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総合>ビジネス動画>20代で起業・3億円の借金・倒産を経験──さくらインターネット共同創業者 小笠原治氏が語る、起業初期の生存戦略

20代で起業・3億円の借金・倒産を経験──さくらインターネット共同創業者 小笠原治氏が語る、起業初期の生存戦略

2024/8/18
M&A CAMPチャンネル
M&A CAMPチャンネル運営局

さくらインターネットの共同創業、3億円の借金と倒産、DMM.makeやテラスの立ち上げ、スタートアップ投資、AWABARや大学経営まで。多領域で活動を続ける小笠原治氏が、創業初期の経営者に向けて「タイミング」「資金調達」「組織」の本質を語った。

福岡のバー「AWABAR」のオーナーであり、さくらインターネットの共同創業者、ABBALABを通じた約75社へのシード投資、DMM.makeの統括プロデューサー、京都芸術大学クロステックデザインコース、メルカリR4Dの立ち上げなど、領域を横断して活動を続ける小笠原治氏。本記事では、20代での起業、3億円の借金と倒産、その後の再起、そしてスタートアップ投資家として現在の若手経営者に伝えたい考え方を、創業初期に焦点を当てて聞いた。


建築事務所からインターネットへ──タイでCADを教えた原体験


小笠原氏のキャリアは、建築設計事務所から始まる。中学・高校時代は地元の京都でやんちゃな環境に身を置き、高校卒業後は親戚の建築事務所に拾われる形でこの世界に入った。手書き図面を描く修行を経ず入った氏は、当時まだ普及していなかったCADの操作を覚え、紙の図面をCADにコピーする作業の速さで頭角を現す。


やがて「教えられるなら」とタイへ送り出された。日本がバブル期にあり、対人件費の安さから建築図面を現地で書かせる、いわゆるオフショアの走りである。データを日本に送るために用いていたのが、当時インターネットの前身となる仕組みだった。「TCP/IPやFTPといったプロトコル自体はもっと早く触れていた。それが『インターネット』という産業になりかけたのが93〜94年頃で、そのあたりから面白いと感じ始めた」と振り返る。


さくらインターネット創業前夜──田中氏からの300万円出資


建築事務所で働きながら、副業のようにサーバーを立て、メーリングリストを運営し、建築士のポートフォリオサイトや当時まだ存在しなかった新築不動産検索サイトを田中邦裕氏と共に手がけていた。インターネットがまだ「クレジットカード番号を入れるなんてあり得ない」と言われていた時代である。


やりたい事業を相談したところ、田中氏は当時20歳前後にもかかわらず「出資します」と即答。小笠原氏が700万円を用意し、田中氏が300万円を出資して1,000万円の資本金で会社を設立した。当時のインターネットには「コンテンツを書く人」が圧倒的に不足しており、紙のライターをネットに転換させる仕事や、ブログサービスの開発などを進めていた。


やがてさくらインターネットが法人化されるタイミングで、今度は小笠原氏が出資する側に回り、約2年半取締役を務める。ジャフコからの初の資金調達まで併走したが、自社経営の悪化を理由に2001年頃に退いた。


11人中9人が会議中に離脱、3億円の借金と倒産


副業でやっていた事業に集中せざるを得なくなった背景には、当時としては先進的な事業構造への組織内反発があった。「紙のライターをウェブに移そうとしていたが、当時は紙の方がまだ価値が高かった。紙の優先順位を下げてウェブの仕事ばかりやっても儲からない」。一緒にやっていた先輩から「もう求心力ないよ」とストレートに指摘され、11人いた会社の9人が会議中に席を立って辞めるという経験をした。


それでもなんとか組織を立て直しかけたタイミングで、勝負に出る。フリーペーパーの記事の続きを携帯で読める仕組みに賭け、印刷所の一部を買い上げるなど、設備投資に踏み込んだ。連帯保証付きで3億円を借り、ほぼ使い切った。


「コンフォートゾーンの中で『行ける』前提で計画してしまった。スケールした後の話ばかり考えて、目先の売上の優先度を下げてしまった」。約2年で資金は尽き、会社は破産処理に進む。再建債務は当初想定の3社+2社から最終的に10数社に広がったという。返済には3年かかったが、複数事業を並行していたことと、さくらインターネットの上場によるキャピタルゲインが効いた。「倒産はしたけれど、色々やっていたからこそ生き延びられた」と氏は語る。


並行キャリアという生存戦略──「ワンプロダクト」が常に最適とは限らない


その後の小笠原氏のキャリアは、複数事業を週単位で同時並行する独特のスタイルになる。最大同時並行期には、メルカリR4Dの立ち上げ、経済産業省と組んだ衛星データプラットフォーム「テラス」、DMM.makeの統括プロデューサー、京都芸術大学クロステックデザインコースの立ち上げ、投資先支援を「曜日ごとに別の会社」という形で動かしていた。


スタートアップの一般論としては「ワンプロダクト・ワンサービスに集中せよ」とよく言われる。だが氏は「期待されていることに応える立場であれば、週1〜2でやれる。ただし自分が本当にやりたいことができたら没頭したくなるので、そこはワンプロダクトの感覚はわかる」と整理する。創業者がトップを張る局面と、組織やチームを作って事業の立ち上げに伴走する局面は別物だという捉え方だ。


VCから出資を受ける前に──金融屋の仕組みを理解する


投資家としても活動する氏は、若手起業家がVCから資金調達する際の基本構造をきちんと理解すべきだと指摘する。VCは本来、LP(出資者)からお金を預かり、GP(運用者)として投資判断を行い、7〜10年で3〜5倍のリターンをLPに返す金融業である。管理報酬は一般に元本の年2%(10年で約20%)、利益分配は一定基準を超えた部分の20%程度。


「100億円のファンドで成果を出しても、運用者10人で割れば一人あたり年2,000万円程度。1号・2号ファンドぐらいで終わっているVCはまだそこまでの実績ではないので、絶対的に従う必要はない。一緒に考えていくスタンスでいい」。


スタートアップ側がやる気を失えば事業は終わる。投資家と起業家は本来、起業家がやる気を出せる関係を作るべき同じ立場のはずだが、現実には起業家側が萎縮することが多い。「お互いの立場になったことがない人が多いからかもしれない」と氏は分析する。


エンジェル投資についても注意点がある。「自称エンジェル」も多く、苦しい時に提示するラインを信じてもらえずに「お金としてしか見られていない」と感じる関係であれば、信用関係は生まれにくい。経験を伝えてくれる人かどうかを見極める必要がある。


DMM・亀山氏の経営に「再現性」はあるのか


DMMが資金調達も借入もほぼ使わず、数百億から数千億規模に成長したスタイルについて、氏は「再現性はある」と見る。前提として「亀山氏は数字のゆらぎにすぐ気づくタイプで、複数事業をやってきたからこそ商売を抽象化できている」と分析する。


さらに強調するのは、創業者の周囲にいる「やりきる人」の存在だ。月末や期末に目標まであと少し足りない局面で、パイプラインを前倒しさせる営業担当のような、実現に向けて準備しきってくれる人材。「『こうなったらいいね』を語る人と、『絶対やる』を握る人の組み合わせは、スモールビジネスでもスタートアップでもエンタープライズでも必須」。


創業初期に「バランスを取る人」を入れすぎない


初期の組織作りについては、明確なスタンスを持つ。「バランス感覚のある人を発言力のあるポジションに入れすぎない方がいい。創業者が高い目標を口にしているのに、『それだとついてこられないからこのくらいで』と現実的に均してしまうと、もったいない」。


バランサーが必要なフェーズは大きくなった後で、初期は「なんとかしたい」と思える若手・新卒・インターン経由のメンバーと組んだ方が強い、というのが氏の実感だ。


AWABARが立ち飲みに振り切った理由


2010年に開いたAWABARは、もともと小笠原氏自身が人見知りで、業界のミートアップが苦手だったことが出発点だ。「自分の店を作って、知り合いに来てもらえばいい」と発想した。当時まだ六本木にほとんどなかった立ち飲み業態を選び、食べ物は出さずドリンクのみ、カクテルも2種類までとオペレーションを徹底的に乾燥化(簡素化)。空いたリソースで時給を上げ、スタッフが客同士を紹介できるレベルまで顧客を覚える設計にした。


「1日5人呼ぶまで帰らない」と決めて自身が220日通った結果、年間1,000人以上がチェックインする店に成長。ビットコイン決済もコインチェック経由でかなり早い段階で導入した。今では利益率は20%超に達し、福岡や大阪、京都などへ「やりたい」という人が現れるたびに自然に拡大している。最近は売上の4%を全店舗でプールし、有事の運転資金や新規開店の貸付に回す、DAO的な仕組みを構想中だという。


京都芸術大学の経営改革と「メルカリショック」


氏が現在もっとも時間を割いているのが、京都芸術大学と共同で設立した子会社による学園全体のデジタル化事業だ。エンジニア・デザイナー・プロセスマネジメント・コーポレートを含めて30人規模のチームを、2025年10月のスタートから1年弱で組成した。


「学校法人の財務情報は公開されているが、経営状態の悪い大学は多い。学費は前払いサブスクリプションなのに、入ってきた以上に使っている」。一方で京都芸術大学はこの10年で急成長し、通信課程は約1万7,000人と放送大学を除けば日本最大規模である。リカレント教育・社会人教育の領域で芸術が選ばれているという潮流を捉えている。


氏が掲げる比喩は明快だ。「来年、全大学にN高の上(=完全オンライン大学)が来る。今、放送大学はヤフオクで、我々はフリル(の立場)。そこに全大学がメルカリとして参入してくる。当時のフリルがメルカリに負けないようにどう動くかを考えられる人を入れないといけない」。


ハイパーメリトクラシーの時代に──「タイミング」と「ネットワーク」


インタビューの最後に、会社や個人の成長に最も必要なのは「努力」「能力」「資本」のどれかという問いに対し、氏は「ほぼほぼタイミング」と即答した。「今どんなにすごい人でも、90年代のインターネットには触れられない。当時いたから挑戦できた」。


氏が問題視するのは、能力主義が行きすぎた「ハイパーメリトクラシー」だ。能力で差別や選別が行われ、人間が数値化される現在の社会は、本来であれば人間に使う言葉ではない「テスト(性能を測る)」が当たり前になっている、と指摘する。


そしてもう一つの要素として強調するのが「人のネットワーク」だ。「大谷翔平選手と近い身体能力の人は他にもいたはず。彼を活躍できる場所に連れて行った人がいたから、あそこまで行けた」。日本のVCに必要なのは、エージェントとして起業家を然るべき場所に連れていき交渉する力であり、起業家側もどのVCから出資を受けるかを「選ぶべき」だと言う。


過去は変えられる


短期・中期・長期で言えば、若手起業家には「中期を最も追う軸にした方がいい」と勧める。長期だけ語っても周囲はついてこず、短期だけでは消耗する。死なずに挑戦するためには、自分にとっての中期を決めて、そこを軸にすることだ。


そして、失敗との向き合い方についてはこう語る。「3億円の借金を抱えていた頃、王将で2,000円ちょっとしか財布になく、子どもをどう食べさせるか悩んでいた。後日、子どもにあれが楽しい思い出だったと言われて救われた。失敗は失敗だが、不幸とは限らない。考え方を切り替えれば、過去はいい過去に変えられる」。


創業初期に置かれた経営者にとって、「タイミングを引き寄せる柔軟さ」「中期を主軸にした計画」「やりきる人を組織に置くこと」「資金調達の仕組みを理解すること」、そして「失敗してもなお続けること」。小笠原氏の言葉は、それらを地続きの一本のメッセージとして響かせる。


※本記事はYouTube動画を元に編集部で再構成したものです。

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目次

  1. 1.建築事務所からインターネットへ──タイでCADを教えた原体験
  2. 2.さくらインターネット創業前夜──田中氏からの300万円出資
  3. 3.11人中9人が会議中に離脱、3億円の借金と倒産
  4. 4.並行キャリアという生存戦略──「ワンプロダクト」が常に最適とは限らない
  5. 5.VCから出資を受ける前に──金融屋の仕組みを理解する
  6. 6.DMM・亀山氏の経営に「再現性」はあるのか
  7. 7.創業初期に「バランスを取る人」を入れすぎない
  8. 8.AWABARが立ち飲みに振り切った理由
  9. 9.京都芸術大学の経営改革と「メルカリショック」
  10. 10.ハイパーメリトクラシーの時代に──「タイミング」と「ネットワーク」
  11. 11.過去は変えられる
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