タレント・投資家として活躍するボビー・オロゴン氏が、若手起業家に向けて投資の真髄を語る。「投資は半分詐欺」「銀行にあるお金は全部お前のお金」など、独自の哲学から見える資産形成と世界視点での経営論を紹介。
投資家としても知られるボビー・オロゴン氏は、開口一番こう語った。
「投資に関しては俺に聞くなって言ってる。なぜかというと、みんなの痛いところに気づいちゃう、傷つけちゃうから。投資っていうのは半分詐欺だと思ってる」
一見過激な発言だが、その裏には独自の哲学がある。一般的に語られる投資論は「指数が上がる、下がる」といった数字遊びに終始しがちだ。しかし彼にとっての投資は、自分の体で感じ、実践しながら学ぶものだという。
「自分でペンとか何かを持つよりも、体で感じたい人だから。実践ありきです」
ボビー氏が投資を始めた背景には、意外なエピソードがある。
「兄貴はすごく欲しがりだったから貯金する派なのは僕。兄貴は全部使う派。自分の分を使い終わったら僕の貯金を取りに来る。ご飯も全部食べられない、新しい服も自分で着る前に取られる」
この経験から、彼の投資スタンスは「守り」が基本となった。自分のものを失わないために投資をする——その発想は、今日の彼のポートフォリオ戦略にもつながっている。
ボビー氏の投資対象は驚くほど幅広い。田んぼで米を作り、ヒヨコを育て、不動産を買い、株式を運用し、最近では1500坪の工場まで購入したという。
「基本的に僕の投資はヒヨコから。ヒヨコを牛にできたら一番元も取れる」
340円で買ったヒヨコが、6週間後には500円の卵を産むようになる。利回りで考えれば破格の投資だが、多くの人はそこまで我慢できない。
「うまくいかない会社はないんですよ。やり方なの。あとはどこにゴールを置いているか、我慢できるかできないか」
ボビー氏の資産配分の考え方は明確だ。
「どんなにお金を稼いでも、30%は俺のものじゃない。税金に当てはまる。残り70%のうち、長期・短期・運転資金にトライアングルで分ける」
長期投資は不動産が中心。「長期で置いたものはこけたことがない」と言い切る。短期は株式中心だが、円安局面での海外株購入には慎重だ。
「今のままじゃあ円安に振っていくから、海外この先伸びたところで円高に触れるだろうって計算すると、いまいちだなと思っていた」
資金がない若者へのメッセージは強烈だ。
「日本にある銀行のお金、全部自分のものだと思えばいい。ただし、いいアイデアを出せば、いくらでも全てお前のものだ。金は余ってる」
世界に存在するお金の総量は、実体経済の何百倍にもなる。価値は紙の上の数字でしかない。だからこそ、アイデア次第で動かせる金は無限にあるという発想だ。
「数字マジックを起こせるか起こせないかは君次第だ」
借金についても独自の見解を示す。
「借金は若い時にした方がいい。ただし、何のためにするか。みんな『目減りするもの』に借金をするバカがいっぱいいる」
年収500万円なら5000万円まで借りられる、と一般的には言われる。しかしボビー氏は警鐘を鳴らす。
「500万のうち社会保険料などで半分持っていかれる。本当は250万。それを計算しないからおかしくなる」
貯金についても、銀行が預金者全員に一斉に払い戻すことはできない構造を指摘し、「貯金した瞬間、それはあなたのお金じゃない」と語る。
世界各地を回るボビー氏は、日本企業の課題を鋭く見抜く。
「日本で最も成功する企業というのは、世界を見ている企業。日本市場は世界の5%しかない。1億人に10円のものを売っても10億円。70億人に1円のものを売れば700億円。全然違う」
ソフトバンクの孫正義氏を例に挙げ、「若いうちから世界を見たからここまで来られた」と評価する。
「僕たちの脳は、世界レベルにプログラミングされていない。だから僕が喋ると嫌われる。みんなに知られてほしくないことを言うから」
バーチャルファクトリー構想や音楽フェスティバルへの投資など、ボビー氏は常に新しい領域に挑む。だが、それらは肩肘張った挑戦ではない。
「リラックスしている時が一番いいものを思いつく。東京にいる時はトントントンと予定で埋まっているけれど、外に出た時に趣味を大切にして、リラックスして」
5〜6社の事業を経営しながらも、人に任せるところは任せる。「どのくらい騙されても自分は満足するか」を基準に、信頼の閾値を決めているという。
「基本的に全部勝とうと思わない。3勝てばもう負けてないと思っている」
話題は人生観にも及んだ。「マルチになりたいなら、まず俺の親父みたいに一夫多妻になれ」と冗談交じりに語るが、その本意は別にある。
「世界で見てきたら、それでうまくいっている人もいるし、いっていない人もいる。自分のタイプによる。1つの道しかないというこの世界の考えはやめなさい」
軸を1か所に固めすぎないこと。日本だけでなく海外にもコミュニティを持つこと。1人の頭で動くビジネスではなく、複数で回るビジネスを作ること。すべては「分散」というキーワードでつながっている。
最後に若手起業家へのメッセージを求めると、ボビー氏は即答した。
「将来は明るい。楽しみながら、しっかり将来を踏まえてどんどん世界に挑戦してください」
そして自身の後悔をこう語った。
「日本に来た最初の5年〜10年は貯金ばかりしていた。周りに『将来のために貯金しないと』と言われて。でも30年前は一番投資しやすい時期だった。もっと早くから投資しておけばよかった」
税金の仕組み、国の制度、世界の通貨——スタートアップする前に、まず周りに何が結びついているかを知る。それがボビー流の経営哲学であり、若い起業家への最大のアドバイスだった。
※本記事はYouTube動画を元に編集部で再構成したものです
