ノンタイトルやリアルバリューでも知られる青木氏が、人生5度目の起業として立ち上げたブランドカンパニー「グランブルー&コー」の事業構想をDMM亀山会長にプレゼン。SNSを駆使した低広告費モデルと、IPO・M&Aを見据えた資金調達戦略を語る。
M&A CAMPの新企画「亀っちVALUE」がスタートした。相談者の事業価値(バリュエーション)を亀山会長が算定し、場合によっては買収まで踏み込むという企画だ。元々はバーで雑談している中で生まれた構想で、「リアルバリュー」を踏まえつつも、攻撃せず優しく突っ込むスタイルで進行する。
記念すべき第1回のゲストは、ノンタイトルやリアルバリューのプロデューサーとしても知られる青木氏。今回は自身が5度目に立ち上げた事業について、亀山会長の前でプレゼンテーションを行った。
青木氏のキャリアは多彩だ。ウォーターサーバー事業で3度の起業を経験した後、ITベンチャーへ転身。ブランド品買取サービス「リクロ」を立ち上げ、累計約450億円の資金調達と売却までを経験している。その後、ヒカル氏や朝倉未来氏らインフルエンサーのプロモーション業務に従事し、起業家育成リアリティショー「ノンタイトル」のプロデューサー兼出演者として知名度を高めた。
今回の事業は、ノンタイトルのシーズンZで自ら志願者として出演し、その中から立ち上がった「グランブルー&コー」という会社だ。同社はプロデュースラボとして機能し、その下にヌードル、ジュエリー、アイスクリームなど複数のブランドをカンパニー化していく構想を持つ。日本でいえばマッシュグループやサザビーリーグのように、複数ブランドを束ねるブランドカンパニーを目指している。
2026年2月に番組が終了し、5月にサービスをローンチ。初月から約4,500万円の売上を計上した。
現在の主力サービスは大きく2つある。
1つ目は「ロカロヌードル」と呼ばれる低カロリーのラーメン・パスタ・混ぜそば・蕎麦ブランドで、1食300kcalで食べられる。開始3カ月でUber Eatsの加盟店が120店舗を突破し、ドラッグストアやスーパーへの配荷も数千店舗で決まっている状況だ。D2Cでサブスク販売も行いつつ、リアル店舗での身近な購入動線も確保している。
2つ目は1食50kcal・脂質1.2gという、糖尿病患者でも食べられる低カロリーアイスクリーム。豆乳、アーモンドミルク、天然甘味料の羅漢果のみを使用したノンミルク・ノンエッグ・ノンコレステロールの植物性アイスで、特許技術も取得している。
資金調達については、シードラウンドで約13億円のバリュエーションから3億円を調達済み。投資家は事業会社中心で、VCはまだ入っていない。「青木氏がやるなら」という過去の信頼関係から、プロダクトが本格化する前段階での調達を実現した。
そして現在、次のラウンドとして20億円台後半のバリュエーションで2〜3億円規模の資金調達活動の真っ最中だという。大手コンビニや大手ドラッグストアでの取扱いが軒並み決まり、大量発注に対応するための運転資金が必要なフェーズに入っている。
なお、前回のリクロ売却時は、取引先の中国企業の脱税問題によりデットもエクイティも引けなくなり、78割の人員削減か譲渡かの二択を迫られた。サービスと従業員を守るため、自身の持ち分を取らずに売却したという経緯があり、青木氏自身は「売ったけれど儲かっていない」状態だった。
青木氏が事業のコアコンピタンスとして掲げるのが「SNSセントリック」というキーワードだ。
通常のD2Cビジネスは売上の20%程度を広告費に投じ、営業利益10%程度が相場とされる。しかし青木氏のモデルでは、インフルエンサーや本人の発信力を使ったソーシャルバズによって広告費を10%まで圧縮できる。浮いた10%を原価に回して品質を上げるか、利益として20%以上を確保するか、選択肢が広がるという構造だ。
さらに、SNS上での認知度があれば採用費もほぼ不要となる。新卒に100万円、中途採用に年収の30〜40%を支払うような従来型コストを大幅に圧縮できる。
青木氏は「100人で100億円ではなく、20人で100億円規模の事業を作る」という新しい時代のビジネスモデルを志向している。広告代理店としてではなく、自らがハンドルを握って物作りからプロモーションまでワンストップで責任を持つことが、本質的なマーケティングを実現するうえで不可欠だと考えているという。
亀山会長は、青木氏のビジネスモデルが本質的にマーケティング力に依存している点に注目した。商品はラーメンでもアイスでも何でもいい代わりに、青木氏本人や周辺のブランドに依存するリスクがある。これに対し青木氏は、4〜5名のアンバサダーを分散配置することでリスクを軽減していると説明した。
M&Aの可能性について亀山会長は次のように語った。「核となるブランドが当たって法則が見え、再現性が確認できた段階でなら買収を検討する」「DMMとして100%取得するか、あるいは51%取得+ロックアップで残り49%を業績連動で買い取る形が現実的」。
また、PEファンドが100億円超で買い取るような出口の場合、DMMのような事業会社は競り負けるケースも多いという。一方で、ダウンラウンドで救済的に買収し、共に再生・成長させていくパターンは事業会社のM&Aではむしろ多い、とも語った。
青木氏は今回が「人生最後の起業」と位置づけており、売却後も事業に関与し続けたい意向を示した。生活に困らないだけの資産はあるなかで、起業を続ける動機は経済的モチベーションよりもむしろ「登山道のような自己挑戦」だという。
番組の最後、亀山会長による現時点の評価額は「シード時の13億円のまま」となった。今回の調達額やコンビニ・ドラッグストアでの取扱い拡大は、まだ実数値として確認できる段階ではないため、現状維持の評価という結論だ。
青木氏は「亀山さんはいつでも話を聞いてくれるので、今後も駆け込むかもしれない」と感想を述べ、第1回の収録を締めくくった。
※本記事はYouTube動画を元に編集部で再構成したものです


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