DMM創業者・亀山敬司氏が一人旅で見つめた「自分との対話」、SNS時代に教祖や強者にならない立ち回り、お金で買えない幸せについて、雑談形式で本音を語る。
旅は絶対に一人の方がいい――そう語るのは、DMM.comグループ創業者の亀山敬司会長だ。
誰かと一緒の旅では、相手の話を受け流したり、自分の発言を限定したりせざるを得ない。だが一人なら、自分が知っていることを全部自分に跳ね返すことができるという。
「例えば『あの社員、ちょっといいなと思っちゃうんだよな』とか、後ろ姿を見て『お尻可愛いな』とか思っちゃう自分がいる。打算的だったり、ずるい部分も含めて、一応掘り下げられるじゃない」
他人に告白するには重すぎる、自分の見にくい部分。それを正直に掘り下げられる相談相手としては、自分自身ほど「映画並みにプライベートが守れる」存在はない、と亀山氏は言う。
しかし、一人で考え続けると人は怖くなる。寂しさを紛らわせようと、酒に頼ったり、スマホを見たり、誰かに電話したりLINEしたりしてしまう。
聞き手も「正月10日間ヨーロッパを一人で旅した時、怖くなってYouTubeを見たり、奥さんに電話したりしてしまった」と打ち明ける。
亀山氏は「スマホが通じない方が逃亡しにくい」と笑う。昔、海外の旅先でテレビをつけても英語ばかりで分からず、選択肢が他にないからこそ、難しい哲学書を読む気になったという。だが先日アフリカに行った時はスマホを持参し、たまに通じると見まくってしまった。
「結構難易度は高いんだけど、その分価値があるんだよね」
話題は、亀山氏が50歳まで表舞台に出てこなかった生き方に及ぶ。マウントを取るどころか、自然体でいる方が今の時代は「かっこいい」と語る。
バブル時代であれば、富士山が見える大きな別荘を持つ大物経営者に憧れる人が多数派だった。しかし今は違う。
「文化対革命みたいになってるわけよ。仮に日本で革命が起きて『金持ちなんてダメだ』となった時、俺はちょっと慈悲で牢屋に入れてもらえるくらいかもしれない。『お前は微妙だから、ちょっと生かしといてやるか』って」
SNS上ではすでに「革命」が起きており、強者・教祖的な存在は叩かれやすい。芸能界でも政治の世界でも同じだ。立花孝志氏のような政治家にトランプ現象的な分断が見られるように、社会はより二極化していく。だからこそ、力あるムーブメントを起こさず、顔を出すリスクも避ける亀山氏のスタンスは、戦略的にも理にかなっているという。
「個人的には、今のはとても居心地がいい」
商売の才能の話になると、亀山氏は「家庭環境もあった」と振り返る。子供の頃から商売に関わる環境があり、姉も商売の才能はあるが、それ以上に若い頃から「悟りを開いている」という。
京都の大学に進学できる学力がありながら、調理学校に進んだ姉。お金を持っても生活が変わらず、全部寄付してしまう。能力的には自分より上だと亀山氏は評する。
母親についても「何も金がかからない」「欲しいものもいらない」と語る。たまに帰省するとタバコをくすねて吸う、その程度の関係性だ。91歳の祖母は「ボケというより穏やか」で、孫やひ孫に囲まれて1日中ボーッとしている。
「俺もこれならやっていけるかもみたいな。まあまあいい人生だよ」
年齢を重ねたことで、亀山氏自身も「いろんなものに飽きてくる」感覚があるという。だが、それを日々ごまかせる程度のストレスはあった方が人生は活気づく。一方で、認知症は確実に進む。
「ボケ切る前に、後継のことや会社の財産のことも決めておかないと、周りが迷惑したり揉めたりするかもしれない」
他人任せにしておけば、自分がボケた後で好きにされかねない――そんな現実的なリスクにも目を向ける。
話の最後、お金で買えるものと買えないものに話題が及ぶ。
「自由は欲しくないな。セックスも買えるけど、色々変えても飽きると思うよね」
お金を稼ぐことに振り切れば、もっと数字は10倍になっていたかもしれない。しかし「もっと虚しい」と言っていた可能性も高いと亀山氏は分析する。早めに表舞台から距離を置き、自分なりの幸せを探したからこそ、今の自分があるという。
お金で買えないものを大切にする――DMM創業者の口から出たこの言葉は、競争社会を駆け抜けてきたからこそ重みを持つ。
※本記事はYouTube動画を元に編集部で再構成したものです。
