DMM亀山会長が若手経営者3人の悩みにガチ回答。仕組み化後の暇な経営者、AIエージェントで「ネクストアクセンチュア」を狙う22歳、旅行プラットフォームで資金調達を考える経営者へ、現実的かつ本質的なアドバイスを展開する。
動画冒頭、最初の相談者は夜のお店向け求人広告代理店を営む経営者だ。創業6期目、従業員8名、売上は2〜3億円。仕組み化が進み「正直、私がいらない状態」だという。急に暇になり、新規事業を模索しているが、儲かりそうなものは面白くなく、面白そうなものは儲からない。そんなジレンマを抱えていた。
亀山会長のアドバイスは明快だった。
「飛び地に行くより、自分の生息域でうろうろしていた方がチャンスが出やすい」
すでにキャバクラや飲み屋という顧客基盤がある以上、そのネットワークを活かすクロスセルを考えるべきだという。例えばブランド品の買取、決済サービス、ネイルサロンや美容室への展開など、既存の営業ルートに別の商材を乗せれば、営業コストは1回で済む。
暇な時の過ごし方についても、亀山会長は実体験を語った。
「運動したり、旅したりかな。部屋にこもってるよりは街を歩いてる方がヒントがいっぱいある」
ジムでの筋トレと街歩き。これが新しいビジネスのアイデアを生む土壌になるという。「刑務所でも運動しといた方がいい」というユーモア交じりの言葉に、現場感覚の重要性が滲んでいた。
2人目の相談者は、AIエージェント時代を見据えてソフトウェア開発会社を立ち上げた22歳の起業家。9月に起業し、4ヶ月で売上1000万円。「PMとAIエージェントだけでソフトウェア制作が回る時代が来る」と、優秀なPM人材を採用するための資金調達とVCとの関係構築を考えていた。
しかし亀山会長の反応はシビアだった。
「とりあえず、もうちょっと稼いでから考えろよって感じなんだけどね。失敗するスタートアップの特徴じゃないですか、それ」
夢を語ることや可能性を感じることは理解できる。しかし「言うのとやるのは結構違う」。せめて2億円ほど稼げば、VCも集めやすく、実績ある経営者にこそ優秀な人材は集まってくる、と諭す。
相談者が「カリスマ性が足りないので、20人ぐらいの最強エンジニア集団でかっこいいオフィスを」と語ると、亀山会長はこう返した。
「イケてる感で来るやつは、意外と軽いやつも多い」
汚い事務所の頃に来てくれた人と、綺麗なオフィスになってから来る人とでは、本気度が違うこともある。重要なのは経営者本人の魅力、技術への共感、ビジネスとしての営業力だという。
さらに、技術への自信と市場の評価は別問題である点も指摘された。アナログな会社の担当者から見れば、技術の差は判断がつきにくい。「1/10の値段でいいものができますよ」と言っても、そう簡単には仕事は取れない。だからこそPRやマーケティング、営業の地道なコミットが必要になる。
3人目の相談者は、営業会社を3年経営しつつ、今年新たに旅行系プラットフォーム事業の会社を立ち上げた経営者。既存の営業会社は売上2億円規模で利益も出ているが、新会社にリソースを集中させたい。一方で、開発費・広告費に1000万円単位の資金が必要になりそうだという。
論点は2つ。「既存事業を清算すべきか」「資金調達のタイミングはいつか」だ。
亀山会長は「絶対清算しない方がいい」と即答した。
「水のなんちゃらは仕方なくやったもの。後ろに引く場所がないから『みんな行け』とやるもので、無理に背水の陣にする必要はない。逃げ道は作っといた方がいい」
10人の社員を抱える既存事業を畳めば、彼らの路頭に迷わせることになる。利益が出ているなら、その収益を新事業の資金に回す選択肢も十分にある。
資金調達については、自身が直近で資本業務提携を実施した経験を持つ司会者が「基本的に資金調達はしなければしないほどいい」とコメント。バリュエーションが特別に良かった、業務提携でシナジーが明確、IPOコミットを求められない――こうした条件が揃ったから踏み切ったという。
亀山会長も「売上が立った状態でやる方が立場が強い」と同意。VCからの調達は上司を作るような側面があり、慎重に判断すべきだと語った。
旅行プラットフォーム事業について、相談者は「インバウンドのインフラになる」「日本コンテンツを海外の方が見るサイト No.1 を目指す」とビジョンを語った。しかし、1年・2年先の具体的な事業計画、必要資金額については「まだ詰めていない」という。
亀山会長は鋭く切り込む。
「ベッドの上で見る夢を見たいのか、本当に夢を見たいのかって話。本気でやる気あるの、みたいな話になる」
大きなビジョンは大事だが、それを今年・来年の実行計画に落とし込めなければ意味がない。世界一を目指すなら、まず「日本100位」「港区1位」から始めてもいい。重要なのは、必要な資金を具体的に試算し、自己資金で賄うのか、借入で調達するのか、VCに頼るのか――この選択肢を明確に持つことだ。
「売上は読みにくいけど、経費は読みやすい。何人いたら何人分かかるかは分かる。少なくともかかる経費に対してお金を準備していませんでしたというのは、それ以前の問題」
ビジネスの8割は運だと亀山会長は言うが、残りの2割は当たり前にやるべきことをやるだけ。その2割を怠れば、運の8割も呼び込めない。
22歳の起業家への最後の言葉が印象的だった。
「生意気なやつが途中で潰れてダウンとなったまま退場するやつも見てきてる。生意気のままでいられるってのは、やっぱり叩かれてガチガチになって本気で取り組むってことかな」
言いたいことを言える若さは羨ましい――そう語る亀山会長自身、かつて同じことを言って現実に揉まれてきた。その繰り返しの中で、本当に通用するアイデアと実行力が磨かれていく。
3人の相談者に共通していたのは「夢」と「具体性」のギャップだった。仕組み化された会社で次の一手を探す経営者には、既存顧客への深掘り。AI時代を語る22歳には、まず売上を立てる地道な営業。プラットフォーム構築を志す経営者には、経費の精緻な試算と現実的な資金計画。
「稼いでから考えろ」――この一言に、ベテラン経営者の現場感覚が凝縮されていた。
※本記事はYouTube動画を元に編集部で再構成したものです
