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総合>ビジネス動画>アジア15カ国で同時急成長 AnyMind十河社長が語る、海外で稼げる事業のつくり方とM&A戦略

アジア15カ国で同時急成長 AnyMind十河社長が語る、海外で稼げる事業のつくり方とM&A戦略

2024/8/7
M&A CAMPチャンネル
M&A CAMPチャンネル運営局

創業からわずか数年でアジア15カ国へ展開し、東証グロース市場への上場を果たしたAnyMind Group。代表の十河宏輔氏が、グローバル統一プロダクトとローカライズの両立、積極的なM&A、資本政策、そして経営者としてのマインドセットまでを語り尽くす。

創業時から「グローバル前提」だったAnyMindの設計思想


AnyMind Groupは2016年にシンガポールで創業し、ブランドやメーカー向けにEコマース・マーケティング・物流管理までを一気通貫で支援するソフトウェアプラットフォームを開発・提供している。現在は世界15カ国に拠点を持ち、海外売上比率が50%を超える点で、近年上場した日本発スタートアップの中でも特異な存在となっている。


代表の十河宏輔氏は、創業地として日本ではなくシンガポールを選んだ理由について「最初からグローバル展開をメインに考えていた」と語る。プロダクトはグローバル統一のビジネスモデルとして開発し、スケールメリットを最大化する。一方で、東南アジアを中心としたアジア市場では商習慣や宗教が国ごとに異なるため、セールスとマーケティングは徹底的にローカライズする。「プロダクトはグローバル統一、セールス・マーケティングはローカライズ」というバランスを創業初期から仕組み化してきたことが、短期間での多国展開を可能にした要因だという。


直近ではサウジアラビアや韓国にも進出しており、新たな国への展開には「勝ちパターンのフォーマット」が確立されているという。


なぜ東南アジアだったのか――前職での6カ国立ち上げ経験


十河氏は祖父が経営者だったこともあり、幼少期から起業への憧れを抱いていた。前職のサイバーエージェントグループ・マイクロアド時代には、ベトナムを皮切りに最終的に6カ国の拠点立ち上げを担当。オフィスのセットアップから採用まで、子会社社長として実質的な起業経験を積んだ。


この経験から、「起業するなら伸びているマーケットでやりたい」と考えるようになる。東南アジアは人口5億人規模、ベトナムやインドネシアの平均年齢は20代後半。デジタル・インターネット中心のビジネス構造に移行することが明白でありながら、当時のアジアにはソフトバンクや楽天に相当するインターネット業界の代表企業がまだ存在していなかった。「このタイミングで起業すれば、アジアのインターネット業界を代表する会社をつくれるのではないか」――それが創業の動機だった。


ローカライズの本質は「リスペクト」


海外進出に失敗するスタートアップが多い中で、AnyMindはなぜ各国で事業を成立させられているのか。十河氏は「ローカライズの重要性をどれだけ持っているかが鍵」と話す。


たとえばベトナムやタイでは、ビジネスミーティングは当然ながら現地語で行われる。その前提に立てば、ローカルメンバーへのリスペクトが自然に生まれ、二人三脚で事業を伸ばすチームづくりが可能になる。AnyMindがアジアで事業を伸ばせている特徴は、このリスペクトを起点としたチームビルディングにあるという。


また、アジア市場では「日本人」「日本企業」というだけで一定の信頼を得られる場面が多い。トヨタ、ホンダ、ソニーといった先代の日本企業が築いたアドバンテージを、現代のスタートアップも活用できる土壌があるという見方を示した。


創業1年で15億円――シリーズAを成立させたピッチ


AnyMindは創業1年でシリーズAとして約15億円(当時のレート換算)を調達している。十河氏は「投資家はシードやシリーズAでは将来の期待値に対して投資する」と前置きし、「アジアが世界の中心になる」「アジアのインターネットビジネスにおけるインフラ的存在になり得る」というストーリーに共感してくれる投資家を見つけることが重要だったと振り返る。


リードしたのはジャフコのアジアファンドであるジャフコアジア。担当者が会社の可能性を信じ、大きくベットしてくれたことが大きかったという。当初から海外投資家を戦略的に狙ったわけではなく、むしろ投資家側からの打診に応じる形で資金調達が進んだ。前職時代に各国拠点の立ち上げ実績があったことも、投資家にとっての安心材料になっていたとみられる。


経営チームは「補完関係」で組む


共同創業者である小堺氏とは前職時代から3〜4年ともに働き、お互いの得意・不得意が補完関係にあったと十河氏は語る。経営メンバーを集める際には、責任とミッションが明確であることを前提に、そのミッションにフィットする人材を探す。チームとしての強さをどう作るかが、経営において最も大事な観点だという。


コロナ禍でも止まらなかった成長と「変化を楽しむ」経営


緊急事態宣言下で現オフィスへの拡張を決定するなど、AnyMindはコロナ禍でも事業の右肩上がりを維持してきた。広告業界としては逆風が想定される時期でも、無駄なコストカットでランウェイを確保しつつ、変化をチャンスと捉える姿勢を経営陣全員が共有していたことが奏功したという。


十河氏自身は「根っからポジティブで、できると思ってしまうタイプ」。やりたいと思ったことに対して「やれる理由」だけを徹底的に考え、「やれない理由」はほとんど考えない。週1〜2回は海外を飛び回り、1週間で2〜3カ国を移動するハードスケジュールの中、サウナ・マッサージ・筋トレでリフレッシュしている。サウナで「整っている」瞬間に新しいビジネスアイデアや課題の解決策が浮かぶことも多く、ノートにまとめて週次のボードミーティングで共有しているという。


M&Aは「経営者採用」と「スケール」の両輪


AnyMindは上場前から7社、上場直後にも1社を買収するなど、M&Aを積極的な成長戦略に位置づけている。GAFAも盛んにM&Aを行うように、スケールを取りにいく企業にとってM&Aは重要な手段だ。


それに加えて十河氏が強調するのは「経営者の確保」という観点だ。普通の採用では獲得できないレベルの経営者やファウンダーを、M&Aを通じてチームに迎え入れる。買収先の社長にカントリーヘッドを任せるなど、各国・各事業に強いリーダーを配置する仕組みとしてM&Aを機能させている。


株式交換とキャッシュのバランス設計


M&A後にファウンダーのモチベーションが落ちる現象を防ぐため、AnyMindでは上場前の100%買収案件において、対価の50%をキャッシュ、50%をAnyMindの株式交換で構成していた。これによって買収先のファウンダーがAnyMind全体の成長にもインセンティブを持つストラクチャーが成立し、買い手側のキャッシュアウトも抑えられる。上場後はアーンアウト条項やストックオプションの発行などを組み合わせ、設計を調整しているという。


バリュエーション交渉は「将来の共感」から逆算


スタートアップを買収する場合、現状の売上や利益では合理的な評価が難しいケースが多い。十河氏は「まず将来の話に共感してもらえるかどうか」が大前提だと話す。一緒になることでどのような世界をつくれるかを丁寧にすり合わせ、その将来像から逆算してバリュエーションを構築する。CFOの大川氏が下方リスクを抑えたロジックを組み、ファウンダーに提示する流れだ。


M&Aチームは社長の十河氏とCFOの大川氏の2名がメインで動く小規模体制。意思決定が早く、スピーディーにディールをクロージングできることが、これまでのAnyMindのM&Aスタイルだという。


ノンテック×グローバル志向が買収ターゲット


買収対象として相性が良いのは、テクノロジーやプロダクトを内製しないオペレーション強度の高い会社、もしくは日本国内で実績がありアジア進出を志向するグローバル思考の強い会社。AnyMindのテクノロジーやアジアの拠点網を組み合わせることで、追加成長の余地を生み出せる組み合わせを重視している。直近ではEコマース領域の企業をインドネシアとマレーシアでそれぞれ買収しており、マーケティングとEコマースが当面のメインセグメントとなる。


新興国の会社を買収するうえでは、管理面のスタンダードが日本より低いケースもあるため、デューデリジェンス(買収前の精密調査)のプロセスにコストをかけてリスクを取り除くことを重視している。


1回目の起業で押さえるべきマインドセット


十河氏が若手経営者に最も伝えたいのは、自分自身と経営チームのポテンシャルを信じきれるかどうかだ。最初の事業がうまくいくとは限らず、ピボットする会社も多い。それでも自分たちの可能性を信じ続けられれば、ピボット先で良い事業を立ち上げられる可能性は十分にある。


「ベトナムに飛んだ当時、ベトナム語も英語も流暢ではなかった。それでも『絶対この国で成功できる』と信じていたから、ローカルの優秀な人材がジョインしてくれた」と振り返る。経営者自身もフェーズに応じて成長し続ける必要があり、自分たちの可能性を信じる姿勢がその原動力になるという。


資本政策はファイナンス知識とCFO選びがすべて


十河氏のオーナーシップが過度に希薄化していない点も、AnyMindの資本政策の特徴の一つだ。十河氏は若手経営者に対して、最初の出資比率・スキーム・投資契約の条項を見極められるだけのファイナンス知識を早期に身につけることを勧める。さらに拡大期に入ったら、全幅の信頼を置けるCFOを採用できるかどうかが資本政策の成否を左右するという。AnyMindではシリーズB前のタイミングで信頼できるCFOを迎え入れられたことが大きな転機となった。


ベンチマークはリクルート、社外取締役からの学び


国内のベンチマークとして十河氏が挙げるのはリクルート。時価総額・グローバル展開・M&Aのいずれの観点でも参考になる存在だという。AnyMindでは元リクルートホールディングス専務取締役の池内氏に上場前から社外取締役として参画してもらい、リクルート時代のグローバル統括経験などを直接インプットとして得ている。インディード(約1,000億円規模と言われる買収)の決裁経験を持つ人物から学べる環境を、戦略的に依頼して構築したものだ。


中国的アライアンスと「夜の会食」


アジア各国での事業展開には、現地の商習慣に合わせた関係構築も欠かせない。とくに中国・韓国は会食文化が強く、中国では53度のマオタイ酒(高度数の白酒プレミアム版)を交わしながら「ファミリー」になっていくカルチャーがある。十河氏も鍛えられながらこの文化に適応してきたという。一方で、海外で戦うために必ずしも社長自身が外交的である必要はなく、経営チームでの役割分担で補える、というのが十河氏のスタンスだ。


アジアを代表するテクノロジーカンパニーへ


今後10〜20年でアジアが世界の中心になる――十河氏はそう確信している。アジアでインターネットビジネスを行ううえで、AnyMindのプロダクト・プラットフォーム・ソリューションのいずれかが必ず使われている状態をつくることが目標だ。アジア市場の上位はアリババ・テンセント・バイトダンス・PDDといった中国系が占めるが、中国を除けば日本や東南アジア発の企業にも十分な席が残されている。


若手経営者へのメッセージとして、十河氏は「日本人経営者は客観的に見て、アジアにおいて優秀なグループに入る」「世界で戦えるポテンシャルがある人は多い」と語る。あとは「やるかやらないか」だけ――グローバルにビジネスを広げたい経営者との連携にも前向きだという姿勢で、インタビューを締めくくった。


※本記事はYouTube動画を元に編集部で再構成したものです

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目次

  1. 1.創業時から「グローバル前提」だったAnyMindの設計思想
  2. 2.なぜ東南アジアだったのか――前職での6カ国立ち上げ経験
  3. 3.ローカライズの本質は「リスペクト」
  4. 4.創業1年で15億円――シリーズAを成立させたピッチ
  5. 5.経営チームは「補完関係」で組む
  6. 6.コロナ禍でも止まらなかった成長と「変化を楽しむ」経営
  7. 7.M&Aは「経営者採用」と「スケール」の両輪
  8. 8.ノンテック×グローバル志向が買収ターゲット
  9. 9.1回目の起業で押さえるべきマインドセット
  10. 10.資本政策はファイナンス知識とCFO選びがすべて
  11. 11.ベンチマークはリクルート、社外取締役からの学び
  12. 12.中国的アライアンスと「夜の会食」
  13. 13.アジアを代表するテクノロジーカンパニーへ
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