スキマバイトサービス「タイミー」を急成長させた小川嶺氏が、競合がひしめく市場で頭ひとつ抜けた理由、365日のうち340日を懇親会に使う経営者の時間術、そして日本のGDPを背負う覚悟まで率直に語る。若手経営者必読のインタビュー。
スキマバイトサービスとして急成長を遂げたタイミー。創業時には類似サービスもあった中で、なぜ競合を引き離す存在になれたのか。創業者の小川嶺氏は、その要因を「選択と集中」にあったと語る。
「常に英語ではなく、世の中の誰のためにサービスを作るかということを意識してきました。リソースもお金も限られているからこそ、何の社会課題をどう解決するのかをシャープに考えて、それしかやらない。色々やりたくなってしまうけれど、選択と集中をしっかりできるかが、ものすごく大事なポイントです」
タイミーが最初に磨き込んだのは「すぐ働けて、すぐお金をもらえる」というシンプルな体験価値だった。その基盤があった上で、次のステップとして「働けば働くほどバッジが溜まる」スコア機能を実装。企業側からすれば、バッジを持っているワーカーが来てくれれば安心して任せられる。マッチングの先にある「信頼」という二段階目のフェーズへと進化していった。
「最初からそれをやっていたら基盤がないからうまくいかなかった。ビジョンを掲げて、どんなステップでやるかを掲げ、それを推進していけるか。当たり前のポイントなんですが、それが一番大事だと思っています」
創業から7年が経ち、大きな規模に成長したタイミーだが、ユーザー体験の磨き込みは今も続いている。
「物作りが細部にこだわり続けるというのは、まさに終わらない旅です。もっといいプロダクトを作りたいという思いが創業者にあるかないかで、大きく変わってきます」
小川氏の時間の使い方は徹底している。
「365日のうち340日は懇親会で、基本的にクライアントと飲んだりご飯を食べたりしています。クライアントとトップ会談をすることで、タイミーをより使ってもらえる。事業に絶対つながっていると思っているからこそ、時間をすべて事業に費やしています」
スタートアップ界隈の同業者と飲みに行くことについては、こう線を引く。
「同業で飲みに行くのは半年に1回くらいでいい。基本的にそればかりだったら何の学びがあるのか、と思っています。常に事業を伸ばすために自分が何をやるべきか、どう時間を使うべきかを問い続けることが大事です」
社内の人事異動・採用、戦略作り、戦略のリチューニング、経営の俯瞰、クライアントのトップ招待。これらに時間を分配し、フェーズごとに比重を変えながら自身の時間を管理しているという。
物流業界の人と話せば2024年問題の話ができる。自分の知らない世界を楽しめる人こそが、営業に向き、泥臭いスタートアップを作れる――小川氏はそう語る。
調達した資金が減り続けることへの恐怖はないのか。
「最初は怖かったというか、なくなるなと思ったから、すぐに調達調達調達としていました。怖いというよりは、もう一回勝負すると決めたんだから。42.195kmのマラソンを始めたのに、途中でやめるんですか、という話です」
駅伝選手も全力で走り続ける。経営者の覚悟もまた、それと変わらないという。
コアメンバーをどう巻き込むのか。鍵はやはりビジョンにある。
「タイミーは『1日1時間、人生を豊かに』というビジョンを掲げています。人生の時間は有限で、人生は一回きり。でも人類は皆平等に時間を持っている。タイミーに暇な時間を投稿したら、その時間で働ける、趣味が見つかる、暇な人に出会える――そんな時間の使い方を提案するアプリを最終的には作りたい。働く時間は人生の3分の1を占めるから、まずはここのコンテンツを作ろう、と話しています」
このビジョンに共感する人が会社に集まってくる。「夢を語り続けるのは経営者の役割」だと小川氏は言う。
今後については、新卒採用などを通じて10年後にコアになる人材を育てていきたいと語る。
「優秀な人にはどんどん新しいミッションを渡して、成功すれば次のミッションを渡す。仕事の報酬は仕事だと思っています。難しいミッションを与えられればその人の能力が伸び、市場価値が上がり、結果的に給料も上がる」
タイミーの中から「子会社の社長をやりたい」という人が出てくれば、その人を起点に新規事業を考えられる。社内ビジネスコンテストで選ばれた事業に、タイミーの700万人のワーカーと10万社のクライアントというアセットを掛け合わせれば、多様な事業展開が可能になる。
「人に罪と書いて『人罪』に溢れるような会社を作りたい」と小川氏。求める人物像は、向上心があり、タイミーというプロダクトを心から信じてくれる人だという。
「自分が自信を持って売れるサービスに行ったほうがいい。心から言えない商材を売っても、営業力は上がっていきません」
最後に、若手経営者に向けたメッセージは強烈だった。
「日本のGDPは今4位で、そろそろ5位になると言われています。GDPは労働人口×労働生産性。2100年には日本の人口は5000万人を切ると言われていて、今の1億2000万人から40%ほどになる。GDPは絶対に下がります」
「自分が2100年に死ぬとして、沈んでいく日本を見ながら死ぬのか、登っていく日本を見て死ぬのか。全然違う。自分たちの世代が日本をどれくらい復活させられるか、最高させられるかが、ものすごく大事です」
GDPが下がったことに悔しさを持つ。日本のために何ができるかを考え、挑戦し、それを武器に海外へ出ていく。「自分の柱になるテーマや業界を見つけて、情熱を注いで、成功しても失敗してもいいから全力でバットを振り続けてほしい」と小川氏は呼びかける。
「これくらいじゃないと経営者はダメだと思うんです。日本を代表する経営者になりたいと思った時に、それくらい国の目線で見れないなら、日本を代表する経営者なんて言えないじゃないですか」
タイミーは10人に1人が使うサービスへと成長し、人手不足という社会課題への貢献も明確になった。実績がついてくれば、より力強く語れるようになる。だからこそ、起業当初から心のどこかでビジョンを思い続けてほしい――そんなメッセージで対談は締めくくられた。
※本記事はYouTube動画を元に編集部で再構成したものです


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