ライターのヨッピー氏が経営者・起業家に向けて語る、仕事と育児の両立術。育休1ヶ月の必要性、夫婦関係の築き方、育児をプロジェクトとして捉えるハック術、そして40代で気づいた「人生のピーク」とは。
今回はライターのヨッピー氏をゲストに迎え、「経営と育児の両立」をテーマに話を聞いた。23年以上インターネットの世界で活動し、現在は法人化して個人で仕事を回しているヨッピー氏は、7年前に結婚、3年前に第一子が誕生している。
ヨッピー氏は40歳前後で訪れる「中年クライシス」について、こう語る。
「40ぐらいになってくると、いろんなものへの情熱が失せてくるんですよ。仕事ってこういう風にすれば大体うまくいくね、というのが分かってきて、チャレンジじゃなくなってくる。情熱の行き先が次にどこに行くかとなった時に、やっぱり子供だったんです、僕は」
子育てを通じて得られる発見も大きいという。例えば、世界中で「いらない」を示すジェスチャー(手を横に振る動作)がほぼ共通している理由について、赤ちゃんが世に出て最初に行う拒絶のサイン(ミルクがいらない時に首を振る動作)が起源ではないかと気づいた瞬間など、人間理解が深まる体験が日々あると語る。
ヨッピー氏が経営者・起業家に最も強く訴えるのが、出産直後1ヶ月の育休の重要性だ。
「育休はマジで取った方がいいですよ。1ヶ月は取ってほしい。出産後直後の1ヶ月は絶対に取って、自分で面倒を見てほしい。それがあることで、その後の何十年が変わります」
ヨッピー氏自身、子供が生まれた直後は実感が湧かなかったというが、奥さんの体力回復を考えメインで世話をする1ヶ月を過ごすうちに、愛着が湧いていったと振り返る。
「生まれてすぐの1ヶ月は変化がめっちゃ早いんですよね。3日経つと違う顔になっている。そうやって見ているうちに愛着が湧く。最初に愛着が湧いちゃうと、その後仕事が忙しくて奥さんメインで育児しても、子供の面倒を見ようとするので関係性が良くなっていく」
仕事は子供が寝ている時間に細切れで対応すれば回せる。完全に休むのが難しい場合でも、最低限フルリモートワークに切り替えるべきだと強調する。
「人生における大トロの部分ですよ。子供がちっちゃい時の子育てって、人生で一番いい部分なんです」
ヨッピー氏の現在の1日はこうだ。朝7時半に起きて子供2人を起こし、着替え・歯磨き・朝食を済ませて9時に保育園に送る。日中は仕事をし、5時半に奥さんが子供を迎えに来た後、夕食準備や下の子のお風呂を担当。寝かしつけは「ママっ子」の上の子に合わせて奥さんが担当し、その間にヨッピー氏はサウナへ。10時頃帰宅して残った仕事を片付け、12時頃に就寝する。
「自営業で通勤がないからこれができる。サラリーマンで同じことをやろうと思ったら結構しんどいと思います」
結婚にネガティブな印象を持つ若い起業家も多いが、ヨッピー氏は経営者の男性に向けてこう語る。
「嫁さん選びも気をつけてね、というのは言いたい」
そしてもう一つ、興味深い視点を示す。
「起業したい、と、起業家になりたい、って結構違うなと思うんですよ。起業家になりたいって人は、他の人に羨ましがられたい、他の人が持っているものが欲しいっていうタイプの人だと思うので、子供も絶対欲しくなりますよ、そのうち」
一方で、解決すべき社会課題に強くコミットしている起業家にとっては、結婚は仕事面では確実にマイナスになるとも認める。ただし「人生トータルで見た時の幸福度では確実にプラス」だという。
「育児はハックできるか」という問いに対し、ヨッピー氏は明快だ。
「全然、仕事と一緒ですよ。結局プロジェクトなので、どう円滑に回すかという視点を持って見つめ直すと全然できます」
具体的には以下のような視点を挙げる。
- 動線の見直し:飲食店のオペレーション改善のように、家事育児における物の配置や移動を最適化する
- バックアップ体制の構築:自分が出張や病気で不在になった場合に備え、病児保育を事前に探したり、シッターに一度慣れさせておく
- リソースの棚卸し:実家、近所の友人、シッターサービスなど、使えるリソースを事前に洗い出す
ヨッピー氏自身、子供が生まれた友人を近所に引っ越させ、保育園からの緊急連絡先に指定するなど、ネットワークの構築を行っている。
「経営者の人たちに言いたいのは、最終的にはお金で殴れば何とでもなるんですよ。シッターさんを雇えば済むので、お金に余裕がある経営者は少なくともビビる必要はない」
ヨッピー氏は育児書を熟読することの重要性も説く。長男に「背中スイッチ」(抱っこから布団に置いた瞬間に泣き出す現象)が発動した時期、育児書で読んだ「ねんねトレーニング(ネントレ)」を実践した。
「子供が泣いたら親が来ると学習するから、すぐ泣くようになる。けれども泣いても来ないなと諦めて寝るようになる、と書いてあった。実践したらその日以来泣かなくなったんですよ」
知識を持つことは、夫婦間で意見が対立した時に納得感のある議論を行うためにも有効だという。
ヨッピー氏が考える経営者にとっての理想的なルートはこうだ。
「20代30代を仕事でぶわっと頑張って、事業のコアを作って権限委譲しながら、自分が離れてもいい体制を40歳ぐらいに構築して、そこから子供を作る。子供が手がかからなくなったらまた仕事に戻る、というフェーズがいいのかなと」
現在の時間配分は「仕事4:家族4:友達2」。以前は週3で飲みに行っていたが、今は週1あるかどうかだという。
「これも人生のピークなんだろうな、というのはもう十分自覚しています。自分の可愛い子供を連れて、上の子が下の子の面倒を一生懸命見ようと頑張っている。そういう姿を見ていたら、これは幸せのピークだなと思いますよ」
仕事で感じるアドレナリン的な喜びとは違う、セロトニン的な幸福。子供は「ありとあらゆる価値観をなぎ倒す上位概念」だと表現する。
最後に、43歳の現在から20代の自分に伝えたいこととして、ヨッピー氏は「バックパッカーをやれ」と挙げた。
「日本がどんだけ恵まれているかを理解しておくべきだなと思っていて。SNSで『こんな日本みたいなダメな国で子育てしたくないから子供を産まない』みたいなことを言っている人がいますけど、こんなに恵まれている国はないやんと。そういう人って絶対バックパックをしてない人だと思うんですよね」
また、人生を豊かにする秘訣として「わらじは何足も履きましょう」という持論も披露。仕事の顔、家庭の顔、趣味の顔など複数のコミュニティに属しておくことで、一つが行き詰まっても精神的に安定する。これは近年の幸福度に関する研究結果とも一致するという。
インタビューの締めくくりに、ヨッピー氏はある寓話を紹介した。コップに大きな岩を入れ、続いて砂を入れ、最後に水を入れる――順番を逆にすると全部は入らない。人生で大事なものは先に入れるべき、という教訓だ。
「子供は人生におけるそこそこでっかいものなんですよ。岩に当たるもの。岩を入れずに他のもので埋めちゃうと、後から本当に後悔するんじゃないかなと本当に思っています」
経営者・起業家にとって、事業も家庭も「岩」となりうる存在。どの順番で何を入れていくのか、自身の人生設計を見つめ直すヒントが詰まった対談となった。
※本記事はYouTube動画を元に編集部で再構成したものです


2026/2/14

2026/2/4

2025/10/3

2025/4/1

2025/2/15

2025/1/1