ライターのヨッピー氏と経営者の高山氏が、規模拡大や港区的価値観に染まらない生き方を語る。お金より面白さ、頑張ることの価値、夫婦円満の秘訣、ストレス解消法まで、アンチ資本主義的な視点から「かっこいい大人」の定義を掘り下げる対談。
中目黒の居酒屋・寺田屋にて、ライターのヨッピー氏と高山氏が「かっこいい大人とは何か」をテーマに語り合った。
ヨッピー氏はまず、テーマそのものへのアプローチを転換する。
「かっこいい大人とはちょっと一回置いといて、逆にかっこ悪い大人の話をした方がいいんじゃないか。かっこ悪い行動を取らない、イコールかっこいい大人である、というアプローチの方が分かりやすいんじゃないかなと」
二人が「かっこ悪い」と感じるのは、資本主義のど真ん中で自慢を繰り返す層だという。西麻布や六本木で港区的な飲み方を経験したからこそ、もう行かないと決めている。
「ひけらかすのがやっぱり気持ち悪いなと思っちゃう。飲み屋でやっちゃいけない話の一つがお金の話。いくら持ってる、車がなんだ、みたいな自慢は良くない」
二人とも、お金を稼ぐことへの執着が薄い。
ヨッピー氏は「昔からお金が欲しいというのが全くない。面白いことしたい、面白い場所に行きたい、面白い人と飲みたいの方が強い」と語る。年収5,000万円でも会えない人に、Twitterのフォロワー10万人なら会えることがある——そんな影響力の方に価値を感じるという。
一方、高山氏は新卒で不動産会社に入り、独身・実家暮らしで売れて1,000万円稼いでいた時期があったが、稼ぎは全部酒に使ったと振り返る。
ヨッピー氏はサラリーマン時代から「ノラリクラリ」過ごしてきたが、自身がADHDであることを自覚してから、案件を増やしすぎないよう意識するようになった。キャパオーバーで働いていた時期、タクシーで突然涙が出てきた経験もあるという。
仕事で大切にしていることを問われ、二人は口を揃えて「頑張る」と答えた。
ヨッピー氏は語る。
「最近Twitterとかで『頑張らなくていいよ』『あなたはそのままで価値がある』みたいなことを言う人がいる。でも頑張らないやつに価値なんかないじゃん、とすごく思う。多くのことって、頑張らないより頑張った方がいい」
高山氏も2月に資金繰りで追い込まれ、2か月必死に営業をかけて仕事を取り戻した経験から、「頑張るっていいなと思っちゃった。生きてる感が出た」と頷く。
ただし、頑張るために土日は必ず休む。DJ、家族での食事、ラーメン、編集——休む時はしっかり休むのが高山氏のスタイルだ。
二人が憧れる経営者として名前が挙がったのは、ソフトバンクの孫正義氏、DMMの亀山敬司氏、そして連続起業家として知られる岡村氏だ。
特に亀山氏については「露天商から始めて、岡村さんも訪問販売から始めている。叩き上げ系の頂点が亀山さん」とヨッピー氏。DMMの喫煙所で出会う亀山氏は、会長でありながら極めてフラットな存在だという。
「偉いけど、偉そうじゃない。それがやっぱりかっこいい」
岡村氏については、訪問販売時代にテレビでサイバーエージェント藤田氏の発言を見て「これからはインターネットだ」と素直に信じ、本屋のエンジニア向けコーナーで本を買う人を片っ端からナンパして採用したエピソードを紹介。社員1,000人規模に成長した背景には、こうした常識外の行動力があったという。
ヨッピー氏が語ったのは、連続起業家・家入一真氏の20年来のエピソードだ。
ペパボやEast Venturesを創業し成功した家入氏が、六本木で派手に飲むようになり、レストランやレセプションパーティーを始めた頃から「あれよあれよと転落していった」。一時期は破産寸前まで追い込まれ、上場で得た20億円近くを使い切ったという。
「お金を使うとみんな喜んでくれるから、と言うんですけど、結局その金を使うことによって喜ぶような人ばかり寄ってきちゃう」
その後BASEの上場で復活した家入氏は、「当時周りにいた人は誰もいなくなった」と振り返っているという。
高山氏は過去に家の貯金を全部使ったことがあり、それ以来キャッシュカードを妻に預け、お小遣い制で生活している。
「今は小遣い6万円。1日2,000円以下」
飲み会でカードを使った時は、後から個人事業の仕事で得た現金で精算する仕組みだという。それでも毎日のように酒場に通えているのは、「足るを知る」というスタンスがあるからだ。
「お金があったからって何するの、とすごく思う。墓まで持っていけないからね」
美味しい寿司より、子供と回転寿司で食べる天ぷらの方が「美味しい」と言われた知人の逸話を引きつつ、二人は「楽しい」が「美味しい」を超える瞬間があると語る。
話題は夫婦関係に及ぶ。
ヨッピー氏が語る夫婦円満のコツは率直だった。
「ちゃんと抱くこと。セックスレスの原因は、嫁さんの裸を日常的に見すぎること。希少性を高めることが大事」
もう一つは「自分が損することを受け入れるマインド」。家事育児を半々にしようと思っても完全には半々にならない。「明らかに自分の方が負担が重い」という状況を飲み込む覚悟が必要だという。
結婚25年の高山氏は「嫁さんが偉い」と一言。ヨッピー氏もこう補足する。
「経営者の旦那でお金があると、奥さんが働かなくなって、どんどんだらけてしまうケースがある。自分が頑張って仕事してるのに、と不満が溜まる。高山さんちは奥さんが偉いから続いている」
子育てについてヨッピー氏が意識するのは、「面白い人間にすること」と「騙されない知性をつけること」だ。家の中でネットワークビジネスを話題にし、馬鹿にして見せることで、子供に「流されない」価値観を刷り込んでいるという。
「無人島にほっといてもなんか元気よく過ごしてそうな、そういうやつにしたい。だから飲み会にも連れていく。人見知りしない子に育っている」
最後に二人のストレス解消法。
ヨッピー氏は週8〜10回通うほどのサウナ愛好家。執筆で頭が詰まった時、サウナで考えをまとめ、書き始めるという。
高山氏は「酒というより酒場」。気の合う人と飲む時間そのものが回復手段になっている。
「ストレス解消法はちゃんと向き合った方がいい。特に経営者で趣味もなく、2時間空いた時にやりたいことが何もない人は、ワーカホリックになってどこかで潰れる。脳が安らぐ、体が休まる回復手段は、全員ちゃんと確立しておいた方が絶対いい」
規模拡大を追わず、自慢をせず、面白い人と面白い場所で飲む。頑張る時は頑張り、休む時は休む。家族関係でも自分が損を引き受ける覚悟を持つ——。
二人が体現していたのは、資本主義の物差しから一歩外れた「足るを知る」生き方だった。それは決して諦めではなく、自分の幸福の輪郭をはっきり捉えているからこそ可能なスタイルなのだろう。
※本記事はYouTube動画を元に編集部で再構成したものです


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