が増している。


3人の経営者・専門家に共通していたメッセージは、「事業計画と信念を、創業期から丁寧に積み上げておくこと」だった。


※本記事はYouTube動画を元に編集部で再構成したものです

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目次

  1. 1.いま、スタートアップM&Aの現場で起きていること
  2. 2.グロース市場「100億円ルール」が突きつける現実
  3. 3.VC調達が「分岐点」になる理由
  4. 4.売却に強い企業とは「キャッシュフローが回っている会社」
  5. 5.ロックアップとアーンアウトをどう設計するか
  6. 6.M&Aを決めたきっかけ
  7. 7.なぜ若手社員に「上場」が刺さらないのか
  8. 8.既存産業のロールアップとスタートアップによるリマスタード
  9. 9.2回目の起業をどう設計するか
  10. 10.起業時から押さえておきたい資本政策と事業計画
  11. 11.まとめ
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