M&A経験者である経営者が立ち上げたメディア「M&A CAMP」。開始3ヶ月で赤字続きの中、売り手と買い手の情報・機会格差を埋めるべく構想する新たな仲介・FAモデルとは。経験者起点の支援体制とビジネスモデルを赤裸々に語る。
M&A CAMPは、運営者自身がM&Aを経験した際に痛感した「売り手側と買い手側の情報および機会の格差」を解消したいという思いから始まったメディアだ。
運営者は1年半前に事業譲渡を経験している。それまではM&Aという単語すら知らず、契約内容、デューデリジェンス(買収対象企業の調査)、事業価値算定、価格交渉といった領域のいずれもほとんど理解していなかったという。相談できる人もおらず、YouTubeや書籍で情報を集めても、リアルな実態は掴みにくかった。
さらに、売却後のPMI(Post Merger Integration:経営統合プロセス)にも大きく苦しんだと振り返る。経営力不足、社会人経験の浅さ、知識不足など、自分自身の実力不足によって直面した課題は数多い。だからこそ、同じ悩みを抱える人を一人でも減らしたいという原体験が、M&A CAMP立ち上げの原動力になっている。
M&A CAMPを運営する株式会社第二の事業内容は、メインが就活チャンネルおよびそれに付随するキャリア支援事業だ。会社全体としては「情報と機会の格差をなくし、より良い意思決定を支援する」ことをテーマに掲げており、「やりたい」「できる」を当たり前にする世界観の実現を目指しているという。
事業の作り方としては、まずメディアを立ち上げ、それに付随する事業を後から作るというアプローチを取っている。M&A CAMPも同じ進め方を踏襲する方針だ。
現在のM&A CAMPはディレクターのワンオペ体制で、個人でYouTubeを運営していた頃からの友人に編集やサムネイル制作を手伝ってもらいながら回しているという。
M&A CAMPはまず、IT領域かつ若手経営者向けのメディアとして圧倒的なポジションを取りに行く方針だ。運営者自身が抱えた課題と、M&Aに関する情報格差の解消をメディアで全力で実現することを最優先のミッションとしている。
開始から3ヶ月が経過したM&A CAMPは、現時点で「めちゃくちゃ赤字」な状態だという。そこで、運営者は事業化に向けて次のようなビジネスモデルを構想している。
メディア経由で「会社を売りたい」「事業を売りたい」と考える人を集め、M&A仲介およびFA(フィナンシャル・アドバイザー)業務を提供する形だ。
- M&A仲介:売り手と買い手をマッチングし、成約価格に応じた手数料を双方から受領するモデル
- FA:売り手または買い手のいずれか一方からのみ手数料を受領するモデル
現時点の想定では、10億円以下の案件はM&A仲介、10億円を超える案件はFAとして扱う。手数料率は一般的なレーマン方式の慣習に沿い、5億円以下は5%、10億円以下は4%といった水準を想定している。
運営者が自身のM&A時に最も困ったのは、「M&Aを経験した起業家・経営者に相談できる機会がほぼ作れなかったこと」だという。複数の仲介業者に相談したものの、経験者から得られるリアルな知見にはアクセスできなかった。
そこで、M&A CAMPでは自社で仲介アドバイザーを大量に雇うのではなく、M&Aを経験した起業家に協力してもらいながら事業を推進する仕組みを構想している。
具体的には、M&A経験者の起業家がスポット的に相談を受ける、いわば「ビザスクのM&A版」のような形だ。M&A CAMPに問い合わせた相談者は、経験者の起業家から直接アドバイスを受けることができる。経験者の紹介や、M&A CAMP経由で買い手企業から成約に至った場合には、相談に乗った起業家にも手数料が支払われる仕組みを想定している。
運営する株式会社第二は正社員10人ほどの組織で、M&A CAMPの人員をそこまで大きく増やす想定はしていない。だからこそ、外部の経験者ネットワークを活用するこのモデルが鍵になる。
もう一つの柱が、売却後の支援だ。運営者は「自分のものではなくなった瞬間に、やる気がなくなってしまう起業家の気持ちはよく分かる」と語る。一方で、PMIフェーズこそが最も大変であり、ここに伴走できる事業にしていきたいという。
メディア経由で集まった売却検討者と、協力するM&A経験者の起業家をマッチング。M&A CAMPおよびその起業家経由でM&Aが成約した場合、協力した起業家には手数料の10%〜30%程度を還元するスキームを想定している。割合には幅があるが、経験者にきちんと報いる設計になっている。
動画コンテンツ自体もまだ手探り段階にあるが、「会社を伸ばしたい経営者」「売却を検討する経営者」に刺さる企画作りに注力していく方針だ。
また、運営者が手掛ける他のチャンネル(ダリチャンネル、キャリアジャンプチャンネル)で実施しているタイアップ動画(企業案件)を参考に、M&A CAMPでもスポンサー・サポーター制度の導入を検討している。
価格帯はあくまで仮置きとして、月額10万円〜80万円程度のスポンサードプランをミニマムで試したいという。メディアのパワーはこれから伸ばす段階のため、興味のある企業はまず問い合わせてほしい、と運営者は呼びかけている。
直近は赤字を脱却するためのビジネスモデル構築が急務である一方で、運営者は「M&Aに関する情報・機会格差をなくすことに本気でコミットして達成できれば、結果として事業にもなる」と長期の視点を語る。
まだ構想段階であり、課題は山積している。だが、自身が抱えた課題を解決するという原体験こそが、運営者にとって最大のエネルギー源だという。「自分が解決したいと心から思った時には、極論寝ずに走れる」と話す姿勢からは、長期戦を覚悟した本気度が滲む。
M&A CAMPは、運営者自身のM&A経験から生まれた「情報と機会の格差を埋める」メディアだ。
現時点ではまだ赤字フェーズにあるが、IT領域・若手経営者向けという明確なポジショニングのもと、M&A経験者の起業家と連携した仲介・FAモデル、そして売却後の支援まで含めた一気通貫の事業構想が描かれている。スポンサー・サポーター制度の導入もミニマムでテストしながら、メディアと事業の両輪を育てていくという。
運営者は構想段階の現状を率直に開示し、視聴者からのフィードバックを募っている。M&A業界の情報格差を変えうるか、注目したい取り組みだ。
※本記事はYouTube動画を元に編集部で再構成したものです


2026/2/19

2024/3/16

2024/3/25

2026/1/29

2026/1/22

2025/9/2